JR西日本の新型車両、電気式気動車DEC700形が28日、川崎重工兵庫工場を出場した。同車両は下関総合車両所新山口支所に配置されることになっており、今後、試運転や各種性能確認試験、将来に向けた各種技術検証などが行われる。
DEC700形はディーゼルエンジンと発電機で発電した電力により、モーターを駆動して走行する電気式気動車。電車・気動車のシステム統合によるメンテナンス技術の向上と効率化、機械部品の削減による運行時・メンテナンス時の安全性・安定性向上に加え、従来の工法よりユニット化を進め、運転室・機器室をユニットとして車両に組み込むことで、工期の短縮とコスト低減も期待される。
次世代車両への転換に向けた各種技術検証を行うことも導入目的のひとつに挙げられている。DEC700形はバッテリーの搭載によるハイブリッド方式への変更も可能な構造となっており、ハイブリッド方式に関する各種検証試験も実施予定だという。試験車両の位置づけで、川崎重工にて1両を製造し、車体の全長20m・幅2.8mで定員90名(うち座席25名)、現時点でDEC700形を量産する計画はなく、既存車両の置換え計画もないと報じられている。
外観においては、JR西日本がこれまで導入してきた227系や323系、225系2次車などに似た前面デザインとなり、転落防止ホロも取り付けられた。一方、片側2ドア(片開き)のストレート車体はJR東日本の電気式気動車GV-E400系、JR北海道の電気式気動車H100形「DECMO」と共通している。DEC700形では、車体前面の窓下と側面のラインに中国地域色である黄色を採用。窓部に五線譜と音符をイメージしたデザインを施し、「dec700」「Diesel Electric Car」の文字も見られる。車内にクロスシートがあることも確認できた。