「自業自得」という言葉は、ビジネスシーンや普段の生活でもよく耳にしますが、正しい意味や使い方を知らない方は意外と多いです。本記事では、「自業自得」の意味を解説し、ビジネスシーンにおける正しい使い方について紹介していきます。
自業自得の意味
自業自得とは、「自分でおこなったことの報いを受ける」という意味の四字熟語です。現在では、自己責任が問われる場面などでよく耳にしたり口にしたりします。
とはいえ自己責任は、「自分の過失に対して責任を負う」ことであり、自業自得の類語として捉えるのは若干違います。自業自得の言葉の由来を理解し、正しく使えるようにしましょう。
自業自得の由来
自業自得の「業」は、インドの昔の言葉「カルマ(karma)」に由来し、「おこない」という意味になります。それが後に中国語で「業」と訳されました。つまり「自業」とは、「自分のおこない」を指します。
一方「自得」は、「自分が結果、運命を得る」という意味です。そのため自業自得の本来の意味は、「自分のおこないが、自分の運命を決める」ということになります。
自業自得をいい意味で使う場合
「結婚式当日、晴れてよかった。自業自得だ」というセリフは、本来であれば正しい使い方です。しかし、現代における「自業自得」は、どうしても悪因悪果の意味として受け入れられてしまうため、相手は嫌な思いをしてしまいます。
自分では正しい意味を知っていたとしても、「日頃のおこないがよかったからだ」など、相手が受け入れやすいセリフに言い換えるようにしましょう。
ビジネスシーンにおける自業自得の使い方と例文
ビジネスシーンにおいて自業自得を正しく使えるよう、2つの例文をご紹介します。
<例文>
- 営業成績で後輩に抜かれた(自得)。悔しいが、企業調査を怠った自分にも原因がある(自業)。自業自得だ。
- 彼が夜遅くまで飲みすぎて(自業)、二日酔いになってしまった(自得)のは、自業自得だ。
このように、「自分や他人のおこない(自業)が、どうなったか(自得)」がわかるような会話の場合に、自業自得と足すとよいでしょう。
自業自得の類語
自業自得の類語には「因果応報」や「自縄自縛」が、また同じ意味のことわざには「身から出た錆」や「獣食った報い」などがあります。
ビジネスシーンで色々な表現が使えるよう、それぞれの意味を正確に理解しておきましょう。
因果応報
因果応報とは、「良いおこないか悪いおこないかによって、それに相応しい報いを受ける」という意味です。自業自得と同様、悪い意味として受け入れられることが多いですが、いい意味で使うこともあります。
<例文>
- 彼は他人の悪口が多く、友達に嫌われた。因果応報だ。
- 彼女は日頃からスキルを磨いていた。早期退職後、フリーランスとして活躍できるのは因果応報だ。
自縄自縛
自縄自縛とは、「自分の言葉やおこないによって身動きが取れなくなる」という意味です。ビジネスシーンにおいては、上司から部下に対して使うことが多く、厳しい表現に感じられます。普段の会話として使うのは控えるようにしましょう。
<例文>
- 会議での彼女の発言は矛盾が多い。社内で信用されなくなったのも自縄自縛だ。
身から出た錆
身から出た錆とは、「自分のおこないが報いとなって災いが起こる」という意味です。「手入れしていない刀は錆てしまって使えない」ということに由来した言葉で、「身」は刀のことを指します。
ビジネスシーンでは、悪い意味としてよく使われ、自縄自縛と同様少し厳しい表現になります。
<例文>
- 部下の悩みを聞かず責任逃れをしたせいで、自分にツケが回ってきた。身から出た錆だ。
獣食った報い
獣(しし)食った報いとは、「いい思いをした埋め合わせに、当然受けなければならない報い」、あるいは「悪事を犯したために、当然受けなければならない報い」という意味です。
由来は「神罰がくだるとして禁じられている獣の肉を食べ、いい思いをした埋め合わせに、当然報いを受けなければならない」という仏教の教えで、あまり耳にしないことわざですが、悪い意味として使うといいでしょう。
<例文>
- 暴飲暴食が原因で、体調を崩してしまった。獣食った報いだ。
自業自得の英語表現
自業自得を英語で言う場合、「You asked for it.」「It serves you right.」「You had it coming.」「As you sow, so shall you reap.」のような表現があります。
これらのフレーズは、使い方によって相手を不快にさせてしまうことがあるため、それぞれのニュアンスを理解しながら使えるようにしましょう。
You asked for it.
You asked for it.は、直訳すると「あなたがそれを求めた」となり、「自分が撒いた種でしょう」と意味です。この文章の中の「it」は、報いとして返ってきた内容を指します。
まずは、自業自得な言葉に対する相槌として使ってみましょう。
It serves you right.
It serves you right.の「it」は仕打ちの内容を指し、「serve +人+ right」で「相手に当然の仕打ちをする」という和訳できます。
It serves you right.には、「バチがあたった」や「ざまあみろ」などといった少し軽蔑的な意味合いで受け取られてしまうことがあるので注意しましょう。
You had it coming.
You had it coming.の「have it coming」は、「それが起こったのは当然の流れ、自業自得だ」と意訳できます。
しかし、It serves you right.と同様、少し軽蔑的な意味として受け取られてしまうことがあるので注意が必要です。
As you sow, so shall you reap.
As you sow, so shall you reap.は、「sow」が「種などをまく」、「reap」が「収穫する」という意味をもちます。As you sow, so shall you reap. は、聖書の言葉が由来になっており、「自分でまいた種は、自分で収穫しなければならない」という意味です。
「It serves you right.」や「You had it coming.」と比べて柔らかい表現となっているので、ビジネスシーンにおいて使いやすいフレーズと言えます。
自業自得の意味や使い方を理解しよう
自業自得は、本来であれば悪因悪果だけではなく善因善果にも使える言葉ですが、多くの場合悪い意味として受け入れられています。特にビジネスシーンにおいては、相手やシチュエーションを考慮して使うようにしましょう。