若い世代を中心に、メンズコスメがトレンドになりつつある。こうした背景をとらえ、@cosme TOKYOでは6月1日から6月8日まで男性向け美容体験会を実施中だ。一体、どんなサービスを体験できるのだろう? 最近「しみ」や「肌のくすみ」が気になり始めた中年の男性筆者が、実際に体験取材してきた。

  • @cosme TOKYOの男性向け美容体験会とは? 実際に体験してきた

    @cosme TOKYOの男性向け美容体験会とは? 実際に体験してきた

■ショップに足を踏み入れると……?

@cosme TOKYOは、約600超の化粧品ブランドを体験できる大型ショップ。JR原宿駅東口の目の前という好立地に2020年1月にオープンしたので、ご存知の方も多いだろう。しかし世の男性を代表して言わせてもらうと、こういう化粧品の専門店は、男性にはなかなか敷居が高い。取材の機会でもなければ、自分も入らずじまいだったかも知れない。さて勇気を出して足を踏み入れてみると、なるほど1階ポップアップスペースにおいて男性向けの美容体験会が実施されていた。

  • 原宿駅前にある@cosme TOKYO(アットコスメトーキョー)(画像提供 : アイスタイル)

    原宿駅前にある@cosme TOKYO(アットコスメトーキョー)(画像提供 : アイスタイル)

窓際の気持ち良いスペースに、ズラリと並んだ男性用の化粧品群。知識のない筆者には何が何やら分からないのでは、と心配していたが、近づいてみると「初めて選ぶスキンケア」「初めてメイク」「シーン別メイク」などのカテゴリに分けられており、また商品ごとのポップアップも充実。誰にでも理解できるような配慮がされていた。

  • メンズコスメの関連商品が、カテゴリ別に並ぶ

    メンズコスメの関連商品が、カテゴリ別に並ぶ

  • 商品説明のポップアップも充実

    商品説明のポップアップも充実

@cosme TOKYO店舗運営グループマネージャーの村上宏明氏に詳しい話を聞いた。同氏によれば、当スペースには6月8日まで日替わりで著名なメイクアップアーティストが常駐。美容YouTuberとして若者に人気の宮永えいと氏も6月4日~8日に来店するという。

  • トップメイクアップアーティストの廣木猛氏(左)と店舗運営グループマネージャーの村上宏明氏(右)

    トップメイクアップアーティストの廣木猛氏(左)と店舗運営グループマネージャーの村上宏明氏(右)

■男性の悩みNo.1とは?

はじめに、メンズコスメの特徴について聞いた。女性向け化粧品とは何が違うのだろう? 「男性は毎日ヒゲを剃っているので、肌のキメが粗い状態です。そこでベースメイクには、肌をフラットに見せる毛穴補正が含まれています。また男性は女性より体温が高いため、汗が蒸発して皮脂が過剰に出て、油っぽくもなる。そこで肌をクーリングする清涼感あるもの、皮脂をおさえる成分が含まれているものが好まれます。あとは色の展開について。女性のように選択肢がたくさんあると、どれを選んで良いのか分からなくなるので、男性用は基本的に1~2色をベースに製品開発されています」(村上氏)。

ちなみに男性の悩みで圧倒的に多いのは「ヒゲをどうにかしたい」だそう。ヒゲを薄くしたい、目立ちにくくしたい。そんな理由で、メンズコスメを購入する男性が増えている。

  • なかには、外観がZippoライター風、USBメモリー風の商品も。”化粧品”を感じさせないデザインが多いのも、メンズコスメの特徴のようだ

    なかには、外観がZippoライター風、USBメモリー風の商品も。”化粧品”を感じさせないデザインが多いのも、メンズコスメの特徴のようだ

■いよいよメイクに挑戦

ここで筆者も、メイクアップに挑戦する。まずは肌測定器で、自身の肌の問題を洗い出すことに。パナソニックとコーセーが開発した「Snow Beauty Mirror」の前に座り、顔写真を撮影した。これだけで、肌の状態をチェックできるらしい……。ちょっとしたエンタメ感のある導入に、すでにワクワクし始めている。さて、僅かな時間で分析結果が出た。それによれば「しみ」と「透明感」のスコアが低い。逆に「しわ」は気にしなくて良さそうだ。

  • Snow Beauty Mirror(実証実験中)で肌の状態をチェック。顔写真に斑点や線がひかれ、問題点があらわになる

    Snow Beauty Mirror(実証実験中)で肌の状態をチェック。顔写真に斑点や線がひかれ、問題点があらわになる

  • しみ、しわ、毛穴、透明感、ほうれい線の5つが10段階でスコア化された。特に深刻だったのは、しみ。40数年もの間、スキンケアをしてこなかった結果、こうなったと理解する

    しみ、しわ、毛穴、透明感、ほうれい線の5つが10段階でスコア化された。特に深刻だったのは、しみ。40数年もの間、スキンケアをしてこなかった結果、こうなったと理解する

