格好いいスマートマッチョ、しなやかな美ボディには実は誰もがなれる。しかし、それにはひとつ条件がある。「肩甲骨と骨盤まわりに柔軟性を養い保つ」こと。

  • 肩甲骨と股関節が動くとボディスタイルが一気に変わる!

    「肩甲骨と骨盤まわりをしなやかに動かすことで、スマートマッチョ、美ボディは実現する」と話す青山剛氏(写真:真崎貴夫)

トレーニングコーチ青山剛氏は言う。「日々のストレッチで、肩甲骨と骨盤を自在に動かせるようにしてみましょう。あなたの人生が変わります!」と。

■体幹主導の動きをするために

──スマートマッチョになりたい、しなやかな美ボディを手に入れたい、そう考えた時にトレーニングのポイントは何ですか?

青山 ズバリ、肩甲骨と骨盤まわりの動きをしなやかにすることです。この部分を柔軟にしておかないと、カッコイイ肉体、美しいボディラインは実現しません。

──それは、なぜでしょう?

青山 私は日頃から多くの一般ランナーの方を指導していますが、ランニングの上達に欠かせないのが、肩甲骨と骨盤まわりのしなやかな動きなんです。
走る際には腕を振ります。この動作が何をもたらすのかといえば、肩甲骨を動かすのです。その動きが骨盤の動きへと連なり、体幹の力を上手に使いながら足をスムースに前へと進めてくれる。つまり、肩甲骨と骨盤まわりを柔軟にしておくことで理想の走りが実現するのです。

では逆に、これらの箇所を硬くしたままで走り続けるとどうなるでしょう。体幹が使えていない分、足の力に頼って前に進むことになります。すると足だけが太くなってしまい、美ボディから遠ざかってしまいます。

これは、日常生活の動きにも同じことが言えるんです。たとえば、近くにあるものを取ろうとするとき…肩甲骨まわりを硬くしてしまっていると、ついつい手先だけを伸ばしてしまいます。でも肩甲骨を動かせる状態であれば、体幹からカラダを動かします。日常生活における運動量を考えると、この違いが大きいんです。

骨盤も動かせるようにする必要があります。いつも骨盤を後傾させて(背中を丸くさせて)、その周囲の筋肉を硬くしたままだと、運動や食事制限をいくら頑張ってもボディラインは美しくなりません。これも体幹主導の動きができていないからですね。

■肩甲骨を動かせないと…

──つまり、「機能性の高いカラダ」こそ「美しいカラダ」であると。

青山 そうです。
近年、特に気になるのは、姿勢の悪い人が増えていることですね。これは、パソコン、スマートフォンなどの普及と無関係ではないでしょう。日中、多くの人がオフィスでパソコンに向かって仕事をしています。1時間、2時間、いや場合によってはもっと長く同じ姿勢で椅子に座っていますよね。最近はコロナ禍の影響で自宅でのリモートワークも増え、通勤での運動も減り、なおさら姿勢を崩している人が急増しています。

その姿勢をイメージしてみてください。
机の上に腕を置き、あるいはヒジをついて、肩を前に出して胸を閉じていませんか?

──はい。背中も丸まっていますね。

青山 このままの姿勢で座り続けていたならば、肩甲骨まわりの筋肉が硬くなっていってしまいます。そんなことを日々続けて、その状態を放置していたら、理想のカラダを手に入れるどころではなく、健康面にも影響が及びます。肩こりを引き起こし、さらには腰痛に見舞われる可能性も高くなるでしょう。

でも仕事の合間に肩甲骨を寄せて離し、さまざまな角度に動かすストレッチを行なっていれば、そうはなりません。
ダイエットや肉体改造にもストレッチは有効ですが、それだけではなく長い人生、何歳になっても健康で過ごすために欠かせないものだと思います。

私は毎日、80種類以上のストレッチを45分かけてやっています。そのおかげで「ケガなし! 病気なし! 肥満なし!」の生活が送れています。
でもストレッチにそこまで時間を割けない、割きたくないという方も多いことでしょう。ならば、肩甲骨と骨盤まわりだけでもケアしてみてはどうでしょうか。この部分をしっかりと動かすことで、カラダにしなやかさが宿り、健康も維持できます。

ストレッチを蔑ろにしてはいけません。ストレッチが、あなたの人生を健康でより良いものへと導いてくれるのですから──。

肩甲骨まわりのストレッチ

  • 1 まっすぐに立ち、両腕をクロスさせる形で左右に伸ばす。

  • 2 ヒジを曲げて両腕を顔の前で絡め、指も組む。

  • 3 上半身を前に倒す。肩甲骨まわりと腰をしっかりと伸ばせる。

骨盤まわりのストレッチ

  • 仰向けに寝て、右足を左ヒザの上にのせて静止する。足をのせ重みをかけることで骨盤まわりを深く伸ばすことができる。左右逆もやってみよう。

<上から見ると>

文/近藤隆夫、監修/青山剛