世間は、待ちに待った夏季ボーナスの季節。本来ならば、あれこれ使いみちを考えるのも楽しい時期のはずだが、コロナ禍の昨今にあっては事情は大きく異なるようだ。
2021年の夏季賞与・一時金(ボーナス)の妥結水準がマイナスだったことが伝えられるなど、企業業績に対する新型コロナウイルスの影響は大きい。皆さんの職場ではどうだろうか。
そこで今回は、マイナビニュース男女会員801人を対象にアンケート調査を実施。「コロナ禍におけるボーナス額減少に感じる不安」を聞いた。
Q.あなたの会社にボーナス(賞与)制度はありますか?
「はい」(80.6%)
「いいえ」(19.4%)
Q.2021年夏のボーナスは出る予定ですか?
「はい」(78.3%)
「いいえ」(4.8%)
「わからない」(16.9%)
Q.2021年夏のボーナスは昨年冬のボーナスと比べて増える予定ですか? 減る予定ですか?
「増える予定」(13.2%)
「減る予定」(33.8%)
「変わらない予定」(37.5%)
「わからない」(15.4%)
Q.2021夏のボーナス支給に関して、新型コロナウイルス(コロナ禍)の影響はありますか?
「プラスの影響がある」(8.0%)
「マイナスの影響がある」(50.8%)
「影響はない」(41.2%)
Q.コロナ禍が続き、ボーナス額にマイナスの影響が出ていることに、どのような不安がありますか?(自由回答)
■「生活費が足りなくなる」
・「給料が安いので、ボーナスで補填してたので不安」(47歳男性/広告・出版・印刷/技能工・運輸・設備関連)
・「とにかく生活ができなくなる。貯金を切り崩す生活がはじまる」(41歳男性/広告・出版・印刷/営業関連)
・「生活費にも回してるので、日々がしんどいかも」(40歳男性/その他電気・電子関連/技能工・運輸・設備関連)
・「生活費の補填、巣ごもり消費の増加」(41歳男性/銀行/事務・企画・経営関連)
・「生活費や家電製品を買うのに支障が出る」(30歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/メカトロ関連技術職)
・「ボーナスカットされると、今までの生活が維持出来なくなる可能性が高いのでとても不安」(43歳男性/その他/技能工・運輸・設備関連)
・「ボーナスとは名ばかりで、実質的には給与の後払いとして生活費の一部となっているため、生活水準の低下に直結する」(49歳男性/公益・特殊・独立行政法人/事務・企画・経営関連)
・「食費などの変動費は工夫出来るけど、通信費や光熱費など月々の固定費に影響が出ないか心配」(48歳男性/食品/その他技術職)
・「残業が出来なくなり、それでなくても収入が減っている状態。さらにボーナスカットだと、生活がかなり厳しくなる。今は、貯蓄で食いつないでいる状態」(48歳男性/人材派遣・人材紹介/営業関連)
■「将来への不安がある・将来設計が狂う」
・「いつまで減らされ続けるのか、といった漠然とした不安」(47歳男性/官公庁/公共サービス関連)
・「コロナ回復の見通しが立たない為、安心して使えない」(47歳男性/流通・チェーンストア/販売・サービス関連)
・「ボーナス額へのマイナス影響に関する不安はないが、会社の存続自体に不安がある」(49歳男性/その他電気・電子関連/IT関連技術職)
・「もらえるだけありがたいが、今後ももらえるのかどうか不安」(41歳男性/食品/営業関連)
・「リタイアが遅くなる可能性がある」(22歳男性/家電・AV機器/販売・サービス関連)
・「生活でいっぱいいっぱいで、老後の貯金が出来ない」(46歳男性/医療・福祉・介護サービス/営業関連)
・「この先もこの状態が続くのは、転職を含め判断する時期にきている。予定している支払いも厳しくなる一方だ」(44歳男性/農業協同組合/技能工・運輸・設備関連)
・「ボーナス以前に、会社がもつのか心配になっております。結婚しておらず、子どももいない。親と同居のためローンもありませんが、家にいくらかは入れているので、今後の生活が心配です」(48歳男性/旅行・観光/営業関連)
・「ただでさえ、安い介護業界の給料。転職も視野に。 もう介護業界では働けないか? 潜在介護士が増えるだけ」(37歳男性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「ボーナスが減額されると当てにしていたお金が貰えないので、将来設計が狂う」(40歳男性/サービス/その他・専業主婦等)
・「老後資金の貯蓄ができない」(44歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/事務・企画・経営関連)
・「老後資金や貯蓄が思うように貯まらなくなる」(49歳男性/物流・倉庫/技能工・運輸・設備関連)
■「ローンが払えない」
・「ローン返済をボーナスに充てているので、あまり下がると困ります」(49歳男性/旅行・観光/販売・サービス関連)
・「出るだけありがたいが、ローンと生活費の補填をしているので生活が大幅に苦しくなる」(46歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/事務・企画・経営関連)
・「車のローンのボーナス払いの負荷が増える」(48歳男性/精密機器/メカトロ関連技術職)
・「住宅や車のローンで、生活費をギリギリまで節約しないといけない」(48歳男性/フィットネスクラブ/事務・企画・経営関連)
・「住宅ローンの計画が狂ってきています。かなり大変な状況になってきています」(48歳女性/食品/営業関連)
■「貯蓄ができない」
・「これからも出ない状態が続くと、貯金ができなくて困ります」(45歳女性/教育/専門サービス関連)
