現代は新しい働き方がいろいろと模索されており、テレワークもそのうちのひとつです。離れた場所からでも仕事ができるテレワークでは、出社せずにさまざまなタスクをすることができます。
本記事では会社および社員にとってのテレワークのメリットやデメリットを紹介します。
テレワークの定義とは?
テレワークは環境さえ整っていればどこでも仕事ができるため、自宅以外にもカフェやレンタルオフィスなどでも作業が可能になります。また、出社の必要がなく、仕事をする「時間」も「場所」も選べるので柔軟な働き方をすることができます。
在宅勤務もテレワークのひとつ
テレワークと在宅勤務は、その意味が混同されるケースがよくあります。テレワークとは情報通信技術を活用することで、離れた場所からでも仕事ができるという働き方を指します。 そのテレワークを活用し、自宅で仕事をすることが在宅勤務となります。すなわち、在宅勤務とはテレワークを活用した働き方の形態のひとつなのです。
テレワークの種類
フレキシブルな働き方に対応ができるテレワーク。それゆえ、テレワークの中にもいろいろな形態がありますが、働き方は雇用と自営に大きく分けられます。テレワークもこの2つに合わせて、雇用型テレワークと自営型テレワークに大別できます。いくつか代表例を紹介していきましょう。
(1)雇用型テレワーク
■在宅勤務
在宅勤務はテレワークを活用して自宅で仕事をする働き方です。在宅勤務は完全に出社を不要とする場合や、必要に応じて週の数日を在宅勤務にするなど、企業によってルールは異なります。 働く側は出勤と退勤の時間を削減することができ、企業側には交通費やワークスペースの削減などのメリットが得られます。ただし、出社しないことでコミュニケーションが不足したり、企業が社員の仕事を管理しにくかったりするなどのデメリットもあります。
■モバイルワーク
モバイルワークとは、パソコンやスマートフォン、タブレットなどの端末を使って、社内のパソコンにリモートアクセスしたり、専用のシステムやクラウドサービスを活用したりなど、社外からテレワークを活用して仕事をする働き方です。 営業職が移動の時間や空いた時間、顧客先などでよく活用している働き方であり、モバイルワークでは時間を無駄にすることなく仕事を進められるというメリットがあります。
■サテライトオフィス勤務
サテライトオフィス勤務とは、会社とは別にサテライトオフィス、テレワークセンター、スポットオフィスなどのテレワークができるワークスペースを準備して、働く側は会社ではなくそれらのワークスペースに出社し、仕事をします。 サテライトオフィス勤務では、会社が遠くて出勤できない場合や、自宅にテレワークの環境が整えられない場合などに対応することができます。
(2)自営型テレワーク
自営型テレワークでも、情報通信技術を活用して離れた場所から仕事をすることに変わりはありませんが、自営なので基本的にはテレワークに必要な環境を自分で準備し、自ら営業活動を行って仕事を得る必要があります。 また、自営型テレワークでは専業性や独立自営の度合いが高いSOHOと、クラウドソーシングサイトなどで副業的に仕事を得ている内職副業型勤務の2種類があります。
企業におけるテレワークのメリット
今は、いろいろな働き方が模索されている時代ですが、その中でもテレワークの注目度が高くなっています。テレワークの注目度が高い理由としては、得られるメリットが大きいということがあります。以下で詳しくみてきましょう。
優秀な人材を確保しやすくなる
テレワークでは、やむをえない事情で離職してしまうような優秀な人材を確保しやすくなります。乳幼児の育児や両親の介護に追われて仕方なく会社を去っていった人も少なくないでしょう。しかし、テレワークであれば在宅で対応可能なので、会社としても優秀な人材を逃さなくてすむので、大きなメリットだと言えます。
オフィスコストを削減できる
テレワークに移行する社員が増えることによって、オフィススペースを削減したり、通勤定期代などの交通費を削減できたりします。また、日頃の業務で使用する資料、書類などを電子ファイル化すれば、印刷コストの削減も実現できます。
事業継続性への貢献
