今回の新番組と同じように、4月は多くの人が新たなスタートを切る季節でもあるが、ゆりやんは「私、新しい環境になじみにくかったんです」と意外な過去を明かす。

「中学、高校、大学と進学したりクラス替えしたりすると、新しい環境が本当に嫌で、毎回5月くらいまでグズグズしてたんです。結局、夏くらいから楽しくなるんですけどね。高校に入ったときも最初『なんやこの学校』って思ってて、クラスのメンバー1人1人の似顔絵を描いてたんですよ。それから1年近く経ってまた似顔絵を描いたんですけど、それを最初に描いたのと比べたら、全員顔つきが違って! 最初に描いたほうは『みんなのこと、こんなひどく見てたんや』っていう顔だったのが、みんなのことを知って後から描いたのはすごく穏やかな顔で、『こんなんしたらあかん!』って思ったのを覚えています」

新しい環境が苦手なのは、芸人の仕事を始めてからも続いたが、親に言われた言葉で意識を変えることができたという。

「この仕事なんて、毎日お会いする人が違うじゃないですか。それでどの現場に行っても『私なんて…』『すいません、こんなところいていいんでしょうか…』とか思って緊張してたんですけど、ある時に親から『こういうのは以心伝心やから、こっちが最初から“嫌やな”と思うと、向こうも“嫌やな”と思う。とにかく“よろしくお願いします!”という気持ちで行ってみたらどう?』って言われたんです。それから、『誰も私のことなんか何も思ってない!』と思うようになって、緊張しなくなりました」と、4月から新たな環境に身を置く人たちのアドバイスにもなるエピソードを明かしてくれた。

■アメリカ進出の夢「諦めることではなかった」

こうして一躍ブレイクを果たし、今年3月には念願の『R-1グランプリ』チャンピオンに。「優勝さしてもらえたら、それに満足してネタとか作らへんようになったら嫌やなあとか想像してたんです」というが、実際には「むしろさらにネタをもっとやりたいなと思うようになりました。5月には単独ライブもやらせてもらいますし、よくも悪くもリラックスしてネタを出していきたいですね」と杞憂だったようだ。

また、「普段ネタを考えるとき、あんまり机に向かって作るぞ!というタイプではなくて、人としゃべって聞いた一言とか、映画見たり誰かと会ったりしたときの出来事とかで思いつくことが多いので、新しくインプットのできる環境を頂けて、たくさんヒントがありそうで楽しみです」と、アイデアを得る面でも今回の番組に期待を寄せる。

『R-1』優勝後の会見で、「いつかアメリカに行って芸人になりたいです」と次の目標を宣言していたゆりやん。「子供の頃からアメリカの映画に憧れて、それに携わる仕事をしたいなと思ってたんです。女優としてじゃなくて、特殊メイクさんでも何でも、とにかくアメリカに行きたいと憧れてたんですけど、結局芸人になろうと決めて、諦めたんです。でも、芸人さしてもらっても、自分のやりたいことを仕事につなげることができるということが分かったので、諦めることではなかったんだと思いました」と、かつての夢を再び追いかけることを決めた。

この4月から活動の拠点をアメリカに移す渡辺直美にも触れ、「芸人で新しく道を拓いてくださったのですごい尊敬しますし、感謝して、私もそういうふうに夢をかなえられるようにしたいなと思います」と意気込んでいる。

●ゆりやんレトリィバァ
1990年生まれ、奈良県吉野郡出身。NSC大阪校の35期生で首席卒業。15年には『R-1ぐらんぷり2015』決勝に進出。17年、第1回『女芸人No.1決定戦 THE W』で優勝。19年6月、アメリカのオーディション番組『アメリカズ・ゴット・タレント』に出演し、日本のみならず、アメリカの観客を沸かせた。21年、『R-1グランプリ2021』で優勝し、全国ネットのお笑い賞レース2冠を達成。4月からカンテレの情報番組『2時45分からはスローでイージーなルーティーンで』の木曜MCを担当する。