映画『いのちの停車場』(5月21日公開)の完成披露試写会が14日に都内で行われ、吉永小百合、松坂桃李、広瀬すず、南野陽子、小池栄子、みなみらんぼう、泉谷しげる、中山忍、石田ゆり子、田中泯、西田敏行、成島出監督が登場した。
同作は都内の終末期医療専門病院に勤務する現役医師でありながら、作家として活躍する南杏子の同名小説の実写化作。救命救急医として、長年大学病院で患者と向き合ってきた咲和子(吉永)は、とある事情から石川県にある父の住む実家へと戻り、在宅医療を通して患者と向き合う「まほろば診療所」に勤めることになる。
コロナ禍で行われた撮影に、吉永は「本当に大変な思いの中でクランクインしましたし、皆で力を合わせて今日の日を迎えられたと思ってるんです。だから今はほっとしてます」としみじみ。有観客の完成披露に、松坂は「皆様と対面して作品を届けることができるのが今の時期難しい中で、こういう機会があることに喜びを感じますし、だからこそこの作品をしっかりと届けたいなと言う気持ちでいっぱいです」、広瀬は「私も舞台挨拶が久々なのでドキドキしてますが、皆さんに本当に届いたらいいなという思いでいっぱいです」と喜んだ。
同作での役割について、松坂は「『月が吉永さんで、太陽は君たち2人だから、そのような存在でいて欲しい』と監督とお話をさせていただいて、そうなれるように努めようと思って現場に向き合っていました」と振り返り、広瀬も「松坂さんがおっしゃった太陽というのはクランクイン前から言われていたので、ずっと意識しながら」と同意する。
診療所のメンバーは家族のような存在となっていたが、西田は「吉永さんが私の妻で、桃李くんが長男で、すずちゃんが長女というような気持ちを勝手に思い込んでいた」と客席の笑いを誘う。さらに「『じいじ』と呼ばれたい意識もありますけども、まだ齢73で、もう少しお父さんと呼ばれる時間が合ってもいいかな」と言う西田は、「なんと言っても憧れの吉永さん、30数年ぶりにお会いしたんですが、30数年ぶりの感じがしなくて、一瞬にしてまだまだ初々しい吉永さんがそこに立っていられたので、びっくりしました。時というのは、人によって公平不公平があるんだなって感じる」と、吉永のことを称賛した。一方吉永は、若い2人について「本当にすずちゃんは涼やかでかわいくて、桃李さんは素敵でキリンのようにすくすくと成長されていてかっこよくて、そういう2人をいつも毎日見ていて楽しかったです」と讃えた。
また吉永は最後に「撮影が終わったあとで、私たちにとって大変大きな悲しいできごとがございました。総指揮の岡田会長が亡くなられたことです」と、東映会長の岡田裕介さんが2020年11月18日に急性大動脈解離で亡くなったことに触れる。「とってもあたたかい励ましとご援助をいただきました。心から感謝しております」と頭を下げた。