誕生月に届く「ねんきん定期便」。開封することなく「どこにあるかわからない……」といった人もいるかもしれません。また、「自分の年金についてねんきん定期便に記載されていることよりもっと詳しく知りたい」という人もいることでしょう。
そんな人たちにチェックしてもらいたいのが日本年金機構の「ねんきんネット」です。ねんきんネットのサイトの登録方法や、どんなことがわかるのか、知っておきたい機能を解説していきます。
「ねんきんネット」で何ができる?
金融庁の報告により大きな話題となった「老後資金2000万円不足」問題。これにより、老後のお金についての不安を感じている人も多いはず。漠然とした老後のお金の不安を解消するのに一番大切なことは、自分の老後のお金についての状況を把握すること。それにより不足しそうな金額に対する対策を講じることができるからです。
老後生活のベースとなる年金額を把握するのに活用するべきは「ねんきん定期便」ですが、自分の年金についてさらに詳しく知りたい人におすすめなのが、日本年金機構の「ねんきんネット」です。
ねんきんネットはパソコンやスマートフォンから自分の最新の年金情報をいつでも確認できるサービス。主に以下の情報がわかります。
- 年金加入記録の確認
- 年金見込み額の確認
- 保険料の納付状況確認
- 電子版「ねんきん定期便」の閲覧
- 年金見込み額試算
たとえば、年金加入記録の一覧表示画面では、年金に加入していない期間や標準報酬月額(1ヶ月あたりの給料を1等級から31等級までに区分したもの。厚生年金の保険料や年金額を計算するときに使用する)の大きな変動など、確認したい記録が一目で分かるように一覧形式で表示されています。これにより、記録の漏れや誤りも簡単に見つけることができます。
「ねんきんネット」の登録方法は?
ねんきんネットを利用するには、まず日本年金機構の「ねんきんネット」Webサイトで利用登録を行いましょう。
登録時に「17桁のアクセスキー」「基礎年金番号」(年金手帳に記載されている)を入力。ほかに氏名、生年月日、性別、パスワード、秘密の質問の答え、メールアドレス、電話番号を入力します。完了すると入力したメールアドレスに登録確認メールが送られ、そこで発行されたユーザーIDを使って利用が開始できます。ログイン時は本人認証のためにパスワードと秘密の質問の答えも必要になるので、忘れないようにメモしておきましょう。
なお、ねんきんネットの利用登録に必要な「17桁のアクセスキー」は毎年送られてくる「ねんきん定期便」に記載があります。ただし、有効期限は3カ月。それを過ぎてしまった場合は、「アクセスキーなし」のボタンから登録を進めると数日後にユーザーIDが記載されたはがきが郵送されます。
自分の年金額を条件変更して試算できる
ねんきんネットでできることを前述しましたが、なかでも「年金見込み額試算」の機能は特に便利です。「年金を受け取りながら70歳まで働き続けた場合」など、様々な働き方・人生設計に応じた年金見込み額を簡単に試算できることがポイント。将来のシミュレーションがしやすくなります。
年金見込み額の試算は2通り。「かんたん試算」は、現在と同条件で60歳まで年金制度に加入し続ける設定で試算する方法、「詳細な条件で試算」は、今後の職業や収入、受取開始年齢といった詳細な条件を入力して試算する方法です。
実際に、「詳細な条件で試算」の方法を使用してみましょう。例えば、「42歳から転職して月収は40万円にアップ(現在41歳7カ月で月収約30万円)。60歳から65歳までは仕事をセーブし、半分の月収20万円で働いた場合、65歳から実際に受け取れる年金額は?」という試算をしてみました。
この場合の試算結果は、月額12万9837円でした。同じ条件で「もし60歳でリタイアしたら?」という試算をしたところ、月額11万9630円。月々1万円以上受取額が少なくなるので「やはり細々でもいいので65歳まで働いたほうがいいかな……」といったような気づきを得ることができます。
このように、働き方や収入の条件を変えるなど、様々な条件で試算してみることで「何歳までどのような勤務形態で働き続けるか」といった将来の計画を今から立てることに役立ちます。
まとめ
50歳未満の人のねんきん定期便では、これまでの加入履歴に応じた年金の見込み額は分かりますが、今後も働き続けた場合の金額を把握することはできません。しかし、見込み額はこれからの働き方次第で大きく変わります。ねんきんネットを使えば、今後の働き方の条件を自由に設定して将来のシミュレーションが簡単にできるので、是非活用してみましょう。