職場の異動や新学期など4月には自己紹介の機会が増えます。ところが「何を話していいかわからない」「自分らしさをどう表現したらいいかが悩み」という声も多く聞きます。聞いている人の関心を集め、印象付け、共感が得られる話し方について、ベストセラー『人は話し方が9割』の永松茂久さんに聞きました。

  • 「自己紹介で失敗しないコツ」とは? /『人は話し方が9割』著者・永松茂久

■自己紹介で失敗しないコツを教えてください

自己紹介の際、話す側はだいたい緊張していることが多いと思います。ところが、聞いている方は案外、真剣に聞いていなかったりします。そこで、相手を引き付ける方法としてお勧めしたいのが、最初と最後に「感謝」の言葉で入ること。

例えば「最初にこの場を用意してくださった○○さんに感謝します」といった要領です。それだけで「お、違うな」と思いますし、人柄の良さも感じます。

自己紹介で失敗する原因の第一は「準備不足」です。しっかり準備すれば確実に誰でもうまく話せるようになります。致命的なのは、自分で自分のことをわかっていないこと。こうなるとだらだらと話が長くなったり、しどろもどろになってしまいがちです。

自己紹介はできるだけコンパクトに、相手に印象を残したい。次の3つのステップで整理すれば、「一生使える、心に響く自己紹介」ができるようになります。

STEP1 自分史を書く
生まれてから現在までの自分史を「箇条書き」で書き出す

STEP2 プロフィールをまとめる
自分史を簡略な文章にまとめる

STEP3 キーワードを絞り込む
STEP1・2から今の自分を表すキーワードを導き出す

基本的に有名人でもない限り、他人の生い立ちなどにはあまり関心がないと思います。ですから、自分がどういう人間かということよりも、なぜ自分はこういう仕事を志し、ここに立っているのかという「想い」の部分を中心に伝えるようにします。

STEP3の「キーワード」とは、自分自身を表現する際に一瞬で人を引き付けられるようなキャッチフレーズのようなもの。例えば「大統領のように働き、王様のように遊ぶ」といったフレーズです。できれば15文字前後が理想です。

「あなたのモットーは?」と聞かれて咄嗟に答えられる人は少ないと思いますので、まずは上記の3ステップにトライしてみてください。

■まわりから関心を寄せてもらえる良い方法はありますか?

聞いている人に「この人と付き合うと自分にいいことがありそうだ」という何らかのメリットを提示できれば、グッと食いつきが良くなるはずです。ベタな例ですが「上司のビジョンを100%実現するのが私のミッションです」と言えば、聞いている方も「本当かな」と思いつつもインパクトを感じるでしょう。

あるいは「○○のことなら三度の飯より好きなので何でも聞いてください」というのもありです。何か専門分野を持っていることは、強みとしてアピールしたいところです。

出会いへの感謝、なぜ自分はここで働きたいのかという「想い」、自分のキャッチフレーズ、自分とつきあうメリット、などが自己紹介のポイントです。まずはこれを最低限整理整頓します。

そして、できれば家族や友達など身近で話しやすい人をつかまえて練習してみることをお勧めします。自分のフォームが固まらないうちに大勢の前に立つのは、空振りのもとです。

■新しい職場などで人と親しくなるためのきっかけづくりは?

人と人が仲良くなるための一番の接着剤は、相手との共通点を探すことです。初対面でもたまたま相手との共通点が見つかると盛り上がり、一気に打ち解けることがあります。

中でも自然と会話が始まる鉄板ネタとして「食べ物」「出身」「ペット」があります。私もさまざまなワークを通じて人に指導する際、初対面で一番入りやすいのが「出身地」の話です。

私は大分県中津市出身ですが、同じ郷里の人だと自然と心を開いてしまいます。食べ物も万人共通で話が広がりやすく、かつ明るく話せる話題です。また動物好きは確率的にかなり高いので、これも共通点になりやすいです。

実は最近、若い人に勧めているのが「Facebook」です。「えっ? TwitterとかInstagramじゃなくて?」と思われるかもしれませんが、社会人の仲間入りをするということは、一気に幅広い年代の人たちのコミュニティに足を踏み入れることです。多くの組織では上の年代が若手を引っ張り上げるかどうかを判断します。

フリーで起業した場合でも、取引相手になるのはおそらく年上が多くなるでしょう。そう考えるときっかけづくりのために上の世代が使っているツールを利用しない手はありません。

30代後半以降の世代では、多くの人が「Facebook」を利用しています。相手を知ることは絶対大事ですし、そこから得た情報をネタに話を広げていくこともできます。

■職場の付き合いで若い人がやりがちなNGアクションは何でしょう?

割とやってしまいがちなのが、敬語をすぐに壊そうとすることです。新人なのに目上の人に対して「仲良くなったアピール」なのか、会話にタメ語を織り交ぜてくる人がいますが、社会に出ると、多くの人は話し方や立ち居振る舞いをフラットに見ます。言葉遣いも常識の範囲で接したほうが無難です。

あとはお酒の席では絶対にぶっちゃけないこと。学生の頃はコンパとかで酔いつぶれて好き勝手言い放題でもさほど気にならないでしょうが、仕事での付き合いの場合、つい気が大きくなって調子に乗ると、後で痛い目を見ることがあります。

お酒を飲んだ時はむしろ言いたいことを2~3割に抑えるぐらいでその場に臨みましょう。上司と飲むときも向こうは「何でも思ったことを話していいよ」とは言いますが、基本的に無礼講はないと思ってください。

■コロナ後、お酒のつきあいは断っても大丈夫ですか?

コロナで飲食の機会自体が減っていますが、平常時なら僕は絶対に飲みに行く派ですね。もちろん、行かずに自分の時間を大切にするという選択もいいですが、それで仕事上の人間関係が深化することはないと思います。

最初のうちは毛嫌いせずに行ったほうが、上司の性格や本音を知ることができますから、人間観察の場として行くことをお勧めします。

おそらく会社では知りえなかった上司の人となりが見えてくるのではないかと思います。飲み代も気になるとは思いますが、上司に誘われた場合、人によりますが、あまり割り勘にしろとは言わないはずです。