"占いの街"横浜中華街と都内8店舗で鑑定所を展開

国内有数の人気中華料理店が居並ぶ横浜・中華街にあって、新たな名物となっているのが「占い」。特に占い店が集中する通りには、若い女性を中心に行列も散見されるほど。そうした占いブームの火付け役ともなったのが、手相、算命学、相性鑑定、タロット、気学、西洋占星術、結婚鑑定といった多様な占いサービスを展開する太緒だという。

「占いのニーズは確実に増えています。その内容も恋愛や仕事といった代表的なものを筆頭に多岐にわたり、最近ではコロナ禍に関する相談も多いですね。また、占い師にはカウンセラーやアドバイザーの側面もありますので、占いの技術を用いながらお客さまにどうより良いアドバイスできるかというのも重要です。そうして多くのお客さまから高い評価を得た占い師は、評判が口コミで拡がり人気占い師となっています」。

  • 中華街の新たな名物「占い」

そう話すのは、占いサービスを提供する「鑑定所」である「鳳占やかた(ほうらいやかた)」を運営する、太緒の代表取締役、居城庸平氏だ。同社は現在、占いサービスを提供する鑑定所を、中華街に4店舗の他、東京の新宿に3店舗、池袋に1店舗と、合計8店舗展開している。

占い師には人間性も重要

太緒は、1995年の創業以来、年間20万人以上の鑑定を続けてきており、現在、80名以上の占い師が登録されている。そんな太緒の人気の理由として、高い鑑定技術と豊富な経験が挙げられる。鑑定士になるための独自の試験を導入しており、さらに採用後にも研修や面接を通して鑑定技術の向上を目指し続けていると話す。

「真面目に占いをやっているーーそれこそが我々の特徴であると自負しています。占いというのは国家資格ではありませんので、その気になれば誰でも占い師を名乗れます。だからこそ、技術を磨いてもらい、人生経験ややる気、人柄など人間性も踏まえて当社の占い師としてふさわしいと判断してから、現場に出てもらうようにしています」。

このため、同社の占い師になるのはかなりの狭き門だと言える。また占い師の多くは女性であり、人生経験も必要なことから年齢もかなり高めだ。

「いくら占いの技術が高くても、そこで図に乗る占い師は求めていません。言葉というのは時として人を深く傷つけます。そこをよく理解できる、人としての豊富な経験も求められるのです」。

  • 太緒 代表取締役 居城庸平氏

コロナ禍を受けて占いのDX化に挑む

都内にも店舗を構えるなど、ビジネスとして順調な成長を見せていた。そうした矢先の2020年春、コロナ禍に見舞われる。あれだけ賑わいを見せていた中華街も、一時はゴーストタウンと化してしまう。

危機感を抱いた居城氏は、占いのデジタル・トランスフォーメーション(DX)化、すなわちオンライン占い店舗の展開へと乗り出したのだった。

「オンライン占い店舗の"出店"に当たっては、神奈川県中小企業・小規模企業感染症対策事業費補助金を活用することにしました。店舗とは違う新たな客層を開拓しなければいけませんので、どうせやるならばしっかりとした技術を持ったところと一緒にと、信用金庫から紹介されたNTT東日本をパートナーに選び、今年(2021年)1月に正式にお願いしました」。

居城氏は当初、予約の仕組みがある程度できているサービスを使いたいと考えており、あるWebの予約サービスを試したが、占いという特殊な業種で既存の予約システムを使うのは難しいことに気付いたという。

「占いでは生年月日と性別は必須ですし、相性占いになるとそれに相手との両方の情報が1つの予約に必要になってきます。そうした機能の使い勝手の良さが決め手でしたね」。

こうして最終的に選ばれたのが、NTTタウンページが提供する中小企業向けのデジタルマーケティングサービス「デジタルリード」だった。

ここで利用者に希望する日時や本人や場合によっては相手に関する情報など必要な情報を入力してもらい、対応する鑑定士(占い師)が決まるとSNSで告知して正式に申し込んでもらうという仕組みが完成する。

  • 「オンライン占い」はZoom形式で受けることができる

そして予約した時間になると、コロナ禍で広まったZoomを用いてオンラインで占い師と相対することになる。

「オンライン化に当たっては、NTTさんにもいろいろと相談したりして、その都度さまざまな提案をもらったりしました。HPのデザインなんかもいろいろと提案してもらえて助かりました」。

占いの"ヘビーリピーター"をつくってはいけない

オンライン占いが本格的にスタートしたのは、奇しくも2度目の緊急事態宣言が発せられた今年1月だった。新年の運勢を見てもらおうと考える利用者で、最もにぎわう時期だ。

「オンライン占いのおかげでコロナ禍のダメージを抑えることができて、本当にありがたかったですね」。

さらにオンライン占いは、利用する層を大きく拡げることとなった。全国はもちろんのこと、海外からの利用者も増えているのである。

「『中華街の占い』を自宅などで受けられる、並ばなくていい、というのが高評価のようです。そういう新たなつながりもオンラインだからこそ得ることができました。また、実店舗では少数派の男性利用者が多いのも、オンラインの恩恵と見ています」。

さまざまな効果が現れているオンライン占いだが、最大のメリットは、より手軽に占いを受けられる環境が整ったことだと居城氏は言う。

「占いというのは無理してまで受けるものではありません。受けたいと思った時に気楽に立ち寄れる『身近さ』が重要で、オンラインという選択肢は、その実現に大きく寄与してくれました。実は、占いに"ヘビーリピーター"を絶対につくってはいけない、と私は思っています。年に1、2回ぐらいが健全でしょう。しかし経営者としては、売り上げを伸ばさなければいけません。そうした経営リスクの視点から見ても、対面形式とオンライン形式の確立は大きいと思います」。

  • 居城氏(左)と、今回のDX化を進めたNTT東日本 神奈川事業部 地域ICT化推進部 担当課長 村井豪樹氏(右)