島根県の特産品を扱うアンテナショップ「しまね館」では、観光・移住などの情報発信や、さまざまなイベントも実施中。2021年2月14日から始まった全4回のオンラインイベント「しまね館の縁結び」の第2回となるオンラインイベントの内容を紹介します。

  • 右上=イマジンコーヒーの岸本展明さん、左上=李白酒造の田中裕一郎さんと、左下=司会者、右下=しまね館スタッフ

「しまね館の縁結び」第2回

2020年4月、東京・日本橋(中央区)から日比谷(千代田区)へ移転した、「日比谷しまね館」。島根といえば縁結びで有名な出雲大社、というわけで、「島根とのご縁を結ぶ場所」をコンセプトとして島根の魅力を発信しています。

  • しまね館では、飲食物以外の特産品も取り扱う

しまね館のオンラインイベント、「温故知新 ものづくりと民藝の心を持って新たにチャレンジする取組を体験」では、ゲストスピーカーとして李白酒造代表取締役社長の田中裕一郎さんと、IMAGINE. COFFEE(イマジンコーヒー)店主の岸本展明さんが登場。

どちらも島根県の県庁所在地である松江市に位置することと、嗜好性の高い飲み物を扱うことが共通しています。ただ、李白酒造は創業 140 年の老舗で、IMAGINE. COFFEEは2009年創業と新しい点だけは好対照です。

  • ビデオ会議システムサービスZoom上で開催された

2人は温故知新の考えをベースに置きながらも、時代に合った地方活性を意識し、仕事に励んでいるそうです。

日本酒の魅力を島根から発信

李白酒造は、明治15年に松江市内に創業。中国の唐の時代に、酒を愛し酒仙(しゅせん)とも呼ばれた天才詩人「李白」の名が由来です。

李白酒造の酒は、約30年前から海外輸出を始め、現在は県内3分の1、県外3分の1、海外3分の1と、県内外・国内外でも多く愛飲されるようになったと話します。

  • しまね館でも李白酒造のお酒を試飲できる

酒の海外輸出は、「醤油や和食が世界に浸透しているのに、日本酒がついていかないのはもったいない。世界の人に日本酒のおいしさを知ってほしい」という思いから、田中さんのお父様が始めました。

20数年前、父親がアメリカのテレビ局取材に対し「目標出荷量は年間100ケース」と答えた映像が残っているそうです。今は1,000ケース出るようになったとのことで、しっかり目標を達成したのですね。

同社の製造チームの平均年齢30代と若いのが特徴。田中さんは当初、東京農業大学で酒造を勉強し杜氏(酒造り職人)を目指したとそうですが、「猛勉強してセンスがあれば、天才杜氏になれる人もいるかもしれないが、酒蔵の社長は僕以外できない」と考えを改め、以来、社長業に励んでいます。

湖に沈む夕日を眺めながらコーヒーを

IMAGINE. COFFEEの岸本さんも負けずに、仕事や島根への愛を語ります。

  • イマジンコーヒーでは高品質のコーヒーを扱う

同店は、松江市内でも郊外の東出雲で創業し、現在は駅の近くで賑やかな伊勢宮町に移転。それと同時に、豆の自家焙煎を始めました。扱う豆は、スペシャルティ品質がメイン。スペシャルティコーヒーとは、簡単に言うと、生産国や農園名、精製方法からお客に提供するカップまで、すべての段階において透明性が確保された高品質のコーヒーだと言います。

イベントでは、店の創業物語などを語っていましたが、もっとディープな島根愛を語ってもらおうと、後日、電話取材をしてみました。

「島根・松江の魅力は、ランドマーク的存在の宍道湖(しんじこ)という湖です。街の真ん中に大きな湖があるのは珍しいのではないでしょうか。自宅も店も湖の近くで毎日のように見ていますが、夕日が落ちると抜群にかっこいいです。

島根には空港が3つありますが、交通は不便。それでも、島根に来てくれる人を見ると、『ひと味違うな』と思っています。自分も一度離れて戻ってきたからこそ、生まれ育った街の魅力がよく見えるようになりました。テレワークや二拠点生活の拠点として島根を選ぶ人も増えてきています」。

アンテナショップがオンラインイベントを主催?

このように、新しい試みとして開催され、盛況となったオンラインイベント。コロナ禍もあり、瞬く間に普及したオンライン会議ツール「Zoom」を活用し、東京のアンテナショップが主催し、現地の人や島根ゆかりの人がガイド役となるのが斬新です。

しまね館としては、島根県の特産品をPRするだけでなく、作り手のストーリーまでを紹介したいという思いが根底にあるそうです。

「商品を使って価値が終わるのではなく、それがどんなところで誰が作っているのかというモノづくりストーリーまで伝え、使ってくれた人にファンになってほしいと考えています」と、日比谷しまね館の安達昌明館長が教えてくれました。

●information
日比谷しまね館
東京都千代田区有楽町1-2−2 日比谷シャンテB1
※記事内で紹介した李白酒造など、島根県内のほとんどの酒蔵の酒の取り扱いあり