仕事や授業でプレゼンテーションを行う機会がある人も多いでしょう。しかし、人前で話すのが苦手で緊張してしまったり、準備の手順がわからず思うような結果にならなかったりした経験がある人も多いのではないでしょうか。

本記事では、プレゼンテーションに向けての準備や苦手意識の取り払い方などを解説します。

  • プレゼンテーションとは何か

    プレゼンテーションの準備はしっかり行いましょう

プレゼンテーションとは何か

プレゼンテーションは、学校の授業や企業での企画・提案を効果的に伝えるために行われます。もとはアメリカの広告業界で、形として残らない「広告」という商材をうまく売り込むための「戦略」として広まっていったと言われています。

プレゼンテーションの目的

プレゼンテーションの目的は「相手の行動を促すこと」です。この目的をつかんでおくことは、プレゼンテーションを成功させるためにも不可欠です。

プレゼンテーションを行う目的として「相手に説明する」「相手を説得すること」が挙げられますが、それがゴールではありません。最終的にはその先にある「相手の行動を促す」ことが重要です。

例えば、クライアントに企画についてのプレゼンテーションを行ったとします。まずはクライアントにその企画の意図、趣旨を理解してもらうことが大前提ですが、プレゼンテーションの最終的な目的は「クライアントがその企画を採用する」=「次の行動に移す」になります。

  • プレゼンテーションとは何か

    プレゼンテーションの目的や意味をしっかり把握しておきましょう

プレゼンテーションのコツ

プレゼンテーションを成功させるためにはさまざまな準備が必要です。資料作成や事前調査にばかり力を入れる……というように何か一つに注力して準備をするのではなく、これから紹介する準備をまんべんなく行うようにしましょう。

ここでは、プレゼンテーションの準備で行うことや押さえておくべきポイントを紹介します。

プレゼンテーションの準備で押さえておくポイント

まずは、プレゼンテーションの準備で押さえておくべきポイントを3つ紹介します。

目的を押さえる

プレゼンテーションごとに最終的な目的・目標を明確に定めておくようにしましょう。例えば、「相手の購買意欲を高めること」が目的のプレゼンテーションなら、自社の商品を購入することで「相手にどのようなメリットがあるのか」をしっかりとプレゼンテーションの中で伝えなければなりません。

このように目的を明確に押さえておくことによって、そのために必要な要素がはっきりしてくるので、より相手に効果的に届くプレゼンテーションが可能となります。

聴き手を理解する

目的を押さえたら、次は聴き手を理解することが大切です。例えば商談の場においてプレゼンテーションをする場合、最終的な意思決定を下す立場にある人とそれ以外の人がいます。このとき、「最終的な意思決定を下す人」に焦点を当てて計画を練っていくと良いでしょう。

「少し絞りすぎでは?」と思うかもしれませんが、ターゲットを広くしてもかえって誰にも響かないという結果を招きかねません。ここはターゲットを絞り込んで聴き手の置かれている状況やニーズ、悩みを設定し、その解決へ向けて聴き手の感情をどのように導いていくのかを考えましょう。ビジネス用語でペルソナと言われる、サービスや商品の典型的なユーザー像の設定を行うのも効果的です。

聴き手の導き方と理想的なゴールを想像する

目的を明確にして相手への理解も深まったら、次は聴き手をどのように導くかを考えましょう。具体的に決めるのは、話す内容と時間配分です。

例えば、相手の関心が高い内容をはじめに持ってくるという方法は効果的です。その際、時間配分も多めに取って相手の興味をひきつける時間を長くとるようにします。事前にリサーチした相手の悩みに照らし合わせて進行しながら、聴き手が疑問に思っていることをスルーしてしまわないようにコミュニケーションを意識したプレゼンテーションを想像しておくとスムーズです。

また、聴き手との間に心的距離がある場合は、プレゼンテーションを始める前にアイスブレイクを挟むのもいいかもしれません。相手との仲を深める努力をすることで信頼関係も生まれて、安心して話を聞いてもらいやすくなります。

このように、実際のプレゼンテーションをどのように進行していくのかを事前に考えておくことは大切です。

プレゼンテーションの準備で行うこと

プレゼンテーションの準備において重要なのは資料作りです。資料は、聴き手の理解をより促すという意味で大切な役割を担っています。ここでは、資料を準備するうえで押さえておきたいポイントをご紹介します。

事前にヒアリングを行う

資料を作成するとき、事前に聴き手にヒアリングをしておきましょう。例えば、聴き手がどのような機能を持った製品を求めているか、何に懸念を抱いているのかがわかれば、それに沿ったデータや情報を資料に盛り込めます。グラフや表などがあれば、聴き手はプレゼンターの話を聞くと同時に、視覚的にも理解ができるでしょう。わかりやすい資料を作成するためには事前のヒアリングが大切です。