分析結果をもとに、奥のスペースで村上氏にメイクアップしてもらった。ここで「普段、顔を洗いますよね。化粧水は使いますか? なぜ化粧水を使うか、ご存知ですか?」と村上氏。洗顔では汚れや古い角質を落とすが、そこに潤いを入れていくことが大事で、潤いバランスを整えるために化粧水が必要になってくる、と分かりやすく説明を受ける。化粧品の知識がまるでない筆者は、すでに学校で授業を聞いている気持ちになっている。

  • 洗顔の代わりにクレンジングローションで汚れを落とし、その上に化粧水、乳液を塗って下地を整えていった

    洗顔の代わりにクレンジングローションで汚れを落とし、その上に化粧水、乳液を塗って下地を整えていった

いろいろ塗ってもらった気がするが、まだ”土台づくり”の最中だそう。気が付けば、いま村上氏の手にはBBクリームという商品が握られている。「両頬、額、鼻、顎の5点にクリームを置いて、顔の中心から外側に向けて広げていきます。指の腹を使って、均一になるようになじませます。内から外へ。マスクをするため、頬骨の真上も意識して塗ります」。学ぶことが多い。

  • SHISEIDO MENの「ヴァイブラント BBモイスチャライザー

    SHISEIDO MENの「ヴァイブラント BBモイスチャライザー」

「手で触ったときにヌルヌル感がなくなったら、終了の合図です。ここまでがスキンケアで、ここからベースメイクに入ります」と村上氏。え、まだメイクじゃなかったのか……。じゃあメイクってトータルでどれだけ手間がかかるんだろう。女性は大変だな、などと今さらながら驚く筆者。このあともファンデーション、コンシーラなど聞き慣れない化粧道具を使った丁寧なメイクが続く。どのあたりに、どのように塗っていけば良いのか。その効果は。手際がよく、説明のテンポもよくて分かりやすい。

  • 村上氏の的確なメイク術

    村上氏の的確なメイク術

  • 今回のメイクに使った化粧道具はこちら。しみ、ヒゲなど色素の濃いところは色を補正するためにファンデーションとコンシーラを使った

    今回のメイクに使った化粧道具はこちら。しみ、ヒゲなど色素の濃いところは色を補正するためにファンデーションとコンシーラを使った

フェイスパウダーをブラシで塗ってテカリをなくし、肌の質感を均一にすると「メイクしている」感がなくなり、とても自然な仕上がりに。眉毛はスクリューブラシで毛流れを整えて、欠けている部分は描き足していく。モミアゲに混じった白髪はマスカラで黒く染めた。そして完成。

  • 中年筆者、少しは若返ったか

    中年筆者、少しは若返ったか

なるほど毛穴がなくなり、ヒゲも目立たなくなった。顔色はワントーン、明るくなった印象。なお村上氏によれば、人が歳を感じるのは目元だそう。つまり目元を若返らせることで、顔の印象も変わってくるようだ。「女性は、こうした化粧を毎日されています。朝、起きて身支度して、朝ごはんを用意して、メイクして1日をスタートさせているんですね」と村上氏。女性の気持ちが、少し理解できた気がする。

■男性もメイクすべき?

最後に、また話を聞いた。

メンズコスメは、まず何から始めれば良いのだろうか。「まずは肌に合うスキンケア用品を整えることからスタートしてください。洗顔、化粧水、乳液、日焼け止めまで揃えていただくのがマストです。ベースをつくる化粧品としては、下地とファンデーション、BBクリームがあります。マスクに化粧品がつかないようにフェイスパウダーもあると良いでしょう。化粧品は、ご自身の肌に合っているものを、正しく使うことが大事です。メイクを始める第一歩として、当店をご利用いただければ幸いです」。

村上氏は「コロナ禍でオンライン会議が増えたことで、あらためて自分の顔を見つめ直すきっかけになった、そんな男性も増えたようです」とも説明する。PCを前にしたとき、顔の血色が悪い、肌の質感が悪い、クマやしわが目立つ。となれば、男性だって「少しでも良いから改善したい」と思うのが自然だろう。

最近の20代男性は美容への意識も高く、@cosme TOKYOに来店する男性客の多くはスキンケア、メイクをしているという話。では30~40代の男性もメイクするべきだろうか? これについては「するべきだと思いますね。男性の美に対する定義も変わってきたと感じています。年齢層が上がっても、清潔感のある綺麗な男性が好まれる世の中になってきました」と村上氏。

男性向け美容体験会に参加した筆者も、少し意識が変わった。それまでメンズコスメは若い男性がオシャレでするもの、と思っていたが、しみ、くすみが目立ってきた中年男性こそ、むしろ積極的に化粧をするべきではないか。相手に不快感を与えないエチケットとしてのメンズコスメが、今後、ビジネスでもプライベートでも求められる時代が来そうだ。

さて今年も6月に入り、これから紫外線の強い季節がやってくる。しみ対策のUVケアからメンズコスメを始めてみようか。相変わらずのステイホーム期間が続くが、あまり人と会わない今こそ、化粧に挑戦する良い機会かも知れない。

●information
@cosme TOKYO(アットコスメトーキョー)
住所 : 東京都渋谷区神宮前1丁目14-27
営業時間 : 11:00~20:00