「教えて土井善晴先生!!」を始めるに当たり、「考える練習になるわ」とツイートしていたが、この“考える”ことの大切さも説いてくれた。
「レシピを見てそのまま作ったのなんて、料理してることにならないからね。実は、和食にはレシピって必要ないんですよ。今あるものを食べるというのがまず基本やから、レシピなんて見てたら間に合わないし、食材もそろえなきゃいけない。“一汁一菜”(ごはんを中心に、汁=みそ汁と菜=おかずを1品ずつ合わせたスタイル)って言ってますけど、毎日何作ろうかってメインディッシュのことで悩むなんて、プロでも一番嫌なことやからね。それをお母さんが毎日やらなあかんって、そんなしんどいことないから。だから、その場にあるもので考えて作って、時間に余裕があればちょっと買い物いこうかなくらいでいいんですよ」
まもなく新年を迎えるが、「私は1年でお正月が一番好きなんですよ。うちはお正月になると全員着物着て、三が日を過ごして、3日どころか5日くらいまでずっとおせち料理食べてます」という土井家。
「家族みんなで作ります。おせち料理はね、すべての和食の技術が入ってるんですよ。だから、1回お正月のおせち料理を経験すると、確実に腕が上がる実感があると思います」と、年末も“おうち時間”を過ごす人たちへ呼びかけている。
●土井善晴
1957年生まれ、大阪府出身。芦屋大学卒業後、スイス、フランス、大阪で料理修業。土井勝料理学校勤務の後、92年に独立、「おいしいもの研究所」代表。十文字女子大学特別招聘教授、甲子園大学客員教授、東京大学先端科学研究センター客員研究員などを務め、『おかずのクッキング』(テレビ朝日)、『きょうの料理』(NHK)などに出演する。著書に『土井善晴の素材のレシピ』『一汁一菜でよいという提案』『料理と利他』など。