「ディーラー」という言葉は、自動車ディーラーの他、金融業界やカジノなどでも使われています。本記事では、「ディーラー」について、基本の意味、そして自動車、金融、カジノのそれぞれの場合で使われる際の意味を解説します。紛らわしい言葉との違いや、メリット・デメリット、職業のなり方も紹介します。
ディーラーとはどういう意味?
「ディーラー」とは、英語の「dealer」のことです。英語の動詞「deal」には「分配する、わける、(トランプのカードを)配る」「取引する」などの意味があります。そこから、「dealer」は「取扱業者、販売店」「(トランプの)親、札を配る人」といった意味になります。自動車販売業者は「a car dealer」と表記します。
日本語で「ディーラー」という場合も、英語と同じく販売業者、取扱業者、(トランプの)親、カードの配り手、といった意味です。
自動車関連の意味
日本でディーラーといった場合、多くの人にとってもっとも身近に感じられるのは自動車などの「販売業者」の意味でしょう。特定のメーカーと提携して販売したり、メンテナンスしたりするのが仕事です。
自動車を例にとった場合、トヨタと連携しているディーラーには「トヨペット」、日産と提携しているディーラーには「日産プリンス」、ホンダと提携しているディーラーには「Honda Cars」などがあります。みなさんもこれらのディーラーの店舗を見かけたことがあるのではないでしょうか。
金融関連の意味
金融関連でディーラーといった場合は、銀行や証券会社に勤務しながら、自社の資金を運用して金融市場で株式や債券などの売買を行う職業のことをいいます。刻々と変化する相場の動きを見ながら多額の資金を動かして利益を追求する仕事です。損失を出すこともありますが、高いリターンを期待できる職業でもあります。
カジノ関連の意味
カジノでいうディーラーは、ゲームの進行役でありエンターテイナーともいえます。ルーレットを回し、カードを配るなどゲームを進行させながらも、カジノに来たゲストを楽しませなくてはなりません。
カジノディーラーとして活動するためには、高い技能が必要になります。海外でディーラーとして働くには、労働許可を得るためにその国の技能審査を通過しなくてはならない場合もあります。日本ではまだあまり認知されていませんが、海外では注目を浴びている職業なのです。
自動車の正規販売店の意味で使われるディーラー
自動車販売業者で使われるディーラーは、正規販売店ともいわれます。提携しているメーカーの自動車を売ったり、定期点検を実施したり、修理に対応するのがメインの仕事です。
もちろん特定のメーカーしか取り扱っていないので、他のメーカーの自動車と比較したい場合はディーラーを何件か回らなくてはなりません。
ディーラーと販売店(サブディーラー)の違いとは?
販売店(サブディーラー)とは、メーカーではなくディーラーから商品を仕入れて販売している店のことです。メーカーと直接契約しているわけではないので、いろいろなメーカーの車をディーラーから仕入れることができます。
独自に価格設定ができるので、正規販売店よりも販売価格を安く設定できる場合があります。メーカーの正規販売店ではないので、サービス内容やサービス品質に差があったり、純正パーツでなくサードメーカーの安価パーツが使用される場合があったりするなど、サービスの充実度には差が生じる場合もあるでしょう。
ディーラーを利用するメリット・デメリット
ディーラーは正規販売店なので、品質やサービスが高レベルです。メーカーから直接指導を受けていることもあり、知識や経験が豊富なスタッフが多く、安心感を得られるのがメリットです。また、独自の保険や保証に入れることもあります。
一方、デメリットとしては一つのメーカーの車しか取り扱っていない点でしょう。特定のメーカーの商品を扱っているお店なので、他のメーカーの商品が気になったときには取り扱いのあるディーラーまで足を運ばなくてはなりません。そのため、多くの選択肢から選びたいと考えている方は、時間と手間がかかるかもしれません。
新車以外に中古車ディーラー、中古車販売店も
ディーラーには、新車だけでなく中古車を販売しているお店もあります。少しでも経済的な負担を軽くしたいと考えているのであれば、中古車の購入を検討してみるのもいいでしょう。
1~3年の間であれば無料で部品交換を行えるといったディーラー保証がある場合もあるため、安心して車を使用することができます。
また中古車販売店(サブディーラー)も存在します。中古車ディーラーと比べて、さらに価格が安いのが一般的です。しかし、車の状態やメンテナンスの程度、保証内容などは店によって異なります。
金融関連の意味で使われるディーラー
銀行や証券会社、保険会社などに所属し、自己資金を使って、株式や債券、外貨などを売買する職業です。相場の動きをしっかり観察して分析し、リターンを追求しなくてはなりません。誰にでもできることではなく、金融分野や経済関連の知識、分析力などが求められます。
外貨を扱うのであれば、海外とのやり取りも発生してくるでしょう。外国語でコミュニケーションがとれるのはもちろんのこと、海外市場にあわせた不規則な勤務時間にも対応できるような柔軟性と体力も必要になります。
金融ディーラーになるには?
