学生時代の就職活動によって就職する、いわゆる"新卒"。誰でも希望の業界や企業があり、そこへ向けて努力を重ねることになる。首尾よく第一志望の企業への就職が叶うこともあれば、第2志望以下の会社で心機一転、会社員生活をスタートさせる、というパターンもあるだろう。

もしかすると、世の中が変化するにつれ「いま新卒であれば、ぜひあの会社に入りたい」という気持ちを抱くこともあるかもしれない。そこで今回は、20代~40代のマイナビニュース会員806人に、「『学生時代に戻れるなら、新卒で就職したい』と思う企業があるか」などについて聞いてみた。

  • 「学生時代に戻れるなら、新卒で就職したい」と思う企業って?

Q.あなたには、「学生時代に戻れるなら、新卒で就職したい」と思う企業がありますか?

「はい」(62.5%)
「いいえ」(37.5%)

Q.その企業はどの業界ですか?

1位「農業協同組合(JA金融機関含む)」(13.4%)
2位「インターネット関連」(6.0%)
3位「ソフトウェア・情報処理」(5.0%)
4位「コンピューター機器」(4.6%)
5位「ゲーム関連」(3.8%)
6位「農林・水産」(3.6%)
7位「食品」(3.4%)
7位「官公庁」(3.4%)
9位「設計」(3.2%)
9位「医療・福祉・介護サービス」(3.2%)

※上位10業界

Q.「学生時代に戻れるなら、新卒で就職したい企業」の具体的な企業名を教えてください。また、どうしてその企業に就職したいと思ったのか、 理由を教えてください

■「農業協同組合(JA金融機関含む)」

・「JA(農業協同組合): 農業が発展しそうだから」(27歳男性/精密機器/メカトロ関連技術職)
・「JA(農業協同組合): 安定していて、田舎でも働けるから」(43歳男性/繊維・アパレル/営業関連)
・「JA(農業協同組合): 地元の農業に貢献したい」(35歳男性/官公庁/公共サービス関連)
・「農林中央金庫: 安定している」(47歳女性/銀行/事務・企画・経営関連)
・「JAです: 今までやったことのない農業をしてみたいからです」(43歳男性/建設・土木/建築・土木関連技術職)
・「農協ですね!: 農業は生きる為に必要ですから、なくなることがないですからね!」(48歳男性/物流・倉庫/技能工・運輸・設備関連)

■「インターネット関連」

・「Amazonジャパン: 当時は有名ではなく、現在は大きく発展した会社でノウハウを学びたいと思った」(37歳男性/その他電気・電子関連/メカトロ関連技術職)
・「Apple: かっこいいし、給料がよさそう」(49歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/技能工・運輸・設備関連)
・「Yahoo! Japan: 皆様に面白くて役立つ、様々なコンテンツを提供するのは楽しそう」(48歳男性/食品/その他技術職)
・「Google: あらゆるIT分野を網羅している企業だから」(49歳男性/ソフトウェア・情報処理/営業関連)
・「ソフトバンク、楽天: 将来性があって、活気がありそう」(41歳男性/教育/専門サービス関連)
・「ITベンチャーならばどこでも: 倒産するかもですが、新しい価値を作っているから」(48歳男性/医療・福祉・介護サービス/専門職関連)

■「ソフトウェア・情報処理」

・「NEC: 苦境の中にあっても、分野に特化して乗り切っていけそう」(41歳男性/その他/事務・企画・経営関連)
・「NTTデータ: 優秀な社員が多く、魅力的です」(45歳女性/通信関連/事務・企画・経営関連)
・「サイボウズ: 自由な社風で自分が学生時代に志望していたが、途中で辞退したことを悔いているので」(28歳女性/インターネット関連/IT関連技術職)
・「富士ソフト: 業績が経済状況に左右されないと思ったから」(25歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「特に企業名は決まっていません: 今よりも福利厚生の充実したところを希望しています」(33歳女性/その他/販売・サービス関連)

■「コンピューター機器」

・「Apple: 給料良さそう」(47歳男性/設備工事/メカトロ関連技術職)
・「NEC: PC時代で強みを発揮してるから」(47歳男性/精密機器/メカトロ関連技術職)
・「ソニー: 自分のやりたい業種に展開しているから」(47歳男性/その他メーカー/技能工・運輸・設備関連)
・「日本HP: PC業界で、世界を引っ張って行っているから」(44歳男性/コンピューター機器/IT関連技術職)

■「ゲーム関連」

・「任天堂: 今後も安定的に成長していけると思う企業だから」(46歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/事務・企画・経営関連)
・「カプコン: ゲームの開発をやってみたいから」(41歳男性/輸送用機器/販売・サービス関連)
・「コナミ、任天堂、スクエアエニックス: 中学生のころからゲーム好きで、ゲームクリエイターになりたいと思っていましたので希望でした」(47歳女性/サービス/事務・企画・経営関連)
・「セガ: ハード戦争で負け続けているので、自分が立て直したい」(46歳男性/フードビジネス/事務・企画・経営関連)

■「農林・水産」

・「農業: 自然が好きで」(48歳男性/食品/営業関連)
・「水産系: 大学を上げて勉強して、役立つ企業だから」(42歳男性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「具体的にはない: 農業に興味がある」(42歳男性/輸送用機器/メカトロ関連技術職)

■「食品」

・「カルビー: 働きやすそうだから」(34歳女性/専門店/販売・サービス関連)
・「味の素: 創業者が尊敬する人だから」(41歳男性/教育/公共サービス関連)
・「カゴメ: 商品が好きだから」(43歳男性/専門商社/営業関連)
・「日清食品: 安定性がある」(46歳男性/その他メーカー/営業関連)
・「カルビー、湖池屋などお菓子メーカー: 開発などに携わってみたい」(42歳女性/ドラッグストア・調剤薬局/その他技術職)

