ビジネスパーソンが"今読むべき本"を厳選し、要約してそのエッセンスを伝える「flier(フライヤー)」。最新のトレンドを学んだり、読みたい本を見つけたりするためのツールとして、累計約75万人のユーザーに活用されています。

この記事では、flierを利用する意識の高いビジネスパーソンの中でも特に、20代~30代のユーザーが今、リアルに読んでいる本とその傾向を紹介します。同世代のビジネスパーソンは今、どんな本を読んでいるのでしょうか? なぜその本が選ばれたのでしょうか? 気になった本があれば、ぜひチェックしてみてくださいね!

ワンオペワーママ流、自分らしい人生を実現する時間術

2月、20代~30代に一番読まれたのは、『やめる時間術』(尾石晴(ワーママはる)、実業之日本社)でした。

20代~30代は、仕事にプライベートにと、特に多忙な年代。あれもこれもやりたいし、やらなければならないのに、どう考えても時間が足りない……そう考えてため息をついていないでしょうか。特に仕事に加えて家事や育児、介護なども担当している方は、目の回るような毎日を送っていることでしょう。

本書の著者は、2人の子育てをワンオペで行う超多忙なワーキングマザー、尾石晴(ワーママはる)氏。彼女は育休を取得し仕事に復帰した後、「独身時代とはレベルが違う」ほど忙しく、追われるような日々に突入したそう。「このままではいけない」と数々の時短テクを試してみたもののうまくいかず、試行錯誤を続けた結果、本書で紹介される「やめる時間術」にたどり着いたのだといいます。

著者はまず、「使った時間の現状把握」を提案します。家計簿をつけたりレコーディングダイエットをしたりするときのように、まずは自分がどんなふうに時間を使っているのかを確認してみましょう。そうすれば、「引き算」すべき時間(自分にとって優先度低い時間)と「足し算」したい時間(理想の一日を過ごすために必要な時間)が特定できるのです。

「時間の引き算をしよう」と言われても、どの時間も必要不可欠に思えてしまうもの。そこで本書では、「マイものさしを持つ」など、時間の引き算に役立つ情報もたっぷり紹介しています。

「やめる時間術」を生み出した著者は、会社員を卒業し、新たな道へと歩み始めました。自分らしい人生を生きたいすべての人に、一読をおすすめしたい一冊です。

「空腹力」を鍛えて病気知らずの身体をつくる

2位は、『「空腹」こそ最強のクスリ』(青木厚、アスコム)でした。

あなたは一日3食、しっかり食べる派ですか? それとも、「朝は食欲がないから朝食は抜き」「仕事が忙しいから昼食は摂る時間がない」など、一日2食派、もしくは1食派でしょうか。もしあなたが一日3食派なら、本書を読めば、その生活習慣がガラリと変わるかもしれません。

本書で著者の青木厚氏が指摘するのは、「一日3食はそれだけで食べ過ぎの可能性がある」ということ。そして、一日あたり16時間の空腹時間を確保すれば、健康や若さを維持することにつながるということです。今まで当たり前だと思っていた「一日3食」が実は食べすぎだということに、驚かされる方も多いでしょう。

本書によれば、「一日3食が理想である」という考え方には、そもそもエビデンスがないのだそう。食事をした後に疲れを感じたり、眠くなったりする人は要注意で、内臓が食事によってギリギリまで働かされ、疲れているサインなのだといいます。

とはいっても、今まで続けてきた生活習慣を変えるのは、なかなか難しいもの。「空腹だと仕事に集中できないのでは」と心配する方もいるでしょう。

そんな方もご安心を。著者は「週に1日でもまとまった空腹の時間を作ること」「睡眠時間の前後に空腹の時間を作ること」をすすめています。たとえば一日に8時間の睡眠を取るとしたら、睡眠時間の前後にそれぞれ4時間ずつ、ものを食べない時間を設けてみましょう。これなら、挑戦しやすい気がしませんか?

「空腹力」を鍛えることで、がんのリスクの軽減や、アレルギー改善が期待できることがわかっています。人生100年時代を健康に過ごすために、まずは食事の習慣から見直してみませんか。「3食とらない」というたったそれだけのアクションで、食後の疲れや眠気が軽減され、仕事のパフォーマンスが向上するかもしれません!

「加速」する世界に適応できるかどうかは、あなた次第

3位は、『2030年』(ピーター・ディアマンディス/スティーブン・コトラー、土方奈美(訳))でした。

著者は本書で、時代が進むにつれて「変化」が「加速」していると指摘します。実際、1990年から2000年までの10年と、2010年から2020年までの10年では、どちらの変化のほうが大きく感じられるか、考えてみてください。きっとほとんどの人が、後者の変化のほうが大きいと感じているはずです。

「変化」が「加速」しているのはなぜか。それは、「コンバージェンス(テクノロジー同士の融合)」が起こっているからです。進化するテクノロジー同士が合わさることで、テクノロジーはさらに進化するとともに、「加速」がさらなる「加速」をもたらし、そこからイノベーションが生まれます。そんな時代にあって、私たちには、加速度的な変化に適応する力が求められます。

イノベーションが起こるのはいいことだ――そう感じる人もいるかもしれませんが、必ずしもそうとは言い切れません。テクノロジーの進化は、私たちに恩恵をもたらすだけでなく、多くの問題をも引き起こします。たとえば、水危機、生物多様性の喪失、異常気象、気候変動、環境汚染という「最も重大な5つの脅威」。加えて自動化による失業者の増加なども、テクノロジーの進化の弊害だといえるでしょう。

その一方で、テクノロジーの進化によって引き起こされた問題を解決するのもまた、テクノロジーです。環境問題なら、新たな発電方法とEVの開発や、人糞から清潔な水を得るテクノロジー、森林再生を兼ねた農業改革などによって、事態の改善が図られています。

2030年の未来に何が待ち受けているのか、その未来に向けて私たちは今、どんな行動をすべきなのか。スケールの大きい話に見えるかもしれませんが、このテーマについて考えることは、ビジネス力アップにもつながるはずです。

これからの時代を生き抜くために、常に学び続けて、情報をアップデートし、変化に適応する力を磨きましょう。そのための第一歩として、本書を手に取ってみてはいかがでしょうか。

ビジネス書から、ビジネスのヒントを得よう

今回は、時間術に健康法、そして未来と、あらゆる情報を吸収して自己研鑽につなげようとするビジネスパーソンの姿が見えるようなランキングとなりました。

本の要約サイトflierには、他にも、ビジネスのヒントを得られるような書籍が多くそろっています。2月のランキングでは、2月16日に発表された「読者が選ぶビジネス書グランプリ2021」で読者の支持を集めた『本当の自由を手に入れる お金の大学』(両@リベ大学長、朝日新聞出版)や『シン・ニホン』(安宅和人、NewsPicksパブリッシング)がベスト10にランクインしたほか、『スマホ脳』(アンデシュ・ハンセン、久山葉子(訳))、『サクッとわかる ビジネス教養 地政学』(奥山真司(監修)、新星出版社)などといった教養書も注目を集めています!

来月はどのような本が注目を集めるのか、楽しみにしていただければ幸いです。