新型コロナウイルス感染症にまつわる検査やマーケティング調査に関連することで、「スクリーニング」という言葉を聞いた経験はあるでしょうか。実はこの言葉、さまざまな分野で使われています。
本記事ではスクリーニングの基本的な意味や語源の他、どんな分野で活用されるのか例文を交えながら紹介します。また、関連語についても解説していくので、さらに理解を深めましょう。
スクリーニングとは? 基本的な意味は「ふるい分け」
スクリーニングとは「複数の対象の中から条件に合うものを選び出す」ことを意味しており、「ふるいにかける」とも表現できます。
もともとは医療の場面や生物学関連で使われていた用語ですが、最近ではビジネスや金融の分野でも使われる機会が増えてきました。
スクリーニングの語源は英語の「screening」
スクリーニングは英語の「screening」という言葉に由来しています。「screen」は、名詞では「画面」や「区切り」という意味で、動詞になると「選抜する」という意味です。また、動詞に「-ing」をつけた動名詞になることで、選抜・選考といった意味を持ちます。日本で使われている意味としてはほとんど直訳の意味になることがわかります。
スクリーニングの類語・言い換え表現
スクリーニングと同じ意味を持つ言葉は、直訳の意味である「選抜」や「選考」が挙げられます。選抜は多数の選択肢の中から目的や条件に合ったものを選び抜くこと。選考は、能力や優劣などを調べ上げ適任者を選びだすことを意味しています。選考のほうがさまざまな面から見て優れている対象を選ぶことを指していると考えていいでしょう。
ふるいにかけるというニュアンスでの類義語は、「ふるい落とす」「フィルタリングする」が似ている意味を持っています。ふるい落とすとは、多くの選択肢の中から条件に合っていない対象を除くことです。フィルタリングにも選別するという意味がありますが、インターネットの有害サイトをはじくアクセス制限の意味で使われる場合は、対象者にとって有害だと判断されるものを排除し、無害なものだけを与える仕組みを指しています。
各分野におけるスクリーニングの意味をわかりやすく解説
スクリーニングという言葉はビジネスシーン以外でも使われます。もともとは医療系の分野で使われており、専門用語としての側面も持っています。さまざまなシーンで活用される言葉だからこそ、それぞれの意味やニュアンスを理解しておきましょう。
医療
医療の分野では、対象となる集団に対して共通する検査を行って、その中から病気などに感染している対象者を見つけ出すことを意味しています。新型コロナウイルス感染症の検査においても、スクリーニングが活用されているのです。
また、生物学の分野でも使われていた言葉で、土の中や水の中などから、目的となる対象物を探し出すことを意味しています。ゲノム配列の中から、目的にあった遺伝子やある条件を満たした遺伝子を探すことも指すので、生物学の分野だけでもさまざまな場面で活用されることがわかるでしょう。
株式投資
金融関連の分野でも使われており、主に株式投資のシーンで使われるのが一般的です。ある条件を設定して、条件に合う銘柄を探し出すことを意味しています。株式投資の世界においては、スクリーニングは重要なポイントであり、現在は証券会社の取引ページなどから行うことができます。
IT
パソコンに関連する意味では、何らかの条件を設定してコンピューターの使用者を制限したり、データを選別したりすることを指しています。データやユーザーをふるいにかけるという意味で使われます。
分野別のスクリーニングの使い方と例文
ビジネスシーン以外にもスクリーニングを使う場面があるので、例文と一緒に正しい使い方をマスターしましょう。専門分野にかかわりのない人でも、ビジネスシーンで使用する機会があるかもしれません。ほかの意味との区別をしっかりつけておくとよいでしょう。
医療における例
「病原体に感染している個体だけをスクリーニングする」
医療の分野では、特定の集団に同じ検査をして病気などに感染している対象を見つけ出すといった意味で使われます。そのため、病原体に感染している個体を見つけ出すためにスクリーニングという言葉を使います。
株式投資における例
「株のスクリーニングを実施して狙い目を見つける」
株式投資において、株式の売り買いのタイミングと同じくらい大事なのがスクリーニングです。株式投資をしている人は、証券会社の取引ページなどから条件を設定して、狙い目の株式を見つけ出すのです。そのような機能を使って、どの株式を売るのか買うのかを判断する際に使います。
ITにおける例
「このソフトウェアはスクリーニングツールです」
パソコン用語として使うのであれば、ユーザーや情報の選別を意味します。ソフトウェアを導入することで、条件にあうユーザーや情報をふるいにかけて選び抜くのです。スクリーニングツールという表現で、選別機能を持ったソフトなどを指しています。
ビジネスシーンにおける例
「名簿をスクリーニングして情報を整理する」
ビジネスシーンで使うのであれば、複数の情報や対象者をふるいにかけて、条件に合うものだけを残す意味です。名簿やデータなど複数あるものを対象にスクリーニングをかけて、条件に合う情報を整理するという作業で使われることが多いでしょう。スクリーニングの方法はさまざまなので、企業や実施者、対象者によっても異なります。
スクリーニングの関連語
単体で使われることもありますが、スクリーニングを使った関連語も存在します。この機会に一緒に把握しておきましょう。
スクリーニング調査
複数の対象の中から、特定の対象者を見つけ出すための調査のことを「スクリーニング調査」といいます。市場におけるターゲットを選定するために行われるのが一般的で、本格的な調査に進む前のプレ調査のような形で実施されることが多いです。本調査の前に実施されるので、事前調査と呼ぶケースもあります。
リストスクリーニング
スクリーニングする対象は、データや情報などさまざまなものがありますが、「リストスクリーニング」と表現したときには顧客リストが対象になることが多いです。顧客リストの中から見込みのある対象者を見つけ出し、的確なアプローチをするために行います。
取引がうまくいく可能性を上げるために実施しますが、どのような条件でスクリーニングをかけるのかによって結果が左右されます。リストスクリーニングをかけるときには、ふるいにかけるための条件に着目するといいでしょう。
スクリーニング検査
スクリーニング検査は、病気などに感染していないかどうか、何らかの異常がないかどうかを探る検査のことを意味しており、多くの人が受けたことのある検査も広く含まれます。例えば、血液検査やレントゲン、MRI検査などが挙げられます。これらの検査を実施することで身体の状態を調べ、何らかの疾患がないかを確かめることが可能です。
最近では新型コロナウイルス感染症関連のスクリーニング検査もあり、自宅でできる検査キットもこの検査に該当しています。
各分野でのスクリーニングの意味を理解しよう
ビジネスシーンや、医療や金融関連、IT用語としても使われるスクリーニングですが、共通して「条件にあっている対象を見つけ出す」という意味で使われます。何を対象として、どのような条件を設定するのかがカギになってくるので、スクリーニングを行う際には明確にしておきましょう。
正しく活用できれば、対象者に対して効果的なアプローチができますが、対象者の絞り方を間違えてしまうと期待する効果が得られないこともあるでしょう。条件の設定を的確にすることを意識して、ビジネスシーンで活用してみてください。