帝国データバンクは5月21日、2020年度(2020年4月~2021年3月)にフィットネスクラブ(スポーツジム)事業者の倒産や休廃業・解散が累計26件発生したと発表した。過去10年間では最多、過去20年間ではリーマン・ショック直後で需要が大幅に後退した2008年度の29件に次ぐ件数となった。
フィットネス業者、7割超で前年度より売上減
同社が保有する企業データベースを基にフィットネス事業者の業績を調べたところ、通期予想を含めて2020年度業績が判明した約500社のうち、7割超で前年度より売上が減少する結果に。減収となった企業の売り上げ減少幅は平均20%を上回り、前年度より半減以上となった企業もあるという。
減収企業のうち利益動向が判明した企業約130社をみると、約6割が最終損益で赤字、2割が減益となったほか、損益面でも影響を受けた企業が8割超に上った。同調査では、背景には「コロナ禍に伴う利用者の急減と、会費収入の大幅減がある」と指摘。2020年5月には利用者数は2019年の5%台まで急落、2021年に入っても前年比7割前後にとどまっており、「需要の回復は遅れ気味の状況にある」(同調査)。
今後については、「当面の間は各社にとって厳しい経営環境が続く」と予想。ただ、国内の人口当たりのフィットネスクラブ会員数は海外に比べて少ないうえに、外出自粛の長期化で運動や健康への見直しも進んでおり、「国内市場が持つ成長ポテンシャルはコロナ禍でも依然として高い」(同調査)。そのため、屋内店舗型サービスから、オンライン中心のサービスや、アウトドア型のフィットネスなど新たな需要を掘り起こすことで、活路を求める動きが加速しているという。