目的と目標。どちらもよく耳にしますが、この違いをきちんと説明できますか?
ビジネスパーソンにとって、目的や目標という言葉は付きもの。つい同じ意味と捉えがちですが、じつはこの2つには違いがあります。しっかりと理解したうえで使い分ければ、周囲とのコミュニケーションもスムーズになり、仕事の取り組み方も変わるかもしれません。
今回はまず、目的と目標の意味や使い方をおさらいし、次に学習や仕事でこれらを設定するときのコツをご紹介します。
目的と目標の違い
目的と目標の違いを明確にするにあたり、それぞれの言葉を意味を正しく理解しておきましょう。
目的の意味
目的の意味は「成し遂げようと目指す事柄、行為の目指すところ、意図する事柄」です。わかりやすく例えるなら、山登りでいうところの山頂。つまり、目指す最終地点または終点を指します。
「社会の役に立つ」「たくさん利益を上げる」といった企業のビジョンや、「将来こんなビジネスパーソンになりたい」といった個人のビジョンがこれに当たります。将来、企業や個人としてどう成長したいのか、それを表すのが目的です。
目標の意味
目標の意味は「目的を達成するために設けた目当て」です。目的が抽象的であるのに対し、目標はそれを達成するための具体的な手段を指します。山登りで例えるなら、山頂にたどり着くまでのルート設定や時間配分などがこれに当たります。
まとめると、目的とは「成し遂げようと目指す事柄」を指し、目標とは「目的を達成するために設けた目当て・目印」を指します。どちらも目指すべきものという点では同じですが、目的が物事の最終地点つまり終点であるのに対し、目標はそこへたどり着く途中段階であるという違いがあります。
日々の業務やテスト勉強において、目標を細かく設定し着実に達成していれば、いつか目的に近づけるかもしれません。
目的と目標の使い方や例文
目的と目標を使った例文をみていきます。それぞれの特徴や使い方を理解しましょう。
目的の例文
目的を使った例文には以下のようなものがあります。
<例>
- 会社をもっと大きくするという目的のために、努力し続けなければならない
- この研修の目的は、みんなの団結力を高めることだ
以上のように目的という言葉は、目指すべきものが抽象的だったり、達成に要する時間が長期的だったりするものに使われます。
目標の例文
目標を使った例文には以下のようなものがあります。
<例>
- 今月の目標は、営業成績で社内3位以内を取ることだ
- 来月までに5社と新規契約を結ぶのが目標だ
以上のように、目標とは目的を達成するためのより具体的な目印であり、多くの場合に数量や数値を含んでいます。
目標設定の重要性
ビジネスシーンにおいて、目標をいかに設定するかはとても重要。それだけで個人の仕事への取り組み方、ひいては会社の雰囲気も変わるともいわれています。
そこで注目されるのが、「SMART」という目標設定の考え方です。内容を理解して、ビジネスチャンスにつなげましょう。
目標設定におけるSMARTとは
目標設定において重要なのは、誰が見てもわかりやすい内容にできるかどうか。そのために必要な要素は5つあり、それぞれの頭文字をとってSMARTと呼ばれています。
以下に、5つの要素を紹介します。
- Specific(具体的に)
誰が読んでもわかるように、5W1Hや具体的な数字などで明確にします。
- Measurable(測定可能な)
達成度合いが一目でわかるように、定量化して具体的な数値にします。
- Achievable(達成可能な)
希望や願望でなく、高い設定でありながらも実現可能な範囲内にします。
- Related(経営目標に関連した)
所属する会社や部署の目標に基づいた内容にします。
- Time-bound(時間制約がある)
いつまでにやり遂げるのか、期限を設けます。
SMRATはビジネスシーンのほかにも、資格試験の勉強やダイエットなど、プライベートでも活用できます。覚えておけば、目標達成の大きな助けになることでしょう。
目標設定におけるベーシック法とは
目標設定においては、ベーシック法という考え方もあります。SMARTと内容は似ており、以下の4つのステップに沿ってより具体的に表します。
【目標項目(何を達成するのか)】
細かく分けて、以下の4つの項目に分かれます。
- 向上(今の強みをさらに伸ばす)
- 改善(課題を克服する)
- 維持(今の状態を保つ)
- 創出(新たに何かに取り組む)
【達成水準(達成できたか判断するための指標)】
数値などできるかぎり目に見える状態で定量化します。定量化できない場合も、「海外の顧客と英語で商談する」など具体的に説明できるようにします。
【期限(いつまでに達成するのか)】
1年間、あるいは四半期などの期限を目標に合わせて設けます。
【達成計画(目標をどうやって実現させるのか具体化する)】
どのようなプランで目標を達成していくのか、使うツールや取り組む頻度などでより具体的に考えます。
ビジネスシーンにおいて目的と目標を設定するメリット
目的や目標を設定することは、ビジネスシーンに深くかかわってきます。仕事の質を高めるためにも、目的や目標がもたらすメリットを知っておきましょう。
モチベーションになる
組織で働いていると、仕事の目的や目標は組織から与えられがち。どうしても受け身になり、モチベーションも保ちづらいものです。自分で目標を決め、達成できたときの喜びは、確実に次の仕事へとつながるでしょう。
ステップアップできる
自分で目標を設定すれば、たどり着きたい到達地点が明確です。具体的に何をすべきかはっきりしているので自分からアプローチしやすく、努力が継続しやすいとされています。
キャリアパスが明確になる
自分の仕事について深く考えることで、将来のビジョンを思い描きながら日々の業務に取り組めます。希望するビジョンに近づくために何をすべきか、その道筋も明らかになるのです。
目的と目標を設定する際の注意点
目的や目標を設定しても、理想が高すぎて到達不可能なものならば逆効果です。やる気をなくすことにもなりかねません。まずは小さい目標を少しずつ達成しながら、モチベーションを維持することが大切です。そのなかで徐々に難易度をあげていけば、大きな目標も現実味を帯びてきます。
例えば「家を買う」という目的に対して、「1,000万円貯金する」という目標は現実味がありませんよね。「毎月10万円ずつ貯金する」とすれば、とたんにやる気も変わってきます。
自身にとって無理のない範囲での目的・目標設定を心掛けましょう。
目的と目標の意味の違いや使い方を理解しよう
今回は、目的と目標について深く掘り下げてきました。意外と知らないニュアンスの違いに気づおいていただけましたか。目的と目標を設定するのは、何もビジネスシーンに限ったことではありません。資格試験の勉強やダイエットなど、プライベートにうまく取り入れて、充実した生活につなげましょう。