教育資金は、「人生の三大資金」の一つと言われています。教育にはそれほど大きなお金がかかるという意味で、中でも、大学進学以降は、教育費のピークとなります。しかし、その手前の「大学受験」にも意外と出費があることをご存知でしょうか。たとえば、遠方の大学を受験する場合は、受験料以外にも交通費や宿泊費などがかかります。では、大学受験から入学までには、どのくらいお金が必要なのでしょうか。国公立と私立のケースをまとめてみました。

  • 大学受験にかかるお金は、国公立・私立で平均いくら?

    大学受験にかかるお金は、国公立・私立で平均いくら?

■入学までに必要な費用は

大学入学までにかかる費用としては、「受験料」「入学金」「授業料」などがあります。それぞれ、国公立と私立ではいくらくらいが目安となるのでしょうか。

受験料

大学を受験するためにかかる、受験料。受験料は、入試方法によって異なり、金額の目安は以下のようになっています(※AO入試や推薦入試を除く)。

国公立

大学入学共通テスト
3教科以上 1万8,000円
2教科以下 1万2,000円
(成績通知を希望する場合は、+800円)

2次試験(個別学力検査)
1校あたり平均17,000円

国公立大学の2次試験は、前期日程と後期日程でそれぞれ1校ずつ志願可能です(中には中期日程を設ける大学もある)。たとえば、大学入学共通テストで3教科以上受験し、2次試験で前期日程と後期日程を受験した場合、受験料の合計は5万2,000円となります。

私立大一般入試

1校あたり平均約3万5,000円

私立大の一般入試受験料は、大学や学部によって差がありますが、1校あたり約3万5,000円が平均です(大学入学共通テストの受験料は、上記と同じ)。また、私立大では、願書の購入が必要です。費用は1校あたり1,000円前後が多いようです(大学入学共通テストや国公立大の願書は、基本的に無料)。

たとえば、大学入学共通テストで3教科以上受験し、私立大一般入試で3校受験した場合、受験料の合計は12万6,000円となります(願書の購入費用含む)。さらに併願を多く受験する場合は、受験料がこれ以上に多くかかります。受験する大学や学部は、受験料の負担も考慮しつつ決めたいですね。

なお、医学系や歯学系の受験料は4万~6万円程度と、高額なところもありますので、あらかじめ心得ておきましょう。

入学金

受験に合格すると、入学する大学に入学金を納めます。入学金は、どのくらいなのでしょうか。文部科学省の「2020年度学生納付金調査結果」によると、公立大学の入学料の平均は、地域内で22万8,404円、地域外で39万2,111円です(昼間部)。国立大学については、文部科学省令により標準額が定められており、入学金は28万2,000円となっています(昼間部)。

一方、私立大学はどうでしょうか。文部科学省の「私立大学等の令和元年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」によると、私立大学における入学料の平均は、24万8,813円でした。国立大学や公立大学の地域内学生とは同程度、地域外学生と比べると、私立大学の入学金は比較的安価であることがわかります。

授業料

次に、授業料です。前出の「2020年度学生納付金調査結果」によると、公立大学の授業料は、平均で53万6,382円でした。国立大学の授業料は、年間の標準額が53万5,800円と定められており、大学側の判断で64万2,960円まで増額が認められています。一方、前出の「私立大学等の令和元年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」によると、私立大学の授業料は、平均91万1,716円。国公立大学と私立大学を比較すると、私立大学の授業料の高さが際立ちます。

なお、大学に納める費用には、授業料の他にも「施設設備費」などがあります。施設設備費は大学によって異なりますが、私立大の場合、初年度に納める金額は平均18万194円となっています。

ちなみに、大学の学費(授業料、施設設備費など)は、年度の始めにその年の分を一括で支払う、または、前期と後期に分けて支払う方法があります。ただし、初年度前期の学費は、大学の合格が決まり入学するまでに納める必要があります。

■受験から入学までにかかるお金トータルいくら?

これらの費用を踏まえて計算すると、受験から入学までにかかるお金は、公立メインでは約98万円(大学入学共通テスト3教科以上、前期日程と後期日程それぞれ受験、地域外学生、年間授業料を一括で納付とする)、国立メインでは約87万円(公立の場合と同じ条件で受験)、私立メインでは約129万円(大学入学共通テスト3教科以上、私立一般入試で3校受験、年間授業料を一括で納付とする)となります(施設設備費等除く)。

  • 国公立・私立それぞれの大学受験にかかる平均金額一覧

    国公立・私立それぞれの大学受験にかかる平均金額一覧

また、東京私大教連の「2019年度 私立大学新入生の家計負担調査」によると、受験から入学までの費用の平均は、自宅通学では158万3,133円(受験費用24万7,100円、初年度納付金133万6,033円)、自宅外通学では220万633円(受験費用26万8,800円、家賃6万3,400円、敷金・礼金20万9,800円、生活用品費32万2,600円、初年度納付金1,33万6,033円)という結果が出ています。

そもそも、大学受験までには、塾に通ったり、参考書を購入したり、その他にも様々な受験対策の費用がかかっています。改めて、「大学受験は、とても大きなライフイベントの一つ」と感じさせられますね。

■遠方の大学を受験する際の費用

最後に、遠方の大学を受験しに行く場合、交通費や宿泊費はどの程度かかるのか目安を知っておきましょう。たとえば、大阪から東京の大学を受験しに上京する場合、往復の交通費は3万円程度、宿泊費は1泊7,000~8,000円程度となります。2泊3日で受験するなら、合計で4万5,000円ほどはかかる計算です。

しかし、最近では、全国の優秀な生徒に受験してもらうため、「地方試験」を開催している大学も増えています。私立大のみならず国公立大でも実施しているところがありますので、調べてみるといいでしょう。

■受験方法を工夫して費用を抑える

今回は、大学受験の費用について解説しました。大学受験や入学には大きなお金がかかりますが、受験方法や日程を工夫する、地方試験を利用するなどすれば、費用を抑えることができます。冒頭でもお伝えしたように、教育費は、大学入学以降に最も高くなります。そのことも踏まえ、これからお子さんの大学受験を迎えるという人は、費用面からも受験の仕方を考えてみましょう。