東京商工リサーチは6月7日、2021年1月~5月の飲食業倒産(負債1,000万円以上)が270件発生したと発表した。前年同期比15.6%減と大きく減少した一方、新型コロナ関連倒産が123件(45.5%)と約半数を占めた。

居酒屋を中心に厳しい業況に

  • 飲食業コロナ関連倒産推移(出典:東京商工リサーチWebサイト)

業種別では、日本料理店などの「専門料理店」が最も多く71件(前年同期比19.3%減)。以下、「酒場、ビヤホール(居酒屋)」が69件(同2.9%増)、「食堂、レストラン」が45件(同34.7%減)と続いた。

飲食業倒産に占める新型コロナ関連倒産の割合は、1月43.3%、2月35.1%、3月43.6%、4月53.7%、5月49.0%と、高い水準で推移。業種別にみると、「酒場、ビヤホール(居酒屋)」が62.3%(新型コロナ関連倒産43件)、「持ち帰り飲食サービス業」が60.0%(同3件)、「そば・うどん店」が50.0%(同2件)の順となり、「特に、酒類を提供する居酒屋などを中心に、業況は厳しさを増している」という。

倒産の原因別では、「販売不振」が236件(構成比87.8%)でトップ。次いで「既往のシワ寄せ」が11件、「事業場の失敗」が7件となった。なお、「不況型倒産」(既往のシワ寄せ+販売不振+売掛金等回収難)」は247件で、全体の91.4%に上った。

都道府県別では、大阪府が46件で最多となり、以下、東京都36件、兵庫県17件、愛知県16件、福岡県14件と続いた。前年比増減をみると、増加が20府県、減少が19都道府県、同数が8県となった。

同調査では、飲食業は持続化給付金などで一時的に救済された事業者も少なくないものの、「長引くコロナ禍で体力の疲弊が進み、今後は息切れの懸念が強まっている」としている。