謎解きクリエイターの松丸亮吾が、きょう20日に放送される日本テレビ系バラエティ番組『世界一受けたい授業』(毎週土曜19:56~)に出演する。今回は、自身が代表取締役を務めるRIDDLER株式会社のオフィスで密着を受け、「謎解きクリエイター」という仕事の謎を解き明かす。

スタジオ収録前に、松丸が見どころや代表取締役として意識している組織の束ね方、謎解きを広めるために意識していることなどを語った。

  • 松丸亮吾=日本テレビ提供

――まず、松丸さんが、謎解きクリエイターとして問題を作るときにこだわっている点は何ですか?

謎解き自体は昔から存在していたのですが、解けない問題、難しい問題が主流でした。結構ひねって、答えがわざわざ出ないように、ヒントも少なくして…というものが多かったんです。それだと子供たちが楽しめないし、解いた時のスッキリ感が減っちゃうので、もっと解きやすくという気持ちで問題を作っています。かといって、簡単すぎてひらめきがないのはもちろん良くないので、前提としてひらめきもあって、スッキリもして、解いた後で「ヒントがいっぱいあったな」と思えるようなものにしています。

――密着VTRでは、社員から提案のあった謎解きの問題をチェックするシーンが出てきますね。チェックをするときにこだわっていることはありますか?

謎解きの問題を楽しんでもらえるのは一回きりなんですよね。一回問題を出しちゃった人にはその問題をもう同じように遊んでもらえないので、初球から一番いい球を投げなきゃいけない。だから、その一投一投にものすごく力を入れています。

結構、(社員に)容赦なくズバズバ言ってるシーンが出てくるんですが、それはその人を別に否定したいわけじゃないんですよね。見ている先は同じで、問題をよくしたい、もっと面白くしたいと社員にもよく言っています。それを社員もわかっているので、それでやる気が下がるようなことはなくて、むしろ社員たちがみんな「松丸チェックを一発で通す!」なんて団結して、「これでいける」という思ったものを持ってくるようになったという嬉しい変化もありました。

また、厳しくする部分もありつつ、面白いものが出てきたときはめちゃくちゃ褒めるようにしています。修正点を言うときにも、「ここが面白いね」「色使い工夫してるね」などと何か褒めてから、その後に言うようにしています。

社員みんな、力を高めたいという意思をすごく感じているので、そこに本気で応えてあげたいと思っています。

――代表取締役として、リーダーシップの面で意識していることはありますか?

いわゆる社長っぽく振る舞わないようにしています。もちろん席はありますが、社長室もありません。社長室のノックがすごく非効率だなと思っているんです。あのノックがあることで気を遣って、いわゆる格上の人に言うという感じになっちゃうので。そうではなく、後輩からも「松丸」って呼び捨てされてもいいぐらいです。それぐらい距離が近い方がお互いぶつけ合えるので。言いづらいことも隠さないでねということは(社内で)ずっと言っています。

――様々なメディアで活躍の場を広げている松丸さんですが、謎解きを広めるために意識していることなどはありますか?

エンタメの業界って、やはり移り変わりが激しいですよね。謎解きについても、今は画一枚で解ける問題を出していますが、これもいずれ飽きがくるはずです。なので動画の謎解きを作ったり、Web上で遊べる謎解きを作ったり、変化球を出そうとしています。

例えば、最近では、大学入学共通テストの時期に、「もしセンター試験が謎解きだったら…?」というテーマで「謎解き共通テスト」というキャンペーンをして、日本のトレンド一位になりました。これは、「この時期(共通テストの時期)だったら、こういうテーマにしたらバズるんじゃないか。そういうテーマの謎解きを作れないか」という発想から始めているんですよね。他にもTikTokやYouTubeなど、いわゆる若者の使うメディアも常に勉強していないと、と思っています。

最近ではClubhouseのアカウントも作りましたが、(音声といえば)以前ラジオで、手拍子や指パッチンを入れることで、「音だけで解ける謎解き」を作ったこともありました。再生産ではなく初めてのことを色々やって、一個ずつ、謎解きに対するハードルを取り去っていけたらと思っています。

――VTRでは将来のプランについてお話するシーンも出てきますが、今後実現したいことは何ですか?

目標点は「謎解きを文化にする」ということです。実は謎を解くことは、多湖輝先生の「頭の体操」、ゲーム「レイトン教授」シリーズ、テレビ番組「IQサプリ」など、ブームとしては何回も来ているんですよね。

ただ、ブームの波が来ては去ってしまうのは、謎を作る人があまり生まれていないからだと思っています。なので、謎解きを作る人が絶えず出てくるように、作る人をもっと増やしたいと思っているんです。例えば謎解きのワークショップができないか、子供たちが作った謎解きを僕らがWebでチェックできるようなサービスができないか、など作る人を増やせる施策を考えています。

その先に、例えば全国の中学校、高校、大学に謎解きの部活ができて、初めて文化になるんですよね。一スポーツとして謎解きも認められるぐらいまで持っていきたいなというのが夢です。

――最後に、今回の特集の見どころをお願いします。

今回のように社長業にフォーカスが当たっているのは初めてじゃないかと思うので、普段あまり見せない顔も出てきますね(笑)。「RIDDLERという会社って謎」なんて言われることも結構あるんですが、今回の授業で「謎解きを作っている集団がどんなことを考えているのか」ということがわかると思います。