紺野りさ氏の人気少女コミックを実写映画化した『胸が鳴るのは君のせい』。クールな転校生の有馬と、彼に振られてからも一途に思い続けるヒロイン・つかさの思いの行方を描く本作公開にあわせ、有馬役で主演を務める浮所飛貴(美 少年/ジャニーズJr.)と、ヒロイン・つかさを演じる白石聖、さらに原作者の紺野りさ氏の3ショット鼎談が実現した。

「とても自然体でリアルだった」と、浮所と白石を絶賛の紺野が、新たにふたりをモデルにコミックのキャラクターを考えるとふたりは大喜び。さらに、ヒロイン・つかさの“片思い奮闘記”として大人気の本作は、紺野の「実体験が基になっていた」という、浮所と白石もビックリ&大興奮のエピソードが飛び出した。

■胸キュンシーンは、役者さんもドキドキしてるの?

――紺野先生、率直におふたりの演じた有馬とつかさを観た印象を教えてください。

紺野:浮所さんの有馬は登場シーンからかっこよくて、バシっと掴まれちゃいました。おそらく立ち方であったり、カバンの持ち方とか、原作に忠実に動作を研究してくださったんだろうなとすごく感じました。つかさに告白されて断るときの表情や、そのあとも変わらずに接してくるというところも、とてもリアルな男の子として感じられて、ドキドキしました。

白石さんのつかさもものすごく自然体でした。つかさってこういう女の子なんだなとリアルに感じられましたし、シュシュをつけて元気に走ってくる最初のシーンから、すごくつかさっぽい感じが出ていました。泣いたり笑ったり、恋する女の子の表情にもすっと感情移入が出来て、ものすごく可愛かった。それから原作より年齢設定が少し上なので、映画の年齢の等身大の女の子の切なさが見えて、儚げだったり色っぽさもあったりして新鮮でした。

――浮所さんと白石さんが、原作で好きなシーン、そして役柄とご自身が似ている部分は?

浮所:僕が似ているところは、人にシャー芯を借りがちなところかな。

紺野&白石:あはは!

浮所:最初のほうで、有馬がつかさにシャー芯を借りるんですけど、僕も学生時代、仲のいい人にしょっちゅうシャー芯を借りていた記憶があります。あと、恋愛感情とかは関係なしに、話したいと思った人には自分から話しかけにいくところも似ていると思います。原作の好きなシーンに関しては、僕はいまグループでブログをやっているのですが、そこで自分の当番の時に、毎回ひとつ原作の好きなシーンを書いてるんです。

紺野:ええ! 嬉しい!

浮所:だからたくさんあるんですけど、映画にも出てきますが、最後のほうで有馬が、長谷部(板垣瑞生)とつかさの間に起きた“あること”を知ったあとに、ふたりきりの教室で行動するところ。原作では壁の前でつかさが座っているところに有馬が迫るんです。そこの感じが、キュンを超えてギュン!となりました。すごく響いたシーンです。

白石:私が原作で好きなシーンは、有馬くんの家に行って、つかさが再度気持ちを伝えるところです。原作だと高校入学前なので、もしかしたらこのまま離れ離れになっちゃうかもという気持ちもあって、すごく応援しながら読みました。そのあと、高校も一緒だと分かったときの、つかさの表情がすごく可愛らしくて大好きです。私だったらきっと、一度振られたら諦めちゃうと思います。似ている部分を挙げるなら、何か頼み事をされると断れなくて無理しすぎるところが、すごく共感できました。

紺野:おふたりとも、私が演出として盛り込んだ気持ちを、そのまま汲み取ってくれていて感無量です。ここでキュンキュンしてほしいなと思いながら描いたことを思い出しました。ところで、そういうドキドキキュンキュンするシーンは、演じている役者さん自身もキュンキュンしているものですか?

浮所:もちろん演じている側としても本当にキュンキュンしますよ。ステキだなと思いますから。演じながら僕もキュンキュンさせていただきましたし、第三者としても、有馬とつかさを見ながらギュンとしてました。壁ドンとかも、本当にいい経験をさせていただいて、これがキュンなんだなと噛みしめながら、どのシーンも演じていました。

白石:演じてはいますが、その日その日をつかさとして生きてもいるので、つかさの気持ちが乗った自分がいます。それと同時に、客観的に見ている自分もいますね。クライマックスの教室のシーンなんかは、ふたりの行く末にドキドキしながら、「これでこの映画が終わるんだ」ということも相まって、しんみりした気持ちになりました。

■つかさのモデルは原作者自身! 現実にも有馬のような返事が。

――紺野先生、実際に浮所さんと白石さんにお会いしてみて、ふたりをモデルに新たな作品を描くなら、どんなキャラクターにしますか?

浮所&白石:気になる!

