電気代の支払い方法が多様化し、消費者の選択肢が増えています。また新電力会社に変更した場合には、支払い方法が指定されている場合もあります。本記事では、電気代の各支払い方のメリットとデメリットをそれぞれ解説します。

  • 各支払い方法のメリットとデメリット

    私たちの生活は電気によって支えられているといっても過言ではありません

電気代の各種支払い方法のメリットとデメリット

電気料金の支払いには、大きく分けて「口座振替」「クレジットカード」「振込用紙」があります。それぞれのメリットとデメリットを見ていきましょう。

口座振替を利用するメリット

大手電力会社の場合、口座振替を利用すると、請求金額より毎月55円が割引されます。ただし、北海道電力、東北電力、沖縄電力はこの割引は適用されません。通帳には電気料金引き落としの記録が残るため、電力料金の管理もしやすいです。

新電力会社の場合は口座振替による割引はなく、口座振替ができないところもあります。そのため口座振替に大きなメリットはないのですが、振込用紙による支払いに対応しているところが少ない新電力会社と契約する際、クレジットカードを持っていない人にとって、口座振替はありがたい手段です。

口座振替を利用するデメリット

引き落としの日に口座残高に電気料金相当額がない場合、引き落としがされません。引き落としができなければ、数日後に再度引き落としが行われます。それでも引き落としができないようだと、電力会社から支払い方法の通知が届きます。その通知にしたがって、延滞分の利息を含めた電気料金を支払う必要があります。

クレジットカードを利用するメリット

クレジット払いのメリットは、クレジット会社が設定しているポイントを受けとれる点です。総務省統計局の調査によると、2019年の日本の総世帯の平均電気料金は、単身世帯であれば5,502円、世帯人員2人で8,891円、世帯人員3人で10,559円となっています。

この平均電気料金をベースに、クレジットカード払いでどのくらい還元されるのかを見てみましょう。クレジットカードの還元率は、カード会社によっても異なりますが、三井住友カード、アメリカンエクスプレスカード、JCBカードなどが0.5%、dカードやオリコカード、楽天カードなどが1%となっています。

電気料金別ポイント 還元率0.5% 還元率1%
6,000円の場合 30円 60円
9,000円の場合 45円 90円
11,000円の場合 55円 110円

口座振替の割引額55円と比較すると、0.5%の還元率でも電気料金が11,000円を上回ればクレジットカードの方が得になることがわかります。

クレジットカードを利用するデメリット

クレジットカードを利用していると、クレジットカードを使って支払いを行った総額が銀行口座からまとめて引き落とされます。ところが残高不足で引き落としができなかった場合、信用情報に傷がつく可能性がでてきます。クレジットカードの引き落とし不能は、電気料金ばかりの問題ではありませんが、クレジット会社から通知される引き落とし額を意識しておく必要があります。

振込用紙を利用するメリット

振込用紙で支払うことを通して、毎月の電気使用料金を正確に把握し、実感できるというメリットがあります。また、使いすぎを抑えたい等の理由で、できるだけ現金払いをモットーとしている人にとっては、現金で支払える唯一の手段でもあります。

振込用紙を使用するデメリット

支払期日までに振り込みを行わなければ、支払いができなくなります。振込用紙には「支払期限日」のほかに「取扱期限日」が記載されていますが、取扱期限日を過ぎてしまうと、その振込用紙では支払いができなくなります。そうなれば、電力会社の窓口まで行って支払わなければならない場合もあるため、注意する必要があります。

  • 大手電力会社10社と契約している場合

    支払い方法だけでなく契約する電力会社も選択肢が増えています

大手電力会社10社と契約している場合の支払い方法

2016年に電力小売り自由化が導入される以前は、消費者が契約する電力会社は居住区域によって決まっていました。それが大手電力会社と呼ばれる10の企業です。

大手電力会社10社とは?

大手電力会社は日本国内を10の地域に分け、管轄区域に電力の供給を行っています。現在でも新電力会社と契約しない場合は、該当地域に電力供給を行っている大手電力会社と契約することになります。

電力会社 管轄区域
北海道電力 北海道
東北電力 青森県、岩手県、福島県、秋田県、山形県、新潟県
東京電力 東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、群馬県、山梨県、静岡県*
中部電力 愛知県、長野県、静岡県*、岐阜県*、三重県*
北陸電力 石川県、富山県、福井県*、岐阜県*
関西電力 大阪府、京都府、和歌山県、奈良県、滋賀県、兵庫県*、福井県*、三重県*
中国電力 岡山県、広島県、鳥取県、島根県、山口県、兵庫県*、香川県*、愛媛県*
四国電力 徳島県、香川県*、愛媛県*、高知県
九州電力 福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、熊本県、宮崎県、鹿児島県
沖縄電力 沖縄県

