コロナ禍でわたしたちの生活が一変して早1年、今だ思うように人と会いづらい状況が続いている。そんななか、アート集団のチームラボとKDDIが「家から参加し、世界とつながっていく作品」を発表した。"「通信」のチカラと「創造性」で想像を体験に変えるプロジェクト"と掲げた取り組みの第一弾「GINZA 456 & チームラボ:Walk, Walk, Walk Home」を東京・銀座「GINZA 456 Created by KDDI」で体験してきた。

※当展示は、オンラインでは3月4日から参加可能、GINZA 456での展示は緊急事態宣言解除後~4月中旬に実施。参加は公式サイトからの予約制となっている。

オンラインでも楽しもう! 自分の描いた絵で世界とつながる体験

「Walk, Walk, Walk Home」は、紙やスマートフォンに描いたキャラクターをアップロードすると、世界中の人々が描いたキャラクターとともに、YouTubeのライブ配信上でリアルタイムに歩き出すというアート。鳥獣戯画のような和風の世界観のなか、人間や、ウサギ、カエルといったちょっとユーモラスなキャラクターを選んで描くことができる。

絵の投稿は、スマートフォンやパソコンを使ってどこからでも簡単に投稿できる。「Walk, Walk, Walk Home」のサイトから、キャラクターの輪郭が描かれた用紙をダウンロードして色を塗ったのち、同じサイト内でアップロードすればよい。

アップロードが完了すると、自分の描いたキャラクターがゆったりと歩きながら画面に出てくる。平面で描いた絵が動くのは不思議な感覚だ。

離れた場所にいる人同士で同時にアップすれば、YouTubeのライブ配信で互いのキャラクターが一緒に歩く様子を見ることができる。まさに、通信とクリエイティブの力を通して、ひとつのアートのなかでつながって楽しめるのだ。

また投稿時に自分がいる場所を入力すると、キャラクターが現れるときにその場所の名前が表示される。この作品は日本はもちろん、海外からも投稿できる。知らない誰かが描いたキャラクターも「このカエルはバンコクに住む人が描いて、自分とほぼ同時に投稿したのか」といったように、想像してみるのも面白い。

様々な表現があるなかで、なぜこのような和風のクリエイティブにしたのだろうか。チームラボの方に話を聞いたところ「日本画は平面的な表現で描かれています。自分と作品の間に距離感を感じる遠近法ではなく、フラットな日本画の手法を使うことで、見る方とキャラクターとの世界の境界があいまいになり、自分がそのアートの世界の中にいるように見えるのではないかと考えました」と語る。その狙いの通り、ゆったりと動く人や動物が歩く様子を眺めていると、不思議な没入感が得られる作品だ。

「GINZA 456」ならではの楽しみ方は?

自宅で楽しむこともできる「Walk, Walk, Walk Home」だが、東京・銀座にあるKDDIのコンセプトショップ「GINZA 456 Created by KDDI」(以下「GINZA 456」)ならではの楽しみ方もある。展示室の壁面には等身大のキャラクターがひとつなぎの列になるよう投影されており、一緒に歩いたり触れたりすることができる。

床に映り込んでゆらゆらと動く様子や、楽器隊や動物の声などキャラクターの動きにあわせた音響など、YouTubeの配信で見る以上に「Walk, Walk, Walk Home」の世界に入り込んだような気分になれる。

実際にこの場で描いて投稿することもできる。絵心に自信がなくても大丈夫。用紙にはキャラクターの輪郭が描かれているので、塗り絵感覚で描いてみよう。線の内側に描けば、多少はみ出しても問題ないとのこと。動くとどんな感じになるのだろうか……。

描いた絵を会場でスキャンしてしばらく待つと、壁面に自分が描いたウサギがピョコピョコと現れる。YouTubeのライブ配信でも同時に出てくるしくみだ。

なお、Webサイトから投稿するときに場所を登録すると「GINZA 456」の展示でも投稿場所が表示される。筆者が描いたウサギとほぼ同時に現れた赤いウサギは「フランス」から投稿されたものらしい。東京・銀座とフランス、距離は離れているが、アートの中では一緒にぴょんぴょん跳ねている。

キャラクターのいる壁を触ると、反応してくれるのも「GINZA 456」の楽しみ方のひとつ。平面で描いたウサギだが、正面から見るとこんな顔をしているのか……と、自分の描いた絵だからこそ、動く様子は新鮮な体験だ。

第二弾は5Gでボーダレスな世界を体験「捕まえて集める境界のない群蝶」

また「GINZA 456」では、4月中旬~5月末から「捕まえて集める境界のない群蝶」を展示する。これは5Gがもたらす、リアルとデジタルがボーダレスな世界を体験できるというアートだ。

「捕まえて集める境界のない群蝶」は、「捕まえ、観察し、解き放つ」をコンセプトに、スマートフォンの「GINZA 456」専用アプリを使い探索し、様々な種類の蝶を捕まえて、観察したり自分のコレクション図鑑を作っていくというもの。リアルな世界とスマートフォンの中の世界を、境界なく行き来する蝶の様子を楽しむことができるという。

KDDIとチームラボが作り出す、通信とクリエイティブによるボーダレスな世界が体験できるこの取り組み。まずは「Walk, Walk, Walk Home」で、普段離れた家族や友人と、手元のスマホで思い思いのキャラクターを描いて遊びながらつながってみてはいかがだろうか。