紺野:最初にキャスティングを聞いた時には、特に浮所さんのパブリックなイメージを存じ上げておらず、ビジュアルから、とても清涼感のある青年のイメージを持っていました。でもその後『VS魂』を拝見したりして、「可愛い!」と(笑)。つかさが天真爛漫キャラですが、実際には浮所さんがつかさのようなタイプなのかなと感じました。浮所さんを描くなら、笑顔からのギャップがステキそうなので、自分が可愛いことを分かっていて、それを利用してヒロインをドキドキさせていくような小悪魔的な役にしたいです。

浮所:面白そう! めちゃくちゃ読みたいです。嬉しい。

紺野:白石さんは、可愛い系よりもちょっと年上のキレイ系お姉さんで。しっかりしていて芯の通っている女性なんだけど、浮所さんの可愛らしさに癒されたり、時には、翻ろうされちゃうような。年上の女性が年下の男の子に翻ろうされる構図がいいですね。

白石:すごく面白そう。そのマンガ、読みたいです! 普段、キャラクター設定というのは、どうやって生まれていくのですか? たとえば今回の有馬くんやつかさは、先生の理想像なのか、それとも経験談だったり、モデルがいるのですか?

浮所:気になる。聞きたい!

紺野:ふふふ。実は自分が学生時代に、男友達に長い間片思いした経験があるんです。その時の男の子に感じた思いから始まっています。つかさのように、自分で告白もして。

浮所&白石:すごい!

浮所:あの、実際にも有馬のような「すげーいい友達だと思ってる」みたいな言葉もあったんですか?

紺野:はい。「女友達の中で一番好き」と言われました(笑)

浮所&白石:貴重な話!

紺野:かなりの小悪魔だし、思わせぶりですよね。でも、それでもずっと好きでいてしまうような男の子にしたくて、有馬が生まれたんです。浮所さんが演じることによって、「ずるいんだけど好き」という、すごくキラキラ輝きながらも納得のいくずるさのある映画になっていました。

浮所:嬉しいです。ちなみに先生が描かれる立場として、今回の作品で1番好きなキャラクターは誰ですか?

紺野:描きやすさ、動きやすさでいうと長谷部ですね。有馬とつかさの距離感を展開させるにあたって、引っ掻き回し役を担ってほしくて作ったキャラクターです。単純に好きなのはやっぱり有馬です。かっこよくしたいと思って描いてるから。

――貴重なお話をありがとうございました。最後にひと言お願いします。

浮所:先生とお話しできてすごく嬉しかったですし、こんな貴重なエピソードを聞かせてもらえて本当に感激です。僕も、改めて有馬を演じさせていただけた嬉しさを噛みしめています。

白石:こうやって先生のお話を聞けたうえで、つかさを演じられたことが本当に光栄です。

紺野:身近な友達に片思いをする経験って、おそらく多くの人にあることだと思うんです。いろんな青春のイベントを通して、浮所さんと白石さんたちというこんなに輝いている人たちが、片思いの楽しい部分も切ない部分も表現されているので、観ている人も、絶対に共感できると思います。『胸が鳴るのは君のせい』から、自分以外の誰かを好きになる大切さを感じていただけたら、何より嬉しいです。

■浮所飛貴
2002年2月27日生まれ、愛知県出身。ジャニーズJr.内の6人組ユニット「美 少年」のメンバー。2020年に雑誌『Myojo』の人気投票企画の「恋人にしたいJr.」部門で第2位を獲得し、これからのジャニーズを担うと期待されている。今年の1月からはバラエティ番組『VS魂』のレギュラーに抜擢。クイズ番組などでも屈託のない素顔を見せている。昨年、ドラマ『真夏の少年~19452020』にて俳優デビューを果たし、本作で映画初主演。

■白石聖
1998年8月10日生まれ、神奈川県出身。2016年に女優デビュー。2019年に結婚情報誌「ゼクシィ」12代目CMガールに起用され、注目を集めた。ドラマ『絶対正義』『だから私は推しました』『世にも奇妙な物語』『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』などに出演し、高い演技力を評価されている。昨年、『恐怖新聞』にて連続ドラマ初主演を飾った。

■紺野りさ
11月14日生まれ、東京都出身。2007年に『恋せよオトメ』でデビュー。近年の作品に『明日の3600秒』など。累計発行部数250万部を突破した『胸が鳴るのは君のせい』は「ベツコミ」(小学館)で、2012年から2014年まで連載され、全5巻と番外編の1巻が発売されている人気作。現在は「ベツコミ」(小学館)にて『AM8:00、はつこい』を連載中。新装版『胸が鳴るのは君のせい』全6巻が大好評発売中。

(C)2021 紺野りさ・小学館/「胸が鳴るのは君のせい」製作委員会