資料は見やすいデザインに

資料は、瞬間的な見やすさを重視しましょう。パワーポイントなどの投影資料の場合、あまりに文字を盛り込むと、聴き手が資料に気を取られて、肝心の話に集中できなくなってしまいます。「ワンスライド・ワンメッセージ」という言葉があるように、1枚のスライドに入れるメッセージは1つまでに抑えておきましょう。

また、文字が小さすぎるのもよくありません。瞬間的に見て何が書いてあるのかわかるくらいの文字の大きさが良いです。具体的には、最低でも18ポイントの大きさで資料を作成しましょう。背景やデザインもあまり凝りすぎず、シンプルなものを選びましょう。

図や表を盛り込む場合は、ただそれだけを載せても聴き手には何なのかわかりにくいので、何を伝えたいのか簡潔に書くことを忘れないでください。

  • プレゼンテーションの準備

    準備は入念に行うことが大切です

プレゼンテーションにおけるNG行動3つ

事前準備をしっかりしたのに、本番でしっかりその成果を発揮できないと残念ですよね。ここでは、プレゼンテーションでしてしまいがちな代表的なNG行動3つをご紹介します。

声が小さい

緊張すると声が震えて思うように出なかった、もしくは自分は声を出しているつもりでも結果的にあまり相手に届いていなかった……なんてことは起こりがちです。しっかり相手に自分の声を届けるためには、自分が思うよりも大きく、はっきり、丁寧に話すように意識することが大切です。また、部屋が広い場合はマイクを使ってもよいでしょう。

資料をそのまま音読する

資料をそのまま音読するのでは、口頭で説明する意味がありません。資料はあくまで説明の補助として活用しましょう。そのまま音読するとうつむきがちになって相手とのコミュニケーションが取りにくくなってしまいます。聴き手の注目を維持し続けるうえでも顔を上げて話すことは重要です。

聴き手を置いてけぼりにする

人前に立つことに慣れていないと、自分が話すことにばかり集中してしまって、聴き手の理解が追いつかないまま話を進めてしまいがちです。発表者と聴き手という立場ではありますが、プレゼンテーションは会話の延長線上という意識で、聴き手とのコミュニケーションを忘れずに進行するようにしましょう。

例えば、聴き手の顔色を見て、わからないことがありそうだったら「○○さん、質問はありますか?」と投げかけるなど、視野を広く持って聴き手の様子をうかがいながら話すといいですよ。

  • プレゼンテーションにおけるNG行動3つ

    本番ではNG行動をしないように気をつけましょう

プレゼンテーションへの苦手意識を取り払うには

プレゼンテーションに対して苦手意識を持っている人もいるでしょう。最後に苦手意識の取り払い方を3つご紹介します。

「誰でも緊張する」と思い込む

プレゼンテーションの前は緊張して、思うようにいかなかったらどうしよう……と不安になりますよね。そう感じるのは誰でも一緒です。だからこそ緊張して固まってしまうのではなく、「誰でも緊張するものだし大丈夫」と心に余裕を持たせてみるとよいですよ。

回数を重ねる

プレゼンテーションが得意」という人も中にはいます。そういった人の共通点として、今まで何度もプレゼンテーションの回数を重ねていることが挙げられるでしょう。回数をこなして反省を重ねると、自分のクセや改善点が見えてきます。それを徐々に改善していくことで、いつしか自分のプレゼンテーションに自信がついてきます。最初は怖くて緊張するかもしれませんが、「何事も経験」と割り切って何度も挑戦しているといつの間にか得意になっているかもしれません。

発表ではなく相手との対話の延長だと考える

プレゼンテーションを発表ではなく聴き手との対話の延長だと捉えるのもいいでしょう。NG行動でも取り上げたように、相手とのコミュニケーションを意識したプレゼンテーションをすることで、相手を置いてけぼりにする事態も避けられますし、自分もリラックスして話せるようになるのではないでしょうか。

このようにプレゼンテーションに対する捉え方を変えてみると、少しずつ苦手意識を取り払えそうです。

  • プレゼンテーションへの苦手意識を取り払うには

    誰でもはじめは緊張するものです

万全な準備をしてプレゼンテーションに挑もう

今回は、プレゼンテーションについて解説しました。慣れるにはある程度の場数を踏むしかないですが、準備をしっかりしていれば慣れていなくても相手に届くプレゼンテーションができます。そのためには相手のニーズを押さえた上で、理想的なゴールに近づけるように事前調査や資料作成に力を入れましょう。