特別な資格などは必要ありませんが、知識と経験、金融センスが求められます。金融ディーラーになりたいのであれば、大学で経済学や金融学を学び、銀行や証券会社、保険会社に就職する必要があるでしょう。
入社後、さまざまな部署で経験を積み、ディーリング部門に配属されることで、金融ディーラーとしての活動を開始できます。
金融ディーラーになるメリット・デメリット
先述した通り、金融ディーラーとして働くためには特別な資格が必要になるわけではありません。学歴や年齢も問わないことが多く、実力があれば高収入を期待できる職業です。
一般的な金融ディーラーは基本給とインセンティブで構成されています。短時間で高い利益を生み出すことができれば、社内で高い評価を得られるので、インセンティブを獲得できるでしょう。また、その利益を継続できれば、社内で活躍するだけでなく、独立することも夢ではありません。
一方、デメリットとしては勤務時間がコントロールしにくいということがあります。世界的な視点で経済を見なくてはならないので、海外の相場にあわせて就業時間が早朝になったり深夜になったりすることはよくあることです。海外とコミュニケーションが必要になる場合は、時差の影響で不規則な時間帯に会議や取引が行われるかもしれません。
ディーラーとトレーダーの違いとは?
金融業界に関連する職業に「トレーダー」という職業があります。銀行や証券会社に勤めていますが、自己資本を使わず、売買の仲介業務を行う仕事のことを意味しています。顧客の指示に従って売買を行い売買手数料を得るため、自分の判断で売買をすることはありません。
金融ディーラーとトレーダーの違いは、自己資本を使うか否か、自分の判断で売買を行うか否かにあります。自己責任がより高いのは、金融ディーラーの方だといえるでしょう。
カードゲームなどカジノにおけるディーラー
ルーレットやカードゲームなどで金銭をかけて遊ぶ遊興施設・カジノ。そのカジノのゲームの進行役や、エンターテイナーとしての盛り上げ役を担っているのが、カジノディーラーです。
ルーレットを回しカードを配るだけでなく、その場の人々が楽しい時間を過ごせるように場を盛り上げるのも仕事です。また、客の飲み物や食べ物の注文にも気を配り、快適な空間を作り上げるのも仕事のうちに入ります。
カジノディーラーになるには?
カジノディーラーになるための資格はありませんが、カジノ施設への就職には技能審査に合格する必要があります。専門的な知識と技能を身につけるためには、ディーラー専門の学校に通い、アミューズメントカジノのスタッフとして働く方法があります。
日本ではカジノは合法化されていないので、現時点でカジノディーラーとして働くのであれば海外での勤務になるでしょう。
カジノディーラーになるメリット・デメリット
年齢や学歴に関係なく働くことができ、定年がないのでスキルを磨けば何歳でも働くことができるのが魅力です。常にレベルアップを求めることができ、今後需要が高まっていくことが予想されているので、これからの時代に必要な人材になるでしょう。
また、カジノには多くの人が訪れるため、一般的な生活を送っていたら会えないような人と出会える可能性があります。大富豪が集まるカジノで気にいられれば、高収入が見込めるかもしれません。
一方、カジノディーラーとして働くデメリットは体力面でしょう。24時間営業のお店も多く、勤務時間が不規則になりがちなのが現状です。金銭が関わる遊びなので、例えば負けたときに暴れるようなお客さんがいた場合、精神的なストレスを感じることがあるかもしれません。
ディーラーという言葉が持つ意味をそれぞれ把握しよう
自動車販売店でよく聞くディーラーという言葉ですが、実は金融業界やカジノの業界でも使われている言葉です。さまざまな場面で使われる言葉だからこそ、それぞれの意味を正しく把握し、使い分けられるようにしておきましょう。
どの場面でどんな意味合いで使うのかを明確にして、ビジネスシーンのコミュニケーションを円滑なものにしてください。