(同一県内でも地域によって異なる電力会社が供給している場合は「*」で表示)

大手電力会社と契約する場合の支払い方法

大手電力会社と契約する場合は、以下の4種類の支払い方法の中から選びます。

  • 口座振替
  • クレジットカード
  • 払込用紙での支払い
  • SMS選択払い

口座振替

毎月の決まった日に、契約者が指定した預貯金口座から前月の電気料金が引き落とされる方式です。口座振替を申し込むには以下の方法があります。

  • 電力会社の窓口で申し込む
  • 各電力会社のWebサイトから申し込む
  • 自分の利用しているインターネットバンクを通じて申し込む
  • 電力会社や金融会社から申込書を取り寄せ、書類を作成した後に郵送して申し込む

金融機関によっては電力会社が対応していない場合もあるため、各電力会社のWebサイトで確認してください。

クレジットカード

クレジット会社が毎月の電気料金を立て替えて支払い、他のカード利用代金とあわせて月に1度、口座引き落としなどで支払われる方式です。

クレジットカードでの支払いを選ぶには、お住まいの地域の電力会社のWebサイトに行き、支払い方法のページからクレジットカード申し込みのページに進むことができます。電力会社によって使えるカードは異なるため、お使いのカードが対応しているかどうか確認してください。

払込用紙での支払い

特に支払い方法を決めなければ、自動的に払込用紙で支払うことになります。また、契約直後の1カ月前後は、口座引き落としやクレジットカード払いを選択したとしても、払込用紙で支払う場合がほとんどです。

払込用紙は金融機関やコンビニエンスストアで支払う方法と、スマホアプリで支払う方法があります。スマホアプリを使う場合は、ダウンロードしているアプリに払込用紙のバーコードを読み込ませ、決済を行います。電力会社によって利用できるアプリが異なっているため、電力会社のWebサイトで確認してください。

  • 新電力会社と契約している場合

    メリット・デメリットを考えてライフスタイルに合った支払い方法を選びましょう

新電力会社と契約している場合の支払い方法

電力小売り自由化に伴って、多くの事業者が電気小売業に参入してきました。ここでは大手電力会社10社以外の代表的な新電力会社の支払い方法を見ていきます。

新電力会社とは?

新電力会社とは、2016年4月に電力の小売りが自由化され、電気事業に参入した大手電力会社10社以外の企業を指します。新電力会社の参入によって、消費者はより多くの電気料金プランやサービスを選ぶことが可能になりました。

ただし、マンションの中には高圧一括受電契約によってマンション全体で契約しているケースがあり、そのような契約形態の場合は個別世帯で新電力各社と契約はできません。マンションにお住まいで新電力への切り替えを検討されている場合は、管理会社や管理組合に確認してください。

新電力会社との契約者が選択できる支払い形式

新電力会社の支払い方法は、会社によって異なります。以下に代表的な新電力会社の支払い方法をまとめました。

新電力会社 支払い方法
東京ガス 口座振替、クレジットカード、払込用紙(コンビニ、スマホアプリ)
ENEOSでんき 口座振替、クレジットカード
ピタでん クレジットカード
大阪ガス 口座振替、クレジットカード、払込用紙(コンビニ、スマホアプリ)
auでんき auペイ、口座振替、クレジットカード
SBパワー 口座振替、クレジットカード
丸紅新電力 口座振替、クレジットカード

ライフスタイルに合わせた支払い方式を選ぼう

電気代は毎月確実に支払わなければならないものだけに、間違いのない支払い方式を選びたいものです。

口座引き落としやクレジットカードを利用すれば、毎月支払いに行く手間は省けますが、口座引き落としであれば、引き落とされる前に残金を確認しておく必要があります。クレジットカードを利用する場合は、電気代が引き落とされる際の確認は不要ですが、クレジット一括で引き落とされる際にやはり口座の残金を確認しておく必要があります。窓口に行かなくても口座振替やカード決済の手続きは可能ですので、忙しい人もぜひ検討してください。

一方、毎月の電気代をしっかりと確認し、節約の目安にしたいという人にとっては、多少の手間がかかっても、毎月送られてくる振込用紙での支払いが、ライフスタイルには合うかもしれません。

家計における電気代が占める割合は、地域にもよりますが、1人暮らしだと4%、月額で5,500円ほどです。毎月支払うものだからこそ、自分のライフスタイルに合った支払い方法を選びましょう。