作詞家で作家のなかにし礼さんが23日に心筋梗塞で亡くなったことを受け、歌手の氷川きよしが25日、所属事務所を通じてコメントを発表した。
氷川はなかにしさんが作詞を手掛けた「櫻」「出発」などを歌っており、今年2月にリリースした「母」は、なかにしさんの作詞家としての遺作となった。
突然の訃報に「まだ、信じられない気持ちです」と沈痛な思いをつづり、「なかにし先生は、すごい偉い先生なのに、私のような若い人間の話を真剣に聞いてくださり、心を汲んで、『母』という詩を書いてくださいました」と思い出を語る。
さらに「今年、こんな大変な世の中で、価値観や人生観が大きく変わっていくときに、この『母』を歌わせていただくというのは、自分の根幹、原点を見つめ直すためにも、本当に意味のあることだと思いながら、今年一年、歌ってきました」と続け、「本当に偉大な先生でした。なかにし先生からいただいた『櫻』『出発』『母』は、先生からの人生のメッセージです」とコメント。
最後に「なかにし先生の魂の作品をこれからも大切に歌わせていただきます。先生、どうぞ安らかに。そして、いつまでも見守っていてください」となかにしさんへメッセージを送った。
なかにしさんは、大学在学中よりシャンソンの訳詩を手掛け、「知りたくないの」(64年)のヒットを機に作詞家となる。その後もヒットメーカーとして活躍を続け「今日でお別れ」(67年)、「心のこり」(75年)、「石狩挽歌」(75年)、「時には娼婦のように」(78年)、「北酒場」(82年)など、約4000曲の作品を生み出した。日本レコード大賞を3回、同作詩賞を2回、ゴールデンアロー賞など、多数の受賞歴を誇る。