パスタといえば、どの家庭でも日常的に食べられている食材の一つ。ミートソースやクリームソースなど、好きなソースと絡めて食べますし、マカロニグラタンやマカロニサラダは学校給食の定番。ペンネなどのパスタもスーパーやレストランでよく見かけるようになりました。
ところで、喫茶店に入ると「スパゲッティ ナポリタン」といった名称のメニューをよく見かけます。このスパゲッティとパスタ、明確な違いがあることをご存知でしょうか。
本記事では、パスタとスパゲッティの違いや日本における歴史、種類、特徴、英語表現などを解説します。この機会に覚えて、食生活に活用しましょう。
パスタとスパゲッティの違い
パスタはイタリア語で「小麦粉を練って製造した食品の総称」を指します。一方、スパゲッティはパスタのなかでも、小麦粉を練って棒状に細長くしたものを指します。パスタとスパゲッティは同じ意味で使われがちですが、実はスパゲッティはパスタの種類にすぎないのです。
パスタやスパゲッティの原料
パスタの原料は小麦ですが、同じ小麦でもうどんやパンに使われるのとは種類が違います。
お店に並ぶパスタやスパゲッティの原材料欄に「デュラムセモリナ」と書いてあるのを見た経験はあるでしょうか。デュラムセモリナは、硬質小麦であるデュラム小麦の、胚乳部分を粗挽きにしたものです。コシにつながるグルテン量が多いため、パスタに適しています。
日本におけるパスタやスパゲッティの歴史
明治時代、フランス人の宣教師が長崎市にマカロニ工場を建設しました。これがパスタ製造の始まりとされています。日本人による国産パスタが製造されたのは、大正時代になってから。横浜の貿易商が、新潟県の製麺業者にマカロニ製造を依頼したことが始まりとされています。
しかし当時の製法では大量生産ができず、また第二次世界大戦の影響もあり、パスタの製造は一時期縮小していました。
日本でパスタが一般的になったのは昭和30年代です。海外への旅行客が増えるとともに、パスタも庶民の生活に広がりを見せます。昭和60年代にはデュラムセモリナ100%の国産パスタが多く製造され、食卓へ浸透していきました。
その後も国産パスタの品質向上は進み、今やパスタやスパゲッティは家庭にはかかせないものとなったのです。
JASにおけるパスタの分類
JAS(日本農林規格)とは、JAS法に基づき農林物資の品質を保証する制度のことです。ここでは日本で製造されるパスタを4つに分類しています。詳しく見ていきましょう。
マカロニ
「マカロニ」は、2.5mm以上の太さの管状、またはその他の形状(棒状または帯状のものを除く)に成形したものです。サラダやグラタンなど幅広く使用されます。
スパゲッティ
「スパゲッティ」は、1.2mm以上の太さの棒状、または2.5mm未満の太さの管状に成形したものをいいます。ナポリタンやミートソースなど、私たちが最も慣れ親しんでいるパスタです。
バーミセリ
1.2mm未満の太さの棒状に成型したものをいいます。あっさりとしたオイルベースのソースや、スープパスタに向いています。なお、パスタの本場イタリアではヴェルミチェッリと呼び、スパゲッティよりも太いパスタを指すので注意しましょう。
ヌードル
帯状に成型したものをいいます。一般的にヌードルというと麺類全般をイメージしますが、ここでは平麺のロングパスタのことを指します。
パスタの種類と美味しい食べ方
ここからはパスタの種類や、それぞれに相性の良いソースについて紹介します。
ロングパスタ
ロングパスタは、麺の細さや形状で呼び方が分かれます。
代表的な太さのものをスパゲッティと呼び、続いてスパゲッティーニ、フェデリーニ、カッペリーニの順で細くなります。麺は細くなるほどソースがしっかり絡みますが、一方で伸びやすいという特性も。冷製パスタなどに向いています。
麺は細さのほか、形状もさまざま。厚みがあり平たい形状のものに、リングイネ、タッリアテッレ、フェットチーネなどがあります。弾力がありもちもちとした食感でソースがよく絡み、ジェノベーゼやクリームソースとの相性がよいです。
また、ブカティーニやブカトーニと呼ばれるストローのように中心に穴の開いたパスタもあります。太めで存在感があるので、ラグーソースやボロネーゼなどしっかり味のソースによく合います。
ショートパスタ
マカロニやペンネなど、短いサイズのパスタをショートパスタといいます。ソースの種類はとくに選ばず、サラダやグラタン、スープなどに活用されます。
一般的に広く使われるマカロニや、両端が斜めにカットされたペンネ、螺旋状のフジッリ、蝶のような形のファルファッレなど、その種類はさまざまです。なかでも筒状で表面に溝のあるリガトーニはソースと絡みやすいので、クリーム系やトマト系など濃厚なソースとよく合います。
また、マニケと呼ばれる円筒状で直径が20~30mmの太いパスタもあります。存在感があるので濃厚なソースにはもちろん、中に肉や野菜などを詰めて調理することもあります。
その他のパスタ
ロングパスタとショートパスタ以外にも、形状が異なるパスタはあります。
ラザニアは、パスタの生地を薄くのばして長方形に切った、シート状のパスタをいいます。ミートソースやチーズなどと層状に重ね、焼いた料理もラザニアと呼ばれます。
また、小さめのシート状のパスタで具を包んだものをラビオリといいます。一般的にひき肉やチーズ、ジャガイモやホウレンソウなど季節の野菜などを詰め、茹でてからチーズやソースをかけて食べます。
パスタやスパゲッティの英語表現
元々はイタリアで生まれたパスタですが、英語ではどのように表現するのでしょうか。細かいニュアンスなど例文を交えて解説します。
パスタはPasta
英語でパスタは「Pasta」と書きます。
小麦粉から作る麺類はまとめて「Pasta」と呼び、料理名としても使われます。
<使用例>
- I like pasta, especially penne.(私はパスタが好きで、特にペンネが好きです)
- Today's daily pasta is minced meat sauce.(本日の日替わりパスタはミートソースです)
スパゲッティはspaghetti
棒状のパスタ全般を「Spaghetti」といいます。
<使用例>
- Here is a list of spaghetti menus.(こちらがスパゲッティのメニュー一覧になります)
- I like spaghetti in general and I like all sauces.(私はスパゲッティ全般が好きで、どのソースも好きです)
スパゲッティはパスタの一種
普段何気なく見聞きするパスタやスパゲッティについて、理解していただけましたか。私たちが普段よく食べているスパゲッティは、パスタの種類のひとつです。ロングパスタやショートパスタ、シート状のパスタなど、形状によってパスタの種類はさまざま。形状が違えば、相性のよいソースも変わってきます。
太めのパスタには濃厚なソース、細めのパスタにはあっさりとしたオイルソースなど、それぞれの特徴にあわせた調理で楽しんでみてください。