■「官公庁」

・「市役所、県庁: 競争が少なく、仕事がやり易そう」(45歳男性/専門店/販売・サービス関連)
・「国家公務員: 安定した生活を送れそう」(48歳男性/流通・チェーンストア/販売・サービス関連)
・「法務局: 国籍関係の仕事をしたかった」(32歳男性/官公庁/公共サービス関連)
・「京都府庁: 最初から官庁に務めたかった」(49歳男性/官公庁/公共サービス関連)
・「都道府県庁。東京都なら東京都庁: コロナ禍で、激務だと思うが地域住民に貢献できる。また、何より安定している」(47歳女性/教育/事務・企画・経営関連)

■「設計」

・「キーエンス: 給料がいい」(47歳男性/システムインテグレータ/IT関連技術職)
・「山下機械: 将来の発展が見込めるので」(41歳男性/食品/営業関連)
・「設計士: あこがれ」(48歳男性/食品/事務・企画・経営関連)

■「医療・福祉・介護サービス」

・「病院で看護師をやりたい: 将来、役に立てる職業だから」(37歳女性/インターネット関連/事務・企画・経営関連)
・「大学及びどこかの研究所: 学生時代、研究職に就くのが夢だった」(44歳男性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「大手の放課後等デイサービス: 好きな業種なので、新卒で入って経験を積み所得を上げて、大きな会社で安定して働きたい」(35歳男性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「早くから専門の仕事をやりたい: 人の役に立ちたいから」(48歳男性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)

■「その他」

・「JR東日本: 鉄道が好きだから」(45歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/技能工・運輸・設備関連)
・「三菱重工業: 世の中の役に立っていると実感できるような、やりがいを感じる仕事だから」(37歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「三井住友銀行: 知り合いがとても楽しそうなので」(37歳女性/その他/事務・企画・経営関連)
・「大林組: 有名な建設に携われる」(35歳男性/教育/専門サービス関連)
・「トヨタ自動車: 車の設計に携わりたい」(48歳男性/警察・消防・自衛隊/その他・専業主婦等)
・「ホンダ: F1の技術開発に携わってみたい」(44歳男性/物流・倉庫/その他・専業主婦等)
・「近鉄鉄道: 昔から電車が好きで、憧れていたから」(36歳男性/農林・水産/建築・土木関連技術職)
・「三菱商事: グローバルに活動できるから」(40歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/販売・サービス関連)

■総評

20代から40代のマイナビニュース男女会員に、「学生時代に戻れるなら、新卒で就職したい」と思う企業があるかを聞いたところ、「はい」が62.5%、「いいえ」は37.5%と、6割以上が新卒で就職したい企業があると回答した。

その企業はどの業界に属しているかを訊ねた。1位は、2位にダブルスコア以上の大差をつけて「農業協同組合(JA金融機関含む)」(13.4%)となった。以下、2位「インターネット関連」(6.0%)、3位「ソフトウェア・情報処理」(5.0%)、4位「コンピューター機器」(4.6%)、5位「ゲーム関連」(3.8%)と続いた。2位から5位までがいわゆるITを基盤とした先端テクノロジーを前提とする産業が並ぶだけに、1位の「農業協同組合(JA金融機関含む)」はかなり意外な印象だ。

もし「学生時代に戻れるなら、新卒で就職したい企業の具体的な企業名」と、「どうしてその企業に就職したいと思ったのか」、その理由を聞いた。1位の業界「農業協同組合(JA金融機関含む)」の農業協同組合(JA)は当然のこととして、2位以下の業界でも、その業界を代表する有名企業が顔を揃えた。

また同じ企業であっても、複数の業界にまたがって名称が挙がっているケースも散見された。たしかにGoogleやApple、Amazonなどは、それが「インターネット関連」なのか「ソフトウェア・情報処理」なのか、あるいは「コンピューター機器」なのかなど、判断に迷うケースは大いにあるだろう。

そのほか、新卒で就職したい企業が属している業界と、就職したい企業が合致していないケースも見受けられた。例えば、業界としては6位「農林・水産」(3.6%)を選んだが企業名は「トヨタ」であるとか、7位「食品」(3.4%)を選びつつ企業名としては「大阪の老舗料亭」とするものなどがあった。

その企業を選んだ理由としては主に、「安定している」ことや「待遇がいい」こと、「様々なことにチャレンジできる」ことや「世の中に貢献できる」ことなどが評価されている。その意味では農協は、地域の農業に根ざしているという絶対的な安定感。農業という、未来へ向けいま脚光を浴びている産業に携われるという将来への展望。人の生活の根幹に関わる"食"に貢献できることなど、なるほど「農業協同組合(JA金融機関含む)」の業界1位は当然の結果なのかもしれない。

世の中の変化のスピードは日々激しくなっていて10年先はおろか、5年先のトレンドさえも予測するのは難しい。今回名前が挙がった企業の多くは、過去数10年にわたって確かな存在感を示してきた有名企業ばかりだが、この先も果たしてこれまで通りの実績を上げ続けられるかは誰にもわからないだろう。

現在、学生で就職活動をしている、あるいは今後就職活動の予定がある人たちにとってはこれまで以上に、自分が今やりたいことと、自分の未来を託す業界なり企業の見極めが必要となる。今回は、そんなことを感じさせる調査結果となった。

調査時期: 2021年2月3日
調査対象: 20代~40代のマイナビニュース会員
調査数: 806人
調査方法: インターネットログイン式アンケート

※写真と本文は関係ありません