27日に放送される読売テレビ・日本テレビ系旅番組『遠くへ行きたい 50周年スペシャル! ニッポンのごちそう』(6:30~7:30)に、旅する人として出演する料理研究家の土井善晴氏。新型コロナウイルスに襲われた2020年だったが、「良かったこともあったんだと思うんですよ」と、苦難の中でも新たな気づきがあったと前向きに捉えている。
“おうち時間”で料理を始める人が増えたことに対しての思いや、Twitterで話題となったユニークなやり取りなども含め、土井氏に今年を振り返ってもらった――。
■暮らしに料理が入るのは当たり前だったが…
2020年は「やっぱり歴史に残るような1年だったと思います」という土井氏。その中でも、「自然と人間の関係とか、そこにある暮らしというような当たり前のものがこんなに大切なものであって、そしてこんなに尊いもの、みんなの心を安らかにしてくれるものだと、その大切さを改めて思い出させてくれたという点に関しては、良かったこともあったんだと思うんですよ」と語る。
「だから、“コロナ後”ということになっても、ただ単に元に戻ろうということではなく、この時期に気づいたことを忘れないでほしいですね。また同じことになる可能性もあるし、もう少し落ち着いて生きていかなあかんやろうなという気がするんです。でも、悪いことではないし、そうなったら逆に良いもんやと思ってます」
外出自粛をきっかけに“おうち時間”の過ごし方も話題となり、料理を始めるという人が多かったのも今年だ。
それについては、「SNSとかで感じているんですけど、若い人や男性がずいぶんと『料理って意外とやればできるんだな』と思ってくれているみたいですね。そういうふうに暮らしの中に料理が入っていくのは、当たり前のことやと思うんですけど、それを仕事などのせいにしていたりしてなかなか実現できなかった。そうやって、ストレス解消に味の濃いものを食べていたのが、自分で料理するようになって、普通のおいしいものが思い出されて、体の調子も良くなって。おまけに、適当に運動もできるし、家族と過ごせるし、そんな中で、未来に対して自分のペースや生き方というのに気づいた人も多いんじゃないかと思います」と、生活全体にプラスになっていることを指摘した。
■料理へのハードルを上げすぎている
SNSといえば、土井氏が自身のTwitterで行っている「教えて土井善晴先生!!」が話題となった。一般ユーザーからの料理についての質問に返信したのがきっかけで、「教えて土井善晴先生!! ってええなあ」と、次々に答えていくようになった。
「味噌汁にこれだけ入れたらあかん!ってもんはあります?」に対して「おいしく食べられるケーキ」など、ひと言で破壊力のあるユニークな回答が反響を呼んでいるが、「答えたくなるような質問やったらいつでも答えようと思うんですけど、そのタイミングですよね。ふと聞かれてパッと答えるのがいいんだと思います」という意識だそうだ。
そんな中でも、子供が料理を食べてくれずに悩んでいる母親からの声には、「ちょっと頑張りすぎてるように思います。子供はあまり手や味を加えたもんより、シンプルなもんが好きです。いいお味噌買って、野菜と油揚げや鶏肉いれて味噌汁作ってあげてください。大丈夫やよ」と、温かい言葉で優しくアドバイスすることも。
「考えんでもええこと考えてたり、せんでもええことせなあかんと思ってたりするから、私にしたら『そんなもん考えなくてもいいのよ』っていうことを素直に伝えてるつもりなんやけどね。みなさん、“料理”っていうたらハードルをすごく上げられるんですよ。だから、私が言うことに『そんなんでええの!?』って驚きになるんだけど、実は料理ってもっと全員が楽しめるもんなんですよ。その考え方のギャップがね、私とみなさんでかなり大きいんだと思いますわ」