・「先が見通せないのに、貯蓄に回せる金額が少なくなる」(44歳男性/ガラス・化学・石油/営業関連)
・「貯蓄が減り、将来の備えができない」(46歳女性/広告・出版・印刷/事務・企画・経営関連)
・「貯蓄のペースが落ちて投資が出来ない」(34歳男性/医療・福祉・介護サービス/事務・企画・経営関連)
■「買いたいものが買えない」
・「当てにしているので、購入行動に影響する」(48歳男性/教育/専門サービス関連)
・「家の老朽化の修繕費用が払えなくなる」(40歳男性/鉱業・金属製品・鉄鋼/技能工・運輸・設備関連)
・「家電製品等、突然壊れた際などの突然の出費に対応できなくなる」(44歳女性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「生活費はお給料でまかなえていますが、もし何かあった時の備えができないので不安になります。大きな買い物はできないですね」(37歳女性/ソフトウェア・情報処理/営業関連)
・「コロナの影響でボーナス額が下がってしまうと、色々と買い物や遊びなどに影響が出てしまうので……不安はありますね〜……」(48歳男性/建設・土木/建築・土木関連技術職)
・「毎月ギリギリの生活なので、ボーナスが出たらプチ贅沢(外食)ぐらいしたいと思っていますが、それすら出来なくなるのかと不安です」(41歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/技能工・運輸・設備関連)
■「今後の支給に不安がある」
・「在宅にもなっておらず、求められることは変わらないのにどんどんボーナスが下がっていく。一体いつまで下がり続けるのか。ローン等の支払いもあるため、不安」(29歳女性/生命保険・損害保険/営業関連)
・「季節が進み……ボーナスの回を重ねるごとにどんどん減っていって、最後は一桁になってしまうんじゃないかと不安です」(47歳女性/半導体・電子・電気機器/事務・企画・経営関連)
・「今回が冬より多いのは少し持ち直したからであり、全体としては過去より下がっている。またコロナで下がると、余裕がなくなりそう」(39歳女性/ガラス・化学・石油/その他技術職)
・「私の会社のボーナスは売上によって決まるので、コロナの影響で来年の夏はもらえないのではないかと不安がある。奨学金の返済があるので、とても不安である」(27歳男性/食品/技能工・運輸・設備関連)
■「教育費が足りない」
・「今後のマイホームの購入や子どもへの費用を考え直さないと行けない」(31歳男性/官公庁/事務・企画・経営関連)
・「中高一貫の私立中学に通う子どもの教育費が足りなくなる」(49歳男性/システムインテグレータ/IT関連技術職)
■「その他」
・「仕事に対するモチベーションが下がり、さらに職場の雰囲気が悪くなる」(48歳女性/設備工事/事務・企画・経営関連)
・「少なくても出て欲しい。コロナが明けたら温泉旅行に行きたい」(46歳男性/広告・出版・印刷/クリエイティブ関連)
・「年収が下がることで、ローンの審査がおりにくくなる」(38歳女性/通信関連/営業関連)
・「ボーナスはおまけと考えているので、生活やローンでの問題はないけれど、やはり寂しい」(46歳男性/インターネット関連/クリエイティブ関連)
■総評
調査の結果、マイナビニュース会員のうち会社にボーナス(賞与)制度がある人は、8割を超える80.6%となった。ボーナス制度があると回答した人のうち、2021年夏のボーナスが出る予定の人は78.3%と、こちらも多数派となっている。
2021年夏のボーナスが昨年冬のボーナスと比べて「増える予定」だと回答した人は13.2%と、ごく少数だった。「減る予定」は33.8%、「変わらない予定」は37.5%、「わからない」人は15.4%だった。
次に、2021夏のボーナス支給が新型コロナウイルスがどう影響しているのかを聞いた。コロナ禍により夏のボーナスに「マイナスの影響がある」と答えた人は半数以上の50.8%。「プラスの影響がある」人は8.0%でごく少なかった。「影響はない」という回答は41.2%だった。
コロナ禍が続き、ボーナス額にマイナスの影響が出ていることに対しては、どんな不安を抱いているのだろうか。主な回答として、「生活費が足りなくなる」「ローンが払えない」「貯蓄ができない」「買いたいものが買えない」「教育費が足りない」などが挙がっている。ただし、これらは便宜的に分類したもので、実際はすべてが繋がっていると見るべきだろう。
つまり、ボーナス支給額の減少によって、生活費が不足するため貯蓄ができない。ローンや教育費を支払うために貯蓄を切り崩す。あるいはボーナスで購入予定だった大きな買い物を控える、といった連鎖が起こり、それが不安に繋がっているという印象だ。
また「今後の支給に不安がある」、あるいは「将来への不安がある・将来設計が狂う」という声もあった。このコロナ禍によるボーナス額の減少が一過性のものではなく、今後も続いていくのではないかという不安だ。確かに、日々伝えられる感染状況や変異ウイルスの情報などを見るにつけ、この状況が完全に終息することは考えづらい、という懸念はあるだろう。将来に対する漠たる不安は、多くの人が感じていることではないだろうか。
新型コロナウイルスが日本経済にボディブローのように効いているというのが、リアルな実感かもしれない。寄せられたコメントにあった「仕事に対するモチベーションが下がり、さらに職場の雰囲気が悪くなる」という声は、まさにそんな実態を象徴してるようだ。
調査時期: 2021年6月1日
調査対象: マイナビニュース男女会員
調査数: 801人
調査方法: インターネットログイン式アンケート
※写真と本文は関係ありません