2020年初頭、日本国内でも流行の兆しを見せた新型コロナウイルス(COVID-19)が猛威を奮い、世界的に感染が拡がり対応を余儀なくされました。日本国内では、2020年4月に東京都をはじめとした計7都府県に対し緊急事態宣言が発令され、飲食店等の営業自粛要請や企業間へのテレワークの推進など、国内の経済・労働環境は大きく変わりました。

新型コロナウイルスの影響は個人の生活にも変化をもたらし、本業とは別の仕事、つまり「副業」に踏み切った人も増えてきています。

今回、コロナ禍における副業事情について、20~40代の男女585名を対象にアンケート調査を実施しました。多くの人はどのように副業と向き合っているのか、調査を元にご紹介します。

  • 副業の最新事情 - コロナ禍を境に活発化する副業の実態調査

調査期間:2020年12月4日~12月8日
調査方法:ネットリサーチ
調査対象:20~40代で仕事をしている男女 585名
(男性189名・女性396名、20代166名・30代238名、40代181名)
実施:ポート株式会社(マネット編集部)

コロナ禍の影響で収入が減った人は全体の半数以上

「コロナの影響で収入状況はどう変化したか」という問いについて、アンケート結果は「減った」が全体の51.4%、「変わらない」が45.8%、「増えた」が2.8%となりました。

半数以上を占めた「減った」との回答の年代別内訳では、20代が26%、30代が40%、40代が34%と、特に偏りは見られず、どの世代でもまんべんなく減収の煽りを受けていることがわかります。

  • コロナの影響で収入状況はどう変化した?

影響を受けた職種としては、宿泊業や飲食、娯楽産業などが中心になったものと思われます。事実、経済産業省の調査でも、2020年の3月を境に『生活娯楽関連サービス』の活動指数が大幅に下落していることがわかります。

  • 経済産業省HP「新型コロナウイルスの影響を最も受けた『生活娯楽関連サービス』とは」より、各地方自治体からの外出自粛要請や、リモート下での働き方の変化が、サービス業界に大きな打撃を与えたことがわかる

コロナ禍を機に副業をはじめた人は4割以上

調査の結果、コロナ禍を機に副業を始めたと回答した方が237人と、全体の40%以上を占めました。また、コロナ禍以前から今も副業をしている人も含めると、全体で副業を行っている人の割合は78%以上(585人中457人)となっています。

全体として、新たに副業を始めた人や、以前から副業を行っていた人、また現在副業を検討している人の合計は、546人と全体の93%以上まで上り、副業に対してはかなり肯定的な見方が多い結果となりました。

2020年6月に内閣府が実施した「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」では、新型コロナウイルスの流行後、全体の34.5%の方がテレワークを経験しています。コロナ禍の影響で収入を補うために副業を始めた方もいる一方、テレワークによって自由時間の確保が容易となり副業を始めやすい環境が生まれつつあるのではないでしょうか。

オンラインでできる副業が人気

「これまでに経験した『副業』を教えて下さい」という問いで、突出して回答を集めたのが「ポイントサイト・アンケートモニターなど」で全体の191人(32.4%)、次いで「クラウドソーシング」の174人(29.7%)となっています。

クラウドソーシングは、「ランサーズ」や「クラウドワークス」といったオンライン向けの業務委託サイトを通して、データ入力やライティング・デザインといった仕事を受け持つ業務手法を指します。ランサーズが実施した「在宅勤務推奨時における副業・複業者のサービス利用状況調査」でも、コロナ禍を機に新規登録者をした人が3割以上になることが報告されています。

クラウドソーシングやアンケートモニターなどの業務は、自宅のPCやスマートフォンなどで対人接触を省いた作業が行えるため、感染症対策として重要とされるソーシャルディスタンスが確保できる点は大きなポイントでしょう。

3位につけている「投資・FX・仮想通貨」についても、オンライン上の通貨・証券取引が可能であり、調査結果からは、副業の主領域がオンラインとなっていることがわかります。

現在の副業を選んだ理由はさまざま

ここで、実際に副業で一定以上の成果をあげている人の、副業を選んだ理由や收入状況についての意見を紹介します。

▼とりあえずアンケートモニターから
ポイントサイト・アンケートモニターなど

コロナの影響で残業がなくなりテレワークのため通勤手当もなし、電気代だけが嵩む日々で生活が苦しくなってきましたが、主婦にはポイ活やアンケートモニターくらいしか手段がなくこちらからまず副業としてやってみています。

▼営業職のスキマ時間で
ポイントサイト・アンケートモニターなど

営業職をしていますがコロナ禍で面談がなかなかできず収入が減りスキマ時間が増えたので、11月からアンケートモニターを始めてみました。スキマ時間を利用するということで、アンケート回答などを中心にコツコツやってみて10,000円ほど稼ぎました。もっと収入がほしいので、ライティングなどもやってみようと思っています。