日本は地震をはじめ非常災害が多い国でもありますし、直近だと新型コロナウイルスにおける緊急事態宣言で不要不急の外出が禁止されるなど、初めての経験で事業継続が困難になった会社も多数出てきました。テレワークを積極的に導入すれば、事業を完全に止めることなく継続していくことが可能になります。
企業におけるテレワークのデメリット
オフィスコストカットや人材流出の阻止など多くのメリットがあるテレワークですが、当然、テレワークだからこそ目立つデメリットも存在します。
勤怠管理が難しい
テレワークのデメリットの1つ目は、社員が直接オフィスに顔を出さないため、業務開始時間や終了時間などの勤怠管理が難しくなることです。 テレワークを導入する場合には、予め勤怠管理の把握が困難なのを理解したうえで、電話やメールで就労状況の報告を徹底するなど、普段以上に「報連相」の徹底を意識づけることが重要になります。 スマートフォンやタブレットなどの端末で使える勤怠管理ツールなどを利用するのもおすすめです。
オフィス出勤が必須な社員との不公平感
在宅勤務がメインの社員とオフィス勤務が必須な社員とで不公平感が生じてしまうことは懸念材料と言えます。例えば、在宅勤務がメインの場合、会社に出社する必要がないため、オフィス勤務が必須の社員からすると「あの人は楽できていいな」と不公平感を抱いてしまうので、うまく理由をつけてフォローをするなど工夫が必要です。
「さぼる社員」の存在
オフィス勤務の場合、同僚(ライバル)が働く姿や上司の目が気になって自然と仕事に打ち込めますが、在宅の場合「サボってもバレないよな」という心理が働くため、どうしてもサボってしまう社員も出てしまいます。
テレワークをうまく活かすために見直したい企業ルール
デメリットはあるものの、それを補って余りあるメリットがあるため、在宅勤務型テレワークを導入する企業は増えています。 ただ、業種や企業規模などによっては、在宅勤務型テレワークが働き方として適しておらず、導入してもメリットが得られないということもあります。 そのため、在宅勤務型テレワークは導入する前に、その仕事がテレワークに適しているものか判断する必要があります。
評価制度
オフィスでの勤務を前提とした評価になってることが多いため、在宅勤務型テレワークでは上司が部下の仕事を把握しづらく、これまでの評価制度では正しい評価ができなくなってしまう恐れがあります。 また、成果を評価基準にしようとしても、仕事内容によって成果が明確な数字や物で判断できないケースもあり、不平等となってしまうこともあります。 評価は社員のモチベーションや不満などにつながるため、場合によってはテレワークに合わせて評価制度も変更しなければなりません。
セキュリティ
テレワークではネットを通して仕事をするので、セキュリティに関する大きなリスクが発生することを把握しておかないといけません。 特に企業情報や顧客情報、個人情報などの重要な情報を扱う仕事の場合は、ウイルスや不正アクセスなどのセキュリティ対策や、適切に管理するために端末やデータ、資料などの扱い方を社内ルール化するなど、情報漏洩へのリスクに備える必要があります。
コミュニケーション
在宅勤務型テレワークのデメリットとして、コミュニケーション不足になりやすいということがあります。コミュニケーションが不足してしまうと、チームワークが乱れてしまう原因になりかねません。 そのような状態に陥らないために、チャットツールやビデオ会議などを活用して定期的な会議を行い、社員同士のコミュニケーションをサポートする必要があります。
社員におけるテレワークのメリット
続いて社員目線に立ったテレワークのメリット、デメリットを紹介していきます。まずはメリットを詳しくみていきましょう。
通勤時間で疲弊しない
在宅勤務型のテレワークで得られる大きなメリットは、出社する必要がなくなることです。出社しなくてもよいので、通勤と退勤の時間がなくなります。そのため、通勤ラッシュで仕事をする前に体力を使ったり、仕事終わりで体力がない状態で退勤したりなどの心身を疲弊させてしまう事態を避けられます。
生産性の向上
在宅勤務型のテレワークでは自宅で仕事をすることができ、通勤や退勤の時間も必要なくなります。 そのため、時間を有効活用しやすくなり、働く側は仕事と私生活のバランスを良い状態で保ちやすくなります。また、仕事と私生活のバランスが良い状態で保つことは生産性の向上にもつながります。
