女優の上白石萌歌が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、3月28日・4月4日に2週にわたって放送される『新・上京物語』。料理経験のない18歳の青年・一摩(かずま)さんが北海道から初めて上京し、丸の内の有名レストランで働く姿を追った作品だ。

年齢が近く、自身も鹿児島から上京してきた上白石は、一摩さんの奮闘を見て、「すごく似ている部分が多いです」と共感したことを語る――。

  • 『ザ・ノンフィクション』のナレーション収録を行った上白石萌歌

    『ザ・ノンフィクション』のナレーション収録を行った上白石萌歌

■自分の原点を探るような気持ちに

「私も初めて東京に降り立ったとき『こんな気持ちだったなあ』とか、思い出しながら読んでいました。私の上京は中学のときだったので、まだいろんなことが分からないじゃないですか。無知のほうが物怖じしなくて不安に思うことも少なかったので、今回の一摩さんは考えることも多くてきっと大変だろうなと思いました」という上白石。

「自分の上京したときを見ているような気持ちにもちょっとなりましたし、東京に出てくる前の仕事を始める前の気持ちをちょっと思い出したりとか、自分の原点を探るような気持ちにもなりました」と、初心を思い出して気を引き締める機会にもなったと話す。

一方で、何もかもが初めての新生活に戸惑う一摩さんに対し、「すごく不思議な気持ちで見ていました」という心境にも。

「背中をバシバシ叩いてあげたいと思いましたし、すごく分かるなっていうときもありましたし…。仕事場で言われた言葉って、ずっと引きずっちゃうこともあるじゃないですか。そういうものが積み重なって心がしんどくなってしまうことがあるのも分かるんです。だから、自分と重ね合わせたり、背中を押してあげてたくなったりという不思議な立場でしたね」

  • 東京スカイツリーの見える浅草を歩く一摩さん (C)フジテレビ

■言葉のイントネーションだけで「心にくるものが違う」

今回の一摩さんにとって東京の印象的な景色は、前編サブタイトルの『~煙突とスカイツリーと僕の夢~』にある通り「東京スカイツリー」だが、上白石にとっては「渋谷スクランブル交差点」だった。

「やっぱり強烈でした。向こう側の陣営と、こっち側の陣営で何か起こる“戦争”みたいだなと思って(笑)。どうやっても相手の陣営に勝てない気がして、人の圧をすごく感じた記憶があります」

さらに、「最初上京してくるときは、誰しも希望に燃えていると思うんですけど、実際にやって来て自分の住むところに身を置いたり、出会う人たちといろんな話をしていくうちに、自分の理想と違っていたり、自分がいかに甘く考えていたかということを思い知る瞬間が私にもあったので、(ナレーションを)読んでいてすごく気持ちが分かりましたね」と共感した。

そんな不安を受け止めてくれるのが、一摩さんの場合は勤務先である「レストラン大宮」の大宮勝雄シェフだが、上白石にとっては「親戚が東京の美容院で働いていて、その方が“東京の母”みたいな存在なんです」とのこと。

「同じ鹿児島出身で、地元の言葉で励ましてくれて、自粛期間中もすごく気にかけてくれたんです。言葉のイントネーションだけでやっぱり心にくるものが違くて、すごく救われた部分もありますね。その存在が大きくて、ここまで続けてこられたということもあります」と明かしてくれた。

また、「何か大きなことが決まったときはすぐ両親に電話しますし、大きなことを決めようとするときは必ず故郷の人たちの顔が浮かびます」と距離は遠いながら、家族なども大きな支えになっているようだ。