ビジネスパーソンが“今読むべき本”を厳選し、要約してそのエッセンスを伝える「flier(フライヤー)」。最新のトレンドを学んだり、読みたい本を見つけたりするためのツールとして、累計約80万人のユーザーに活用されています。

この記事では、flierを利用する意識の高いビジネスパーソンの中でも特に、20代~30代のユーザーが今、リアルに読んでいる本とその傾向を紹介します。同世代のビジネスパーソンは今、どんな本を読んでいるのでしょうか? なぜその本が選ばれたのでしょうか? 気になった本があれば、ぜひチェックしてみてくださいね!

たった1行書くだけで、ぐんぐん成長できる

4月、20代~30代に一番読まれたのは、『1行書くだけ日記』(伊藤羊一、SBクリエイティブ)でした。

同じ時期に入社し、同じような仕事をしていたとしても、いつの間にかずば抜けて成長している人はどこにでもいるものです。そんな人を見て、「自分とどこが違うのだろう」「なぜ自分はいつまで経っても成長しないままなのか」とモヤモヤしてしまうこともあるかもしれません。本書は、そんなあなたにぜひお読みいただきたい一冊となっています。

どんどん成長する人といつまでも足踏みしている人は、いったいどこが違うのか。著者の伊藤羊一氏によると、成長できる人は、普段の何気ない会話や日常の経験からでも気づきを得て、学んでいるのだといいます。一方、「自分の平凡な毎日に学ぶことはない」と思い込んでいる人は、なかなか成長できません。

そこで著者が勧めるのは、「1行日記」によって、どんな出来事からも学ぶ習慣をつけることです。日記を書くのは、手帳やノート、アプリやウェブ上のカレンダーなど、なんでもOK。毎日、その日に起こったことを書き、書いたことを振り返る時間をとるようにしましょう。といっても、最初から長々と書く必要はありません。少し物足りないと感じる「1行」から始めるのがおすすめです。

「やったこと」を1行書いたら、「振り返り」を行います。書き留めた「やったこと」を「自分にとってどんな意味がある?」という問いを持って読み返すのです。すると、あらゆる物事を自分ごととして考えることができるようになり、そこから多くのことを学び、気づきを得られて、自分がとるべきアクションを考えられるようになるでしょう。

振り返りの習慣をつけなければ、日々はあっという間に過ぎていきます。今日から「1行日記」を始めて、何気ない物事からも気づきを得る癖をつけませんか。

毎日の小さな積み重ねで、人生は大きく変わる

2位は、『新版 20歳のときに知っておきたかったこと』(ティナ・シーリグ著、高遠裕子訳、 CCCメディアハウス)でした。2010年に日本語版が刊行され、ベストセラーとなった『20歳のときに知っておきたかったこと』の新版で す。

著者は、スタンフォード大学の工学部を拠点として、学生たちに起業家精神に関わるプログラムを提供しています。本書では、著者がスタンフォードの学生たちに与えた実際の課題(問い)とエピソードがふんだんに紹介されています。

2010年に日本語版が刊行されたときに最も有名になった課題は、「手元にある5ドルを2時間でできるだけ増やしなさい」でしょう。よくある答えは「ラスベガスに行く」「宝くじを買う」「洗車サービスをする」「レモネード・スタンドを開く」といった、リスクが大きかったり、儲けが少なかったりするアイデアだそう。さて、あなたがスタンフォード大学の学生なら、どんな方法でお金を増やしますか? 本書を読む前に、ぜひ考えてみてください。

また、本書で説かれる最も大切な教えの一つは、「毎日小さく積み重ねれば最終的にはとてつもない成果が期待できる」ということ。

たとえば与えられた仕事しかやらない人と、毎日1%でも向上する人がいるとしましょう。与えられた仕事の価値を1.0とすると、1年後の価値はどうなるでしょうか。前者は1.0×1.0×1.0……(365回)=1.0で変わりませんが、後者は1.01×1.01×1.01……(365回)=37.78にもなります。これと同じことが、人生のあらゆる場面で起きているのです。

あなたが今「20歳」でないとしても、決して遅くはありません。本書の教えを少しずつでも生活に取り入れて、毎日1%ずつ自分を向上させることができれば、人生は大きく変わるでしょう。最初の1%として、本書をチェックすることから始めてみましょう!

「評価される人」になるための4つのポイント

3位は、『「ニューノーマル」最強仕事術』(濱田秀彦、講談社)でした。

新型コロナウイルスの感染拡大により、テレワークやオンラインコミュニケーションの機会が増え、働き方が大きく変わった方も多いでしょう。

ニューノーマル時代の仕事において、変わったのは働き方だけではありません。労働環境や仕事の進め方が変われば、評価基準も変わるもの。では、これからの時代に「評価される人」になるには、どうすればいいのでしょうか。

本書では、アフターコロナ時代に有用な社員として生き残るためのノウハウを「目標管理」「報連相」「時間管理」「チームワーク」の4つの観点から提示しています。

たとえば「報連相」では、上司をクライアントと思って報告せよと指南されます。上司にとって、身近にいない部下をマネジメントするのは難しいもの。現状を把握するために、上司はこれまで以上に「報連相」を求めるようになります。

あなたを評価するのは上司です。高い評価を得たいなら、上司をクライアントに見立てて、丁寧に「報連相」するようにしましょう。特に報告は「クライアント(上司)への情報提供サービス」と認識すべき、重要な業務です。「結論から申しますと」と書き出し、端的にポイントを伝えられるように工夫しましょう。

また著者は、「時間管理」を「最も重要な一人仕事」と位置づけます。テレワークなどによって時間の使い方の自由度が増す中、時間を戦略的に使う人とそうでない人の差はどんどん広がっていくからです。

戦略的な時間の使い方とは、「成果につながることに多くの時間を投入し、最大限活用する」こと。そのためには、「いつ始めるか」「いつ終えるか」を決め、その通りに進めるようコントロールすることが重要です。他者と一緒にする会議・打ち合わせ・商談のみならず、自分一人でする仕事も「いつ始めるか」「いつ終えるか」を決め、手帳やカレンダーに書き込んで管理するようにしましょう。

本書を読み、実践に移せば、あなたの評価は自ずと上がっていくでしょう。変化の激しい時代においても変わらず成果を上げ続けたいなら、すぐにお読みいただきたい一冊です。

ビジネス書から、ビジネスのヒントを得よう

今回も、成長意欲の高いビジネスパーソンの姿が見えるようなランキングとなりました。

本の要約サイトflierには、他にも、ビジネススキルを磨きたいときや気持ちよく働きたいときに役立つ書籍が多くそろっています。4月のランキングでは、『楽しくない仕事は、なぜ楽しくないのか?』(土屋裕介/小屋一雄、プレジデント社)や『図解ストレス解消大全』(堀田秀吾、SBクリエイティブ)、『TTPSマネジメント』(中尾隆一郎/鈴木利和/肱岡優美子、ディスカヴァー・トゥエンティワン)などがベスト10にランクインしたほか、『自分の小さな「箱」から脱出する方法』(アービンジャー・インスティチュート著、金森重樹監修、冨永星訳、大和書房)、『自助論』(サミュエル・スマイルズ著、竹内均訳、三笠書房)、『人生論ノート』(三木清、新潮社)などといった名著も注目を集めました。

来月はどのような本が注目を集めるのか、楽しみにしていただければ幸いです。