公務員になりたい理由がないと志望動機を組み立てられません。単に「安定しているから」「待遇がいいから」とは言えず、試験後の面接対策をどうすればいいか困っている人もいるのではないでしょうか。

公務員の志望理由を考えるには、自分が応募する職種内容を把握して、その仕事をなぜやりたいのか説明する必要があります。そして、さらにその仕事内容で求められる適性があることもアピールしなければなりません。

本記事では、公務員の志望動機を書く方法について解説します。公務員を希望しているが志望動機が書けないという方は、ぜひご一読ください。

  • 公務員の志望動機がないまたは本音が言えない人は多い

    これといった大きな理由がなくても志望動機は組み立てられます

公務員の志望動機がないまたは本音が言えない人は多い

公務員になりたいけれど、面接で答えられるような志望動機がない、あるいは本音が言えないという人は少なくありません。しかし、志望動機は必ず問われるため、自信をもって答えられるよう事前に考えておく必要があります。

「安定」「好待遇」を志望動機にはできない

そもそも、公務員を志望する本音の理由は「安定」や「好待遇」といった待遇面に偏りがちです。しかし、一般企業の面接でも待遇面のみの志望動機では「どのような仕事をするのか理解していない」とみなされ、あまりいい印象を与えません。

では、志望動機はどのように組み立てればいいのでしょうか。

仕事内容と求められる適性から志望動機を組み立てよう

公務員に限らず、就活や転職で志望動機を答える場合は、仕事内容と求められる適性から検討することを考えましょう。実際に行う仕事内容にどのような魅力があり、自分はどのような社会的役割を果たしたいかということを志望動機として検討してみてください。

  • 公務員の志望動機がないまたは本音が言えない人は多い

    公務員は安定性が魅力だが志望動機では仕事内容に対する想いを説明しよう

公務員の仕事内容を知って志望動機を考えよう

志望動機を検討するには、まず公務員の仕事内容を把握しなければなりません。

国家公務員と地方公務員の違い

国家公務員と地方公務員の大きな違いは、採用元と仕事の範囲です。

国家公務員は国家機関(行政府・司法府・立法府)が採用元で、国が主体となって行う業務に携わります。国家規模のプロジェクトに関わり、スケールの大きな仕事を受け持つ可能性もあります。勤務先は霞が関の中央官庁のほか、都道府県ごとにある地方裁判所や税務署のように地方勤務になる場合もあります。

一方、地方公務員は、都道府県または市区町村の各機関が勤務先となり、その地域で行政サービスを提供します。行政区内での異動はありますが、行政区を超えた引っ越しを伴う異動は基本的にありません。市区町村の仕事は地域住民と直接接する業務が多く、成果を実感しやすいという点が特徴です。

試験区分による仕事内容

公務員試験には試験区分があり、区分で仕事内容が判断できる場合もあります。試験区分ごとの職種にはどのようなものがあるかを次の表にまとめました。

行政事務系 ・国家公務員の行政事務
政策立案、法案作成、予算編成
・地方公務員の行政事務
行政全般の幅広い分野・業務に従事
・警察事務
・学校事務
技術系 ・国家公務員の場合
技術系行政官、研究官
・地方公務員の場合
土木、化学、建築、機械、農業区分など
公安系 警察官、消防官、皇宮護衛官、海上保安官
資格免許職 心理職、福祉職、保健師、看護師、管理栄養士、栄養士など

自分の応募する区分のうち、自分の希望する職種は、どのような業務を行うのか、さらに深く調査をして仕事内容をイメージできるようにしましょう。

  • 公務員の仕事内容を知って志望動機を考えよう

    役所での仕事は地域住民への行政サービス提供

公務員に求められる適性4点

公務員に求められる適性を把握していれば、自分がアピールするべき性格や特徴を選ぶ際の参考になります。公務員に求められる適性は次の4点です。

人の役に立ちたいという責任感

公務員の仕事は、国民や地域住民の生活を守るためにあります。役所の行政事務系などは、地域住民の役に立ちたいという責任感が重視されます。地域住民の困りごとに耳を傾けながら、責任感をもって仕事に当たることが求められます。

