俳優の高橋克典が主演するテレビ朝日系ドラマシリーズ『広域警察』がきょう24日(20:00~)、約4年ぶりに復活。故・大杉漣さんが演じていた広域捜査課長は勝村政信が務め、高橋のバディとして大東駿介が加わるなど、10作目は新体制で迎える。放送を前に、漣さんへの報告や、シリーズの変わらない魅力、今作のテーマである“オンラインのつながり”や“幸せ”について高橋に話を聞いた。

  • 俳優の高橋克典=テレビ朝日提供

    俳優の高橋克典=テレビ朝日提供

――4年ぶりの復活となった『広域警察』ですが、撮影を終えての感想を教えて下さい。

10作目を制作できて良かった。10作目まではできたらいいねと漣さんとも言っていたので。漣さんの後任となる勝村さんは、ご家族含め漣さんと日頃から親交があって、サッカーの仲間でもあって、すごく仲が良かった方。今回の話が決まったときにお墓参りに行って報告してくださったそうです。勝村さんが課長役を引き継いでくれてうれしく思います。新しい方たちが加わったことで、自分の役について色々と改良点も見つかりました。

――勝村さんが漣さんの後任を務めることについて、高橋さんはブログの中で「『おいっ!! なんで勝村が後釜なんだ!!』と漣さんの声が聞こえてきそうですが。笑」と綴られていましたが、新シリーズ制作について、漣さんへ報告されましたか。

部屋に飾っている漣さんの雑誌に報告しました。ご家族に送って頂いた「大杉漣特集」の雑誌なんですけど、すごくかっこいい写真が表紙なんです。

――いつも漣さんに見守られているんですね。

かなり威圧感はありますが(笑)。漣さんのほかにも、大滝秀治さんや緒形拳さんなど……亡くなられた、尊敬する役者さんたちの写真も祖先の仏壇の隣に飾っています。

――勝村さん演じる内藤勝彦は、高橋さん演じる東圭太の大学時代の剣道部の後輩という役どころです。剣道で汗を流したあと、2人で漣さん演じる高村順一郎課長の思い出を語らうという印象的なシーンもあります。

最近ではあまり見なくなったような、先輩と後輩、男同士のコミュニケーションが非常にオーソドックスな形で描かれています。今見るとくすぐったいような“昭和のベタな演出”が、見てくれる人に安心感を与えられたらいいなと思います。

――今作の事件の舞台は「オンラインサロン」ですが、高橋さんはインスタグラムやYouTubeに投稿されているほか、ブログは1日に数回更新されることもあります。どんな思いで始めたのでしょうか。

もともと面倒くさがりやなので、自主的にやろうとは思っていなかったんですが、スタッフの勧めで始めました。楽しみに見て下さっている方もいらっしゃるので、コメントも空いたタイミングでまとめて全部読んでいます。

――今作は『青い鳥』(モーリス・メーテルリンク)をモチーフに、「幸せとは何か」について考えさせられる作品にもなっています。コロナ禍で、世の中的に幸せについて改めて考える機会が多かったタイミングでもありましたが、高橋さんが改めて感じられた「幸せ」はありますか。

良くも悪くも、仕事のペースが遅くなったことで、改めて人と一緒に作り上げるこの仕事の幸せを実感しました。その反面、これまでのペースは速すぎるところがあったので、変われるいい機会だったとも思います。速すぎず遅すぎず、ちょうどいいペースになるといいんですけど(笑)。

――お仕事のペースが落ち着いたことで、たとえばご家族とゆっくりする時間の幸せを改めて感じられることもありましたか。

そうですね。じっくり家族と過ごせることは大切な財産となりました。

――時代が大きく変わるタイミングでしたが、『広域警察』は2010年から始まったシリーズです。変わったこと、変わらないことがあれば教えてください。

継続して出演しているメンバーは、これまでそれぞれが作ってきた役を忠実に演じているので変わらない良さがあります。吉川一義監督の描く2時間ドラマのシンプルで明快なストーリーやキャラクターの作り方、たとえば小川菜摘さんの役割や若手の役割も、いい意味で変わらない。懐かしさを楽しめる世界観になっていると思います。

――新たに大東駿介さんとバディを組んだ感想を教えてください。

若いコンビの新鮮さを楽しみました。シリーズを続けられたら、もっともっといろんな側面が作れて面白い役になっていくんじゃないかな。

――最後に、最新作の見どころをお願いします。

「2時間ドラマ」の定義を作ったような吉川監督の良さが詰まった作品。僕も演じながら「そうそう、これなんだよな」と、昭和の匂いを感じられる王道の物語を存分に楽しみました。題材としては、オンラインサロンという新しい人の集い方を取り上げて、「孤独感」が絡まっていく人間関係を描いています。そして、懐かしさも楽しんで頂けたらうれしいです。

■高橋克典
1964年12月15日生まれ、神奈川県横浜市出身。1993年に「抱きしめたい」で歌手デビュー。『サラリーマン金太郎』シリーズ(TBS系)、『特命係長 只野仁』シリーズ(テレビ朝日系)など数多くの作品に出演。近年の出演作に『不惑のスクラム』(NHK 18年)、『後妻業』(関西テレビ・フジテレビ系 19年)、大河ドラマ『麒麟がくる』(NHK 20-21年)、『明治開化 新十郎探偵帖』(NHK 20-21年)など。