ビジネスパーソンが“今読むべき本”を厳選し、要約してそのエッセンスを伝える「flier(フライヤー)」。最新のトレンドを学んだり、読みたい本を見つけたりするためのツールとして、累計約80万人のユーザーに活用されています。

この記事では、flierを利用する意識の高いビジネスパーソンの中でも特に、20代~30代のユーザーが今、リアルに読んでいる本とその傾向を紹介します。同世代のビジネスパーソンは今、どんな本を読んでいるのでしょうか? なぜその本が選ばれたのでしょうか? 気になった本があれば、ぜひチェックしてみてくださいね!

自分の頭で考えない部下には「復唱」と「合いの手」を

3月、20代~30代に一番読まれたのは、『できる上司は会話が9割』(林健太郎、三笠書房)でした。20代~30代とはいえ、入社してしばらく経ち、「上司」という立場になった人も多いでしょう。本書は、部下をもつすべての人にお読みいただきたい一冊です。

上司の悩みの多くは、部下に起因するものではないでしょうか。自分の頭で考えずに上司に答えを求めてくる、目標を達成するぞという気概が感じられない、上司の陰口を触れ回っている……そんな部下たちを取りまとめ、うまくモチベートし、会社からのプレッシャーに耐えながら成果を上げていくことが上司の仕事。とはいえ、人を相手にしている以上、自分ばかりが頑張ってもうまくいきません。

もしあなたが、部下の能力や態度、部下とのコミュニケーションなどに悩んでいるなら、本書をひもといてみましょう。本書では、コーチングのプロである著者が、ケースごとに「部下の能力の引き出し方」を解説しています。部下それぞれの職務能力や思考、業務の違いを考慮しながら「個別化された会話」を進めることで、部下はチームの戦力へと育っていくと著者はいいます。

たとえば、あなたに頼りきりで、自分の頭で考えない部下がいた場合。キーワードは「復唱」と「合いの手」です。

部下が「もう無理です!」とあなたのところにやって来ても、答えを与えず、「もう無理なんだね」と復唱する。それだけで次の言葉がなかなか出ないなら、「それについて、もうちょっと詳しく教えてもらえる?」「それで?」といった具合に合いの手を入れてみましょう。

これを続ければ、部下は解決策をくれないあなたに代わり、自分の頭で考えて問題を解決するようになるはずです。

また、やる気が感じられない部下に困っている場合は、まず「部下のやる気スイッチを入れるのは上司の仕事」と認識しましょう。その上で、部下と対話を重ね、相手の価値観を知り、部下の「やる気スイッチ」がどこにあるのかを把握します。そうした下準備があってこそ、部下にとって意味のある「やる気スイッチ」を見つけ出すことができるからです。

このように本書では、対話を通じて部下の力を引き出す方法が紹介されています。あなたが「上司」なら、「あるある!」と感じるようなケースばかり。きっとあなたの悩みを解消するヒントが得られるでしょう。

29問のトレーニングで思考力アップ!

2位は、『「具体⇄抽象」トレーニング』(細谷功、PHP研究所)でした。

「具体⇄抽象」とは、具体化と抽象化を行き来する思考法のこと。この思考法は汎用性が高く、特に「問題解決」と「コミュニケーション」の分野で有効です。

著者は、「抽象化」を「Whyを問うこと:メタ視点で考えること」、具体化を「Howを問うこと:数字と固有名詞に変換すること」と定義します。つまり手段から目的を考えるのがWhy(抽象化)、目的から手段を考えるのがHow(具体化)にあたります。

本書では「抽象の世界が見えている人は、具体の世界も見ることができるが、具体の世界しか見えない人は、抽象の世界が見えない」といったことが書かれています。「自分は具体の世界しか見えていないかもしれない」と、ドキッとした方も多いのではないでしょうか。

そんな方はぜひ、本書を手に取ってみてください。難しそうに思えるかもしれませんが、まず抽象化の方法をていねいに説明したうえで、29問の演習問題を通して「具体⇄抽象」の思考法をトレーニングできるように構成されているのでご安心を。ひとつひとつ頭を慣らしながら、着実に「具体⇄抽象」の思考法を身につけることができるでしょう。

仕事や自己研鑽を通じて、どんどんスキルアップすることが求められる20代~30代。「問題解決」と「コミュニケーション」を改善してくれる「具体⇄抽象」思考は、より多くの成果を上げるためのツールとなってくれるでしょう。

「伝説の家庭教師」に学ぶ、話し方のコツ

3位は、『世界最高の話し方』(岡本純子、東洋経済新報社)でした。

ビジネスパーソンである以上、どんな業界・業種、雇用形態であっても、「話すこと」から逃げることはできません。それは在宅勤務やオンライン会議が一般的になったコロナ時代も変わらず、報告・連絡・相談や1on1、プレゼンから同僚との雑談に至るまで、コミュニケーションが必要な場面は数え切れないほどあります。

また「話すこと」が求められるのは、プライベートにおいても同じ。家族や友人と楽しく、豊かな時間を過ごし、信頼関係を維持・構築するためには、その場にふさわしい話し方ができなければなりません。

にもかかわらず、話し方に絶対の自信を持っている人は決して多くないでしょう。なぜなら、学校で話し方を習うことはほとんどないからです。

話し方を学びたいなら、「伝説の家庭教師」に学べる本書をおすすめします。本書の著者である岡本純子氏は、エグゼクティブ・スピーチコーチ&コミュニケーション・ストラテジストとして、これまでに1000人を超える社長、企業幹部に「秘伝のコミュニケーションノウハウ」を伝授してきました。本書には、そんな著者のノウハウが凝縮されています。

そのひとつが、相手に気持ちよく話してもらうために「ど」から始まる質問をするというもの。「どう思う?」「どんな〇〇が好き?」「どうしたい?」「どこの出身?」「調子はどう?」「どうしたら?」という6つの質問さえ覚えておけば、10分程度の会話で困ることはなくなるはずだと著者はいいます。

話し方は、その人の性格や考え方を反映するもの。話し方ひとつで、相手に与える印象はガラリと変わります。会話によって良好な関係を構築したい人や、自分の意見やアイデアを正しく伝えて成果に結びつけたい人は、まずは本書を手に取って、一日にひとつずつでも試してみてはいかがでしょうか。

ビジネス書から、ビジネスのヒントを得よう

今回は、部下とのコミュニケーションに思考法、そして話し方と、ビジネススキルを磨こうとするビジネスパーソンの姿が見えるようなランキングとなりました。

本の要約サイトflierには、他にも、ビジネススキルを磨きたいときに役立つ書籍が多くそろっています。3月のランキングでは、『対比思考』(小柴大輔、ダイヤモンド社)や『営業1年目の教科書』(菊原智明、大和書房)、『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』(藤吉豊/小川真理子、日経BP)などがベスト10にランクインしたほか、『道をひらく』(松下幸之助、PHP研究所)、『バビロン大富豪の教え』(ジョージ・S・クレイソン、文響社)などといった不朽の名著や、『ゼロから学べる! ファシリテーション超技術』(園部浩司、かんき出版)、『オンラインでも好かれる人・信頼される人の話し方』(桑野麻衣、クロスメディア・パブリッシング)など、コロナ時代のコミュニケーションを指南する書籍も注目を集めています!

来月はどのような本が注目を集めるのか、楽しみにしていただければ幸いです。