ワークライフバランスの実現
在宅勤務型のテレワークでは仕事をする場所や時間を柔軟に対応させることができます。そのため、企業側は育児や介護などを理由に働けない状態にいる優秀な人材を確保でき、働く側もそのワークライフバランスを保ちながら働くことができます。
社員におけるテレワークのデメリット
在宅勤務型のテレワークではいろいろなメリットが得られますが、デメリットもあります。以下に具体的なものをまとめました。
環境によっては業務に集中できない
会社に出勤していれば、たとえ気が乗らなくても手を動かす強制力のようなものがありますが、在宅勤務やサテライトオフィス勤務の場合、周りに働いている人の姿も音もないため、仕事のやる気が出ないと悩む人も多い傾向にあります。
コミュニケーションの減少
社員同士のやり取りも少なくなるだけでなく、在宅勤務で外出機会が減少することに伴い、コミュニケーションの機会減少が懸念されます。テレワークでは、直接対面してコミュニケーションが取れないので、WEBカメラなどテレビ会議用のツールやチャットツールなど、在宅でありながらも手軽にコミュニケーションを取れる仕組みづくりをしておくことも重要になります。
仕事とプライベートの切り替えが難しい
在宅勤務型のテレワークは自宅で仕事します。プライベートな空間で仕事をすることになるため、気持ちの切り替えが難しいと感じてしまう人もいます。 また、在宅勤務型のテレワークは出社をしないため、上司や職場の仲間に見られて仕事をするということもありません。その結果仕事に集中できず、本来は生産性が上がるはずの在宅勤務型のテレワークで生産性を落としてしまうという人もいます。
テレワークの生産性を上げるためのポイント
クライアントや上司らとのweb上での打ち合わせがあるため、「どのような服装でテレワークをすべきなのか」といった疑問を抱いている人もいることでしょう。
服装に迷った場合は、仕事着などのきちんとした服装に着替えることをおすすめします。以下でその理由を具体的に説明します。仕事場がたとえ自宅であっても、職場にいるような緊張感を作り上げられる服装を選んでみましょう。
オンオフのメリハリがつく
自宅でのテレワークは、仕事の時間を自由に選べるため、ダラダラとした生活になっている人も多いのではないでしょうか。テレワークでは、どうしてもプライベートの延長になってしまい、仕事とプライベートとを上手に切り替えるのが難しくなってしまいます。
このような事態に陥らないようにするために必要なのは、生活のリズムです。朝起きてから仕事に出勤するときのように身だしなみを整え、きちんとした服装に着替えましょう。そうすれば、気持ちにスイッチが入り、仕事とプライベートのオンオフのメリハリをつけることができるでしょう。
無駄な行動を軽減できる
部屋着の服装のままでいると、ついプライベートと同じ気持ちになり仕事をさぼりがちになってしまう可能性もあります。会社と違い、時間に区切りがないテレワークでは、余計な休憩をとってしまうことが多くなりやすいでしょう。
無駄な行動をしないためにも、きちんとした服装に着替えるように心掛けましょう。そうすれば、ちょっとした休憩をはさむことなく、仕事への集中力を高められます。
突然のテレビ会議にも対応できる
テレワーク中に突然、テレビ会議がセッティングされることがあります。そうなると焦ってしまい、会議に間に合わなくなるかもしれません。
やはり、どんなときでもすぐに対応できるようにしておきたいものです。テレワークでの仕事は、普段からきっちりと服装を切り替えて慌てることのないようしておきましょう。
テレワークにおける効率的な働き方を実践しよう
本稿ではテレワークの形態の詳細や、テレワークを導入するメリット・デメリットについて企業・社員の目線から、ご紹介しました。会社に勤務せずに業務を遂行できるテレワークを導入する企業は今後、どんどん増えてくるでしょう。現状、テレワークと無縁と思っている人も、近い将来どうなっていくのかイメージを膨らませながら、自分の仕事でテレワークをするならどうするのか考えておきましょう。