コロナ禍でリモートワークやZoom会議が激増。操作には慣れたものの、オンラインでちゃんと伝えたいことが届いているか、上司や部下の本音がわかりづらいなどの不安を感じたことはないだろうか。
リクルートマネジメントソリューションズがこのほど、22~59歳の首都圏に勤務する正社員551名を対象に「テレワーク環境下における会社・上司への信頼に関する実態調査」を実施。オンラインとリアルの場ではコミュニケーションの変化があるのか、会社や上司との信頼関係にどのような影響を及ぼすのかなどについて調査結果を発表したので、紹介したい。
リモートワークで上司が特に配慮するべきこと
リクルートマネジメントソリューションズ 組織行動研究所で所長を務める古野庸一氏によると、新型コロナウイルス感染症拡大前と比べて上司への信頼が上がった人が15.3%だったのに対し、下がった人は16.4%。
下がったと答えた人の約3割は、以前はテレワークを行っていたが、現在は職場で勤務している人だ。
「自分は信頼されていないからテレワークではなくリアルの場へ戻されたのだろうか」と、上司への不信感が募る場合があるということだ。テレワークをやめて出社させる場合には、部下への丁寧な説明が信頼感につながるのだろうと古野氏は解説する。
また、直属の上司への信頼感の変化に影響していると思うことを聞いたところ、もっとも信頼感を上げた要素は「上司による部下や関係者の健康や安全への配慮」であり、「上司による部下へのメンタル面・業績面のサポート」も重視されているのが分かる。逆に言えば、この点が不十分だと感じている人からの信頼感は下がっている。
リアルの場合は、顔色や表情、雰囲気など言語以外の情報も判断要素になるが、オンラインの場合は部下の健康やメンタル面を常に意識してサポートが必要かどうかを見極める姿勢が求められているようだ。
仕事の進め方を工夫すれば信頼構築はできる
古野氏は、オンラインでのコミュニケーションの変化を受けながらも「オンラインでは信頼構築できないと安易な結論に至るのではなく、オンラインならではの特性に慣れ、仕事の進め方を工夫することで信頼構築は可能」と言う。
今回の実態調査でも、上司への信頼が高い人ほど自らの働きかけも大切だと感じていることが明らかになっている。
「リアルでもオンラインでも、チームのため、会社のために貢献するという一人ひとりの意識が、組織を強くしていきます」(古野氏)
オンライン時代は始まったばかり。上司と部下の両方から歩み寄りながら、よりよい関係性を模索していく。そんな姿勢がリモートワークでの課題を少しずつ解決し、働き方のニューノーマルを形成していくのだろう。