どの現場でも学ぶものはあるという。『劇場版ポルノグラファー~プレイバック~』では、主人公である官能小説家・木島理生役を演じた竹財輝之助から、間の取り方を学んだそうだ。「竹財さんの演技を見て、すごく勉強になりました。役の性格もあるとは思いますが、竹財さんは僕が今まで共演してこなかったタイプの役者さんだったので、今後の演技に活かせることができたらいいなと思いました」

「やればやるほど楽しくなっていく」と演技の醍醐味も実感している。「お芝居ってこんなに難しいのかと日々思います。でも、パズルなどもそうですが、簡単なものよりも、難しいものを達成できた時のほうが面白い。僕は地道にコツコツやるのが割と好きなタイプなんです。『仮面ライダー』が終わってからは、いろんな役に挑戦できる面白さが加わりました。いろんな役に出会い、その役を通してその人生を僕自身が体験していけることが、役者の醍醐味だなとも思います」

そんな奥野は、影響を受けた先輩俳優として、『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』(19)で共演した生瀬勝久を挙げる。「生瀬さんから『お芝居は生物だから、自分の凝り固まった役のイメージだけで演じるのではなく、現場で生まれたものを大切にしなさい』というアドバイスをいただきました。なるほどと感じ、その言葉は常に大切にしています。それ以降、自分の中で作っていくだけではなく、相手のお芝居をどう受けて、どう返せるか、考えるようになりました」

憧れの俳優については「安藤サクラさん、尾野真千子さん、妻夫木聡さん、(永山)瑛太さんなど、いっぱいいます」とし、いつか一緒に仕事をしてみたい監督には、是枝裕和監督や武正晴監督の名前を挙げる。

「『万引き家族』(18)もそうですが、是枝監督の作品はナチュラルな世界観が魅力で、ありそうでない、でもやっぱりありそうな世界観を作るのがすごく上手な方だなと思っています。だから、僕もああいう世界観の中で生きてみたいです。また、安藤サクラさんの『百円の恋』(14)の武正晴監督も面白い物語を演出されるなと思います。まあ、挙げだしたらきりがないのですが、とにかく今後もいろんなジャンルの作品に挑戦していきたい。ただそれだけです」

■奥野壮(おくの・そう)
2000年8月21日 生まれ、大阪府出身。「第30回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でフォトジェニック賞&明色美顔ボーイ賞をW受賞。『仮面ライダージオウ』(18~19)でテレビ初出演にして主演。ドラマ『柳生一族の陰謀』(20)、『ピーナッツバターサンドウィッチ』(20)、映画『私がモテてどうすんだ』(20)等に出演。2021年主演映画『灰色の壁~歯車~』が公開予定。

(C)2021松竹株式会社 (C)丸木戸マキ/祥伝社