ビズヒッツはこのほど、アルバイトを辞めた経験者男女500人を対象に「アルバイトを辞めた理由に関する意識調査」を実施しその結果をランキング化して発表した。その結果、やめる理由について本音と建前ではズレがあるものの、6割以上がアルバイト先には直接伝えていることがわかった。

アルバイトを辞めた理由

  • アルバイトを辞めた理由について

1位「人間関係」

アルバイトを辞めた理由について、「人間関係」が2位以下に大きく差をつけて1位となった。職場の人間関係については、正社員でも退職理由の上位に挙がる理由で、雇用形態に関わらず働きにくい要因になっているようだ。具体的な理由では、社員からの嫌がらせや店長の性格など、いじめやパワハラといったものが挙げられている。

2位「卒業・進学・就職のため」、3位「学業に専念するため」

2位には「卒業・進学・就職のため」がランクイン。回答者は学生に絞ってはいないが、学生アルバイトに多い退職理由になっている。3位には「学業に専念するため」が入っている。

具体的には、20代女性「高校から大学に入るときに利用する路線が変わったため」や30代女性「大学を卒業して就職するから」という進学、卒業することで生活環境が変化したことによるもので、40代男性「同時に正社員の職を探してて、決まったので」のようにライフステージに影響されていることが多数だった。

「学業に専念するため」も学生に多い理由だが、具体的な理由では「大学の授業が忙しくなった」「勉強に支障が出た」「受験勉強に専念したい」「留学する」を挙げている。学生以外では「資格の勉強をするため」という理由が挙げている。

続く4位と5位には、「仕事内容が合わない」「他の仕事をしたくなった」といった仕事の内容が関わっているものだった。

20代女性「接客するのが元々苦手で、嫌になったから」をはじめとして、「店先で大声で呼び込みをする仕事が恥ずかしくてできなかった」、「初対面の人と接することが苦痛だった」といった精神的に苦痛に感じてしまうケースもあるようだ。アルバイトを始める時には気がつかなくても仕事を続けた結果、自分には向いていないと解ることもあるだろう。

30代男性「働いていたアルバイト先で学べる事がなくなり、他のアルバイトでの経験が積みたくなった」、40代女性「他に魅力的なバイトがあったため」というようなステップアップを退職理由にしている人が多数だが、仕事内容ではなく、時給や条件を理由にしている人もいた。

6位以降の回答

6位は「体調不調・健康面の不安」だった。20代男性「あまりにハードな肉体労働であったため」や30代男性「腰を壊して動けなくなった」のように、体調を崩してしまったケースや、病気、けが、妊娠などが理由に挙げられている。中には「ダブルワークをしており体力的な負担が大きかった」という人も複数いた。

7位は「勤務時間・日数への不満」、8位には「時給・収入への不満」という雇用条件に関わるものが入っている。勤務時間・日数については「シフトに入れてもらえない」「シフトが多すぎる」「シフト変更が多い」「季節によりシフトに差がある」「希望の休みがとれない」「夜勤がツライ」など様々な声が聞かれた。特に「シフトに入れてもらえない・減った」が多く見られた。

賃金への不満の声も多く、20代女性「時給が最低賃金だった」、50代男性「時給と仕事内容のバランスが悪すぎた」などで、中には「最低賃金以下で働いていた」「残業代がつかなかった」など、職場のコンプライアンス違反を訴えた人もいた。

バイト先に伝えた辞める理由

  • アルバイト先にやめる本当の理由を伝えたか

アルバイトを辞めるにあたり、アルバイト先に「辞める本当の理由」を伝えたかの質問に対して、6割が本当の理由を伝えていた。その一方、4割がウソの理由を伝えているということだが、その内容について聞いてみた結果をランキングにした。

  • アルバイト先に伝えた建前の理由

1位「学業に専念するため」

1位は2位にダブルスコアの差となった「学業に専念するため」だった。退職理由を30代女性は「学校が忙しくなった」と伝えたが、本音は「他のバイトがしたくなった」で、30代男性の本音も「人間関係が悪い」だったとのこと。大学生ならば専門科目の授業が増えた、高校生なら受験に備えたいと説明すればバイト先も納得せざる得ないだろう。本人のステップアップを理由にされると慰留しづらいところで「資格を取る学校へ通いたい」と伝えた人もいた。

