按分、または按分計算という言葉を聞いたことがある人もいるでしょう。按分は経費や予算の振り分け、確定申告など、ビジネスシーンで頻繁に使用されています。計算と聞くと難しいイメージを持つかもしれませんが、考え方を理解すれば、計算自体は難しくありません。

本記事では按分の言葉としての意味や類語の他、按分計算の考え方や計算の仕方、使われるシーンもまとめました。

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    按分について把握してビジネスシーンで生かしましょう

按分とは? 意味をわかりやすく、簡単に説明

「按分」の意味は「基準となる数量に比例して、物を分けること」です。読み方は「あんぶん」です。

使用される主な場面は、経費などの費用や予算の振り分けをするシーンが想定されます。例えば

  • 会社の共通経費を各部署に振り分ける
  • 自宅と事務所を兼用している個人事業主が、電気代を私用と業務用に振り分ける

といった場面で使用されます。

按分と案分の違いとは

按分と案分は同じ意味です。昔から按分という漢字が使用されていましたが、按分の「按」という字は常用漢字ではありません。そのため途中から常用漢字である「案」の字が、代用として使われるようになりました。

常用漢字というのは、「常用漢字表」にある漢字のことを指します。一般の社会生活で漢字を使う際の目安として示されたものです。

按分計算の使い方と考え方、計算方法

按分計算とは、基準の数量に比例して物を分けるときの計算方法のことです。ビジネスシーンにおいて、経費の振り分けなどで使用されます。

日常生活においては、例えば賃貸住宅を複数人でシェアしている場合に、各人が使用している部屋の広さに応じて家賃の金額を振り分けたいときにも使えます。

按分計算の正しい使い方を学んで、ビジネスシーンで活用できるようになりましょう。

どのような計算をする意味で使われるのかを理解する

按分計算の考え方の例を解説していきます。

友人同士3人で外食をした場合、支払う代金は3等分するケースがほとんどでしょう。例えば大皿のサラダ1200円を3人で食べて、3等分すると1人あたり400円支払うことになります。

これを食べた量に応じて按分計算して支払うとします。Aさんは取り皿に3回、Bさんは2回、Cさんが1回取り分けて食べた場合、取り皿の数の割合で振り分けます。Aさんは600円、Bさんは400円、Cさんは200円支払うことになります。

また個人事業主が自宅と事務所を兼用している場合の電気代を、私用と業務用に振り分ける場合は、使用時間で振り分けるなどの方法があるでしょう。

一日6時間×7日の42時間/週で働いている場合、25%が業務用の経費に該当するため、電気代の25%を経費に振り分けることになります。

この考え方さえ理解できれば、計算自体はExcelのツールなどを用いて算出可能です。

基準となる数字が定まっていないことを把握する

なお按分計算を行う場合、基準となる数字に決まりはありません。

例えば使用人数や日数、面積、時間などが基準になることが多いです。また、車の場合は移動距離が基準になる可能性があります。

実情に合った合理的な数字であれば、どれを選択しても問題ないとされています。

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    按分計算を使用する場面を知りましょう

按分計算を使う場面

按分計算は、さまざまなビジネスシーンで使用されます。実情に合った数字を設定するため、この数字によって算出される結果が大きく左右される可能性があります。

使用する場面の例を解説していきますので、それらを参考にして今後のビジネスに活用しましょう。

地代家賃の比率面積計算

家賃の按分計算は、面積比率を基準の数値とするのが一般的です。

例として、100平方メートルの建物をA事業部とB事業部の2事業部が使用しているとします。A事業部の使用面積が60平方メートル、全体の家賃が50万円の場合、A事業部の家賃は30万円と算出されます。また、B事業部の面積は40平方メートルで、家賃は20万円となります。

個人事業主の確定申告における家事按分

按分計算は、個人事業主が確定申告をする際に必要な方法として解説されることがあります。自宅と事業所を兼用している個人事業主の場合、家賃や光熱費などの経費を、事業用と個人の支出に分けて申告する必要があるからです。

企業の会計における経費計算

企業においても、かかった経費の按分処理が必要になる可能性があります。年間使用量を一括で支払った場合、経費処理としては月割計算をして、毎月費用として計上します。

例えば、社有車のレンタル代金を一括で12万円支払った場合、経費の計上はひと月あたり1万円となります。

電気代の計算

電気代の計算は、使用時間を基準にするのが一般的な方法です。自宅と事務所を兼用している個人事業主が業務用と私用に電気代を振り分ける場合で説明します。

個人事業主が1週間の時間数(168時間)の4分の1に当たる42時間を週に働き、電気代が1カ月で12,000円かかった場合、25%の3,000円が月当たりの電気代になります。

電気代については、使用している電子機器(パソコンなど)の消費電力や使用数、コンセントの数の比率で計算することもあります。

通信費の計算

通信費は使用日数、使用時間などを基準に按分計算を行います。

個人事業主の携帯電話の通信費が1カ月あたり3万円、通話時間が30時間で業務に使用した時間が20時間だった場合は、業務に使用した通信費は1カ月あたり2万円の計算になります。

按分の類語・言い換え表現

ここでは按分の類語の正しい意味と使い方を学び、ビジネスシーンで活用しましょう。

折半

折半とは、金銭などを半分ずつに分けること、2等分することを意味します。2等分を意味するため、基本的に3人以上の場合は使用しません。また、主に金銭に対して使用する言葉です。

配分

配分とは「割り当てて配る」という意味です。主に物を分けるときに使用します。全員に等しく分ける様子を表す言葉で、按分とは少し意味が異なります。

ビジネスシーンで利益を分けることは、「利益を分配する」という言い方をすることが多いでしょう。利益の場合は配分ではなく、分配と覚えておきましょう。

配賦

配賦は「はいふ」と読み、割り当てるという意味です。部品や製品の費用配分に用いられるのが一般的で、按分とよく似ている言葉でしょう。

配賦基準とは、配賦を行う際に決められている費用配分ルールのことです。

  • デスクの上のパソコン

    按分の類語を理解しましょう

按分の英語表現

按分の英語表現方法は「distribution」です。配分、分配、流通、分布、区分、分類などの意味があります。

動詞として使用する場合は、distribute(分配する)を使用します。例文としては、「I distribute an expense proportionally.(費用を按分する)」などがあります。

按分とは費用などを振り分ける際、基準の数量に比例して分けること

按分は経費や予算の振り分けなど、ビジネスシーンで頻繁に使用されている言葉です。正しく理解して使えないと、恥ずかしい思いをしてしまう可能性があります。

按分の意味と使い方をマスターして、ビジネスシーンで生かしましょう。