「タイニーハウス」という言葉を聞いたことはありますか?
タイニーハウスとは直訳すると「とても小さな家」という意味ですが、リーマンショックの頃にアメリカで生まれたもので、コンテナやプレハブでできた小型の家を指します。車輪がついていて移動ができるものもあれば、決まった場所に据え置きするタイプも。
リーマンショックを筆頭に、東日本大震災、そしてコロナ禍を経て「必ずしも高額な大きな家に住むことだけが幸せとは限らない」「家のダウンサイジングもありなのでは」と考える人たちが増えたことで、近年注目が集まっています。
そんなタイニーハウスに興味を持った人たちが実物を目にすることはもちろん、試しに住んでみることができる場所があります。住まいや暮らし・働き方を問い直す企業であるYADOKARIが京急電鉄と連携し、日ノ出町駅(神奈川県横浜市)の高架下に誕生した施設「Tinys Yokohama Hinodecho(タイニーズ 横浜日ノ出町)」です。
飲食・イベントスペースの「Tinys Living Hub(タイニーズリビングハブ)」、SUPなど水上アクティビティの拠点である「Paddlers+(パドラーズプラス)」に加え、「Tinys Hostel(タイニーズホステル)」の3つで構成されているのですが、なんとコンテナ型「タイニーハウス」に宿泊できるプランがあるのです。
店長の松倉和可さんは、「興味を持って宿泊してくださる方の約半数が、将来タイニーハウスに住みたいと考えていらっしゃっています。お1人で見学・宿泊に来る方も多いですね」と話します。
40~50代の方で第二の人生を考え、暮らし方と人生を見直してタイニーハウスという選択肢を検討している方も多いそうですが、最近では20~30代で「コロナ禍でどこでも仕事ができるようになったから場所にとらわれずに暮らしの選択肢を増やしたい」と興味を持つ人も多いのだとか。
「3棟あるタイニーハウスにはそれぞれ『ディスカバリー』『ワンダー』『サイレンス』という名前がついていて、コンセプトやインテリアが異なります。1週間のステイプランでタイニーハウスに住むということを体験していただくのはもちろん、リモートワークの場所としてやアートギャラリーとして使っていただくなど、新しい使い方もしてほしいな、と提案しています」(松倉和可さん)
利用してみて、実際にタイニーハウスの購入を考えた場合、価格はどのくらいなのでしょうか。
「コンテナのサイズや内装、水回りにもよりますが、200~400万円台が現実的なラインとして多いですね。ただ、アメリカやイギリス・オーストラリアを筆頭に世界で注目を浴びはじめ、やっと日本でも話題になってきたところなので、残念ながら今の日本ではまだまだ課題が多いのも現実です。道路や土地の狭さ、タイニーハウスに対する法律がないこともあって、まだまだ実際に自分で購入して住むのにはハードルが高いかもしれません。ただ、日本で実際に購入して住んでいる方もいますよ」(松倉和可さん)
YADOKARIとしても、いずれはタイニーハウスの販売を検討しているそうで、まず今の段階としては新しい暮らしの体験をしてもらうことに注力している状況です。
実際に1泊の宿泊体験をした人は、「秘密基地みたいでワクワクしました。高架下で音が気になるかな? と思いましたが意外と気にならなかったですね。仕事にも集中できる絶妙な閉塞感がとても居心地がよかったです」と話していました。「住む場所は広い方がいい」という価値観を覆された気がします。
家の庭に置いて部屋として使ったり、第二の家として使ったり……さまざまな可能性のあるタイニーハウス。今後ますます注目が集まってくること間違いなしです。
隣接する飲食・イベントスペースの「Tinys Living Hub(タイニーズリビングハブ)」では季節ごとのオリジナルクラフトビールを提供しており、さらに徒歩1分の場所にははしご酒ができる大食堂「日ノ出町フードホール」があるのも魅力です。休日のデートや友人との遊びのプランの中で「タイニーハウス体験」をしてみてはいかがでしょうか?