2位「家庭の事情」

2位は「家庭の事情」だった。30代女性「親戚の事業の手伝いをするよう言われたから」、40代女性「父親の介護」と退職理由を伝えたが、本音は時給・収入への不満や人間関係にするものだった。家庭の事情にも、他人には足を踏み入れにくい話題だが、詳しく話せないことを盾に、時短勤務や休職を提案されることもあるそうだ。後から嘘がバレると気まずくなるだけでなく、後々影響が出ないとも限らないので、詳しく説明をするのは避けたほうが無難そう。

3位「引っ越し」

3位は「引っ越し」で、「実家に帰る」と伝えた20代女性の本音は「他の仕事をしたくなった」、「引っ越しをする」の50代女性は「人間関係が悪い」だった。理由としては慰留しづらいが、実際は引っ越さない場合に近所で顔を合わせてしまうケースも考えられるので、注意が必要かもしれない。

4位「体調不良」

4位は「体調不良」だった。「体調が悪く働けない」と言われれば、バイト先も引き止めるのは難しいが、バレた場合に気まずくなりそう。この理由を伝えた30代女性の本音は「仕事を教えてもらえなかった」、40代女性は「仕事内容が合わなかった」だったが、退職後すぐに別の職場で働き始めるのは難しく、前の職場と関連性が無いかどうかを調べた方が良さそうだ。

5位「他にやりたい仕事がある」

5位は「他にやりたい仕事がある」という、職場への不満を直接言うのではなく、本人にとってポジティブな理由にして伝えるだった。「違う方面で活躍したい」と伝えた20代女性の本音は、勤務時間・日数への不満で、同じく30代男性は人間関係が悪いことだった。理解のあるバイト先であればすんなり進みそうだが、そうでない場合は説得されてしまうこともありそうなので、覚悟が必要だろう。

6位以降の回答

6位は「就職活動」で、5位と同様に前向きな理由なので慰留されづらいと言えそうだが、バイトから正社員を勧められるケースもありそうだ。20代男性の本音は勤務時間・日数への不満で、40代男性は人間関係が悪いと言う理由で、立場は変わっても同じ職場で働くこと自体に嫌気がさしているので退職の気持ちは変わらないだろう。慰留された場合に備えて、事実ではなくても、具体的にやりたいことを決めておくといいかもしれない。

同率で6位に「他の仕事が決まった」がランクイン。本音は職場環境が悪いが理由の20代男性は、就職先が決まったと伝え、人間関係が悪いが理由の30代女性はバイトでなく正社員が決まったと伝えている。人手不足の職場では「他にやりたい仕事がある」や「就職活動」と言う理由では、次の仕事が決まるまでとかシフトに入れるときだけでもなどと引き止められる可能性があるので、先手を打ったとも言えそうだ。

8位の「他の仕事が忙しくなった」は、掛け持ちをしている人に限定される理由で、事前に説明しておけば意外にすんなり行きそうなのでは。仕事を一つに絞りたいと伝えた30代女性の本音は人間関係の悪さで、本業の仕事が忙しくなったと伝えた40代女性は興味のないビジネスに勧誘されたと言うことが本当の退職理由だった。

アルバイト先への伝え方

  • アルバイト先への伝え方

さまざまな退職理由を聞くことができたが、アルバイト先に辞めると伝えた手段も聞いてみた。その結果、8割を超える人が責任者や上司に「直接伝えた」ことがわかった。かなりの差があるが、「電話」「メール・メッセージ」と続き、「無断で辞めた」がわずか1%、「親や友人などに伝言してもらった」という人も少数いた。

直接伝えた人たちの多くは、「礼儀・マナーだと思ったので」「一番伝わりやすいから」と回答。嫌で辞める職場にも「けじめ」として直接伝えたという人もいた。

直接伝えられなかった人たちの声を聞くと、電話で伝えた20代女性は「押し切られたりという恐れがあった」や40代女性「もう店に行きたくない」という理由から。やはり、直接伝えにくいという理由からメールを使った人からは「普段から連絡がメールだったから」や「証拠として残せるから」というものもあった。

無断で辞めた人たちの声は、30代女性「言いづらかったから」、40代男性「とにかく逃げたかった」などで、中には「辞めさせてもらえなかったので、無断欠勤するしかなかった」という回答もあった。ただし、後日職場から連絡があり、退職理由を伝えたという人もいた。

まとめ

アルバイトを辞めた理由の1位は「人間関係が悪い」、6割の人が退職理由を正直に伝えているが、その一方で4割近くの人が「ウソの退職理由」を伝えていたことがわかった。

アルバイト先の事情も考慮し「波風を立てたくない」と、ウソをついたというケースも考えられる。とはいえ、後からトラブルになる可能性もあるので、あえて退職理由は「一身上の都合で」と伝える方がいいのかもしれない。