2020年の演劇界の成果を顕彰する第28回読売演劇大賞(主催:読売新聞社、後援:日本テレビ放送網)の受賞作・受賞者が9日、明らかになった。

鈴木杏

鈴木杏

同賞は演劇文化の振興のために1992年に創設され、選考委員のノミネート、投票委員の投票という2段階を経て、作品、男優、女優、演出家、スタッフの5部門の年間最優秀賞を決定する。このほか、新人を顕彰する杉村春子賞や、長年の功績や優れた企画を顕彰する芸術栄誉賞を設けている。

大賞・最優秀女優賞には世田谷パブリックシアター『殺意 ストリップショウ』の緑川美沙役の演技、及び東京芸術劇場『真夏の夜の夢』のそぼろ役の演技が評価された女優の鈴木杏が選ばれた。最優秀作品賞には『リチャード二世』(新国立劇場)、最優秀男優賞には山崎一、最優秀演出家賞には藤田俊太郎が選ばれ、さらに世田谷パブリックシアター/東京グローブ座『エレファント・マン』ジョン・メリック役の演技が評価された小瀧望が、杉村春子賞に輝いた。選考委員特別賞には「現代能楽集X『幸福論』〜能『道成寺』『隅田川』より」が選出された。

正賞はブロンズ像「蒼穹」、副賞は大賞・最優秀女優賞に200万円、その他の最優秀賞並びに杉村春子賞、芸術栄誉賞、選考委員特別賞に各100万円が贈られる。贈賞式は2月25日17時半より開催され、式典の模様は、読売新聞オンラインにてライブ中継される。

大賞・最優秀受賞作・受賞者

■大賞・最優秀女優賞
鈴木杏:世田谷パブリックシアター『殺意 ストリップショウ』の緑川美沙役の演技、東京芸術劇場『真夏の夜の夢』のそぼろ役の演技

■最優秀作品賞
『リチャード二世』(新国立劇場)

■最優秀男優賞
山崎一:Bunkamura『十二人の怒れる男』の陪審員3番役の演技、シス・カンパニー『23階の笑い』のヴァル役の演技

■最優秀演出家賞
藤田俊太郎:東宝『天保十二年のシェイクスピア』の演出、梅田芸術劇場『NINE』の演出、梅田芸術劇場『VIOLET』の演出

■最優秀スタッフ賞
齋藤茂男:KAAT神奈川芸術劇場『アルトゥロ・ウイの興隆』の照明、世田谷パブリックシアター「現代能楽集X『幸福論』〜能『道成寺』『隅田川』より」の照明

■杉村春子賞
小瀧望:世田谷パブリックシアター/東京グローブ座『エレファント・マン』のジョン・メリック役の演技

■芸術栄誉賞
緒方規矩子:舞台衣装デザイナーとして長年にわたり活躍し、多くの後進を育成した

■選考委員特別賞
「現代能楽集X『幸福論』〜能『道成寺』『隅田川』より」(世田谷パブリックシアター)

優秀賞受賞作・受賞者

■優秀作品賞
『天保十二年のシェイクスピア』(東宝)
『ゲルニカ』(パルコ)
『NINE』(梅田芸術劇場)

■優秀男優賞
大谷亮介:serial number『All My Sons』
片岡仁左衛門:国立劇場『彦山権現誓助剣-毛谷村―』
小瀧望:世田谷パブリックシアター/東京グローブ座『エレファント・マン』
城田優:梅田芸術劇場『NINE』

■優秀女優賞
安蘭けい:TBS/ホリプロ/梅田芸術劇場/WOWOW『ビリー・エリオット 〜リトル・ダンサー〜』
池谷のぶえ:パルコ『獣道一直線!』
神野三鈴:serial number『All My Sons』
那須佐代子:シアター風姿花伝『ミセス・クライン』、新国立劇場『リチャード二世』

■優秀演出家賞
詩森ろば:serial number『All My Sons』、流山児★事務所『コタン虐殺』
瀬戸山美咲:世田谷パブリックシアター「現代能楽集X『幸福論』〜能『道成寺』『隅田川』より」
原田諒:宝塚歌劇団『ピガール狂騒曲』
眞鍋卓嗣:俳優座『雉はじめて鳴く』、名取事務所『少年Bが住む家』

■優秀スタッフ賞
梅田哲也:Bunkamura『プレイタイム』の構成・演出
乘峯雅寛:加藤健一事務所『プレッシャー-ノルマンディーの空-』の美術、シアター風姿花伝『ミセス・クライン』の美術
前田文子:梅田芸術劇場『NINE』の衣装
宮川彬良:東宝『天保十二年のシェイクスピア』の作曲