意外と忘れてしまいがちな敬語表現。特にビジネスシーンでは、正しい言葉を使いたいものです。本記事では、「考える」の謙譲語について、言い方や活用シーンを例文を解説していきます。

「考える」の謙譲語は?

「考える」の謙譲語は、「考えておる」「存じる」「拝察する」「愚考する」「検討する」などです。謙譲語は、相手より一歩下がった立場で使う敬語であり、自分より目上の人に対して、自分が考えるという意志を伝えるときに使います。

  • 「考える」の謙譲語は「考えておる」など

    「考える」の謙譲語は「考えておる」など

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もっと詳しく : 敬語表現(尊敬語・謙譲語・丁寧語)活用表

「考えておる」の使い方

「考えておる」は、「考える」の謙譲語として話し言葉で使われる表現です。「考える」という意味で「考えておる」という言葉を使うときは、語尾に丁寧語の「ます」をつけて、「その件つきましては現在、当方で考えております」などとなります。

ただし「考えておる」は「考えている」の謙譲語であり、「考える」とは意味に違いがある、という意見もあります。「考えている」は「いま現在、考えている」という現在進行形の表現であり、「考える」は「これから考える」という点で両者は異なっているという指摘です。

「これから考える」場合には、「考えておる」を使用することで相手に誤ったメッセージを伝えてしまう可能性もありますので、注意が必要です。

「存じる」の使い方

「存じる」は「思う」「知る」の謙譲語であり、「考える」の謙譲語としても使用できます。「その方法が最善のものと存じます」などのように使用します。この場合の「考える」は、「思う」とほぼ同じ意味になります。

「拝察する」の使い方

「拝察する」は、「考える」の謙譲語として使われる表現です。元々「察する」には相手の心中などを推察するという意味があり、「拝察」はそれを遜(へりくだ)っていう言葉になります。

「する」の謙譲語「いたす」の語尾に丁寧語「ます」をつけ、「拝察いたします」といったかたちで使います。相手に対する敬意が強く感じられ、「皆様のお悲しみは、いかばかりかと拝察いたします」など、改まった場面で使用されることが多い表現となります。

「愚考する」の使い方

「愚考」は自分の考えを遜っていう言葉で、「この場合は、第2案が最適ではないかと愚考しております」などというかたちで使用します。これは、書面やメールなど書き言葉で使われることの多い表現になります。

「検討する」の使い方

「考える」の類語である「検討する」を使って謙譲表現とすることもできます。「いただきました課題は、さっそく社に持ち帰って検討いたします」などのように使います。

「考える」の謙譲語を使う場面と例文

ビジネスシーンで「考える」の謙譲語を使う場面と例文を紹介いたします。

  • クライアントに計画の穴を指摘された場合

「その件つきましては現在、当方で考えております」

  • 課題解決の方法を上司に提案する場合

「この方法が最善のものと存じます」

  • 不慮の事故により被害を受けた方に声をかける場合

「皆様のお悲しみは、いかばかりかと拝察いたします」

  • クライアントの出した案に対する自身の考えを示す場合

「この場合は、第2案が最適ではないかと愚考しております」

  • クライアントからの有益な指摘を受けた場合

「いただきました課題は、さっそく社に持ち帰って検討いたします」

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「考える」の謙譲語としては、主に「考えておる」が挙げられます。言葉の適切な敬語表現をマスターし、ビジネスシーンで正しく使えるようにしましょう。