▼まだまだ少額だが積極的に副業を
クラウドソーシング

一番素早くできる内容だと考えて始めました。1日1~2時間程度の業務時間を確保しています。月々の稼ぎに関してはまだまだ少額ですが、今後も引き続きやりたいのと、他にも副業になりそうなものに積極的に挑戦したいと考えています。

▼旅行業からライティング業務へ
クラウドソーシング

本業はインバウンド関連の旅行業ですが、コロナの影響で今は休業しています。少しでも収入を得たいと思い、クラウドソーシングを通してライター業務をやっています。もともと、文章を書いたりまとめたりすることが好きなので、やりやすいかなと思いライター業務を優先的に選択しています。月に2万円程稼げています。

▼株価が下がった今がチャンスだと思った
投資・FX・仮想通貨

株式投資はコロナ影響で大きく株価が下がったため、今がチャンスと思い、株式口座を開設し、投資を始めました。なかなか投資するのにも勇気がいるので、大きな金額は稼ぐことはできていませんが、スタートして8ヶ月ほど経ったので、今では中間配当等も貰えるようになり、運用も順調で始めで良かったかなと感じています。

▼コロナを機に資産形成
投資・FX・仮想通貨

老後の生活資金確保とコロナによる収入減で、以前から副業として行っていた投資を本格化しました。現在の総資産としては、日本株で約400万円程です。最終的には65歳の定年迄に総資産2000万円にするのが目標です。今後は海外の株をポートフォリオに組み入れて行きたいと考えています。

▼言語を活用した顧客対応
オンラインでの顧客対応

小遣い稼ぎ程度で簡単な出品作業としてお仕事を始めたのですが、英語ができるので海外のお客様向けの顧客対応を任されるようになり、1日数時間の稼働で月約4~6万をいただいていました。時給に換算するとそこまでといった金額ではないですが、仕事の簡単さと家から好きな時間に出来るという面では十分だったのではないかと思います。

▼アフィリエイトで月々1万円ほど
ブログ・アフィリエイト

コロナのせいで収入が減り、仕方なくアフィリエイトブログをはじめました。月収は1万円程度稼いでいますが、なかなかこれ以上稼ぐのは難しいと感じています。ただ、自分の目標としては5万円程度を目指して稼ぎたいと思っています。

▼時給契約のインターネットライバー
YouTube・ライブ配信など

コロナの影響で在宅業務になり、学生時代にライブ配信の経験があったので、再度違うプラットフォームにて公式ライバーをしていました。月に30時間は最低配信をする契約で時給は1000円でした。それに加えて、アイテム収入があり月に3~4万円ほどいただいていました。

▼デリバリーのアルバイト
配達・運転代行など

コロナの影響で収入が減ったので、最初は流行りのウーバーイーツをしようかと考えましたが、決まった時間帯で決まった収入を得た方が良いと判断したので、近所のピザ屋のデリバリーのアルバイトをはじめました。稼いだ金額は最高5万円程度、平均では3万円程度です。週1〜2で、働く時間は3〜4時間程度なので、それほど大きな金額ではありませんが、毎月見込める収入を計算出来ることと、好きなピザが半額で購入出来ることでお得な気分にもなりました。大変な時期ですが、ちょっとした息抜きと楽しみが増えた形になり、良かったと思います。

副業の收入は月収5,000円以下が4割を占める

具体的に「副業で1ヵ月に稼いだ『最高額』」を聞いたところ、月間5,000円以下の収入となっている方が224人と、副業している方全体の43.4%と最多数になりました。

月収が5,000円以下と回答した方の副業は

  • ポイントサイト・アンケートモニター
  • クラウドソーシング

の2つが大半を占める結果となっています。

ポイントサイトやアンケートモニターは専門知識を必要とするものが少なく比較的誰でも行える反面、報酬単価が低く、高収益の確保が難しくなっています。

一方で、月収が100,000円を超える方は、投資やFX、イラスト制作やラインティング等、専門的な知識やスキルを活用して副業を行っている傾向にありました。やはり、誰にでもできる仕事は単価が低く、専門性が高くなる稼ぎやすくなるようです。

まとめ

今回実施したアンケート調査結果で分かった事は、大きく下記の3点です

  • コロナ禍で新たに副業を始めた人が多かったこと
  • 主にオンライン上で作業できる業務が選ばれていること
  • 生活を支えるほどの収入を得ている人はまだ少ないこと

全体として、コロナを機に副業を始めてみたものの、ノウハウとしては十分に蓄積されておらず、市場の醸成にはまだ時間がかかるといった印象を受けます。

国内での副業については、2018年頃から政府主導による推進の動きが活発化し、2020年9月には「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が改訂され、企業の副業・兼業を推奨する指針が明確となっています。

副業をまだ許容していない企業や公務員と副業の取り扱いなど、国内の副業についてはまだまだハードルが高い側面もありますが、新型コロナウイルスを機に今後も市場が活発化してくことは容易に予測できます。

コロナ禍を機に、一度副業を視野に入れたライフプランの再設計を検討してみてもいいかもしれません。