柔軟な対応力

公務員は、場合によって3~5年ごとに転勤があります。地方公務員の場合、対象の地方自治体から離れることはありませんが、職種により仕事内容が数年ごとに変わっていく場合、さまざまな仕事を覚えなくてはなりません。このような職種であれば、特に柔軟な対応力が求められます。

コミュニケーション能力

各省庁間、国民相手など、国家公務員には極めて高いコミュニケーション力が求められます。また、地方公務員の場合は、役所にやってきた地域住民の困りごとに耳を傾け、適切な説明をしながら問題解決に当たらなくてはなりません。コミュニケーション力の高さは、公務員に求められる適性の中でも重要なポイントです。

堅実な業務遂行力

公務員の仕事は国民や地域住民が健康的で幸せな生活が送れるようにサポートすることにあります。ひとつひとつの業務は地味ではありますが、確実な業務遂行力が必要です。地道に目の前の業務をコツコツと、確実にこなしていける素質がある場合は、ぜひ自己PRに盛り込みましょう。

  • 公務員に求められる適性4点

    公務員に求められる適性を自分が持っていたらぜひ志望動機に記載を

公務員になりたい理由がない人向けの志望動機の作り方

公務員になりたい理由がなくて困っている方向けに、志望動機を作成する手順を紹介します。

1.その仕事をなぜしたいのか考える

自分の応募区分でどの仕事をするかが明確にわかる場合は、志望動機に業務内容に関する内容を盛り込む方向で考えましょう。技術系、公安系、資格免許職の場合は、業務内容がはっきりしているため、なぜその仕事を選んだのかを考えることで志望動機を作成できます。

行政事務系の場合は、業務内容そのものでは志望動機を説明しづらいかもしれません。その場合は、事務を通じて国家または地方自治体に貢献することを軸に、「なぜ貢献したいか」という部分を掘り下げましょう。

2.自治体への思い入れを志望動機に加える

地方公務員の場合は、応募する自治体への思い入れがある場合は、志望動機に加えましょう。自分の出身地または以前住んだことがある場所、訪れてみて印象が良かったエピソードなど、自治体への思い入れが伝わる内容を盛り込みます。

3.業務内容に活かせる自分の性格や特徴をアピール

ここまでで、業務内容に対する志望動機を伝えた後、自分の性格や特徴をその業務内容に活かせることをアピールします。公務員に求められる適性の中で、自分に当てはまるものがあれば志望動機に盛り込みましょう。

4.経験や資格で活かせるものがあればアピール

経験や資格で、その業務内容に活かせるものがあればその点もアピールします。学生の場合は、アルバイトや大学生活などで得た経験を交えて説明するといいでしょう。

  • 公務員になりたい理由がない人向けの志望動機の作り方

    応募する自治体への思い入れがあればぜひ志望動機に

公務員の志望動機が書けない人向けの例文集

公務員の志望動機がどうしても書けない、思いつかないという人向けに例文をいくつか紹介します。この例文をテンプレートとして、自分の言葉で志望動機を仕上げてください。

新卒で地方公務員を目指す場合

新卒で地元の地方公務員を目指す場合は、地元で感じていること、地元の好きな面などを志望動機として取り入れられないかを検討してみましょう。

・例文
私は生まれも育ちも〇市ですが、水害の多いこの土地で毎年のように水害のニュースを見ては「どうにかできないのだろうか」と思っていました。学生時代は、災害復興支援のボランティア活動に参加しており、復興支援などの知識を多く学んでいます。
今回、地域防災の体制強化による職員募集があることを知り、〇市が災害におびえることなく安心して暮らせる街づくりに貢献したいと考え、本職に志望しました。

社会人から地方公務員を目指す場合

社会人から地方公務員を目指す場合の例です。社会人経験がある場合は、前職で得た知見を、業務でどのように活かすかという説明も盛り込みましょう。

・例文
ここ数年、地元に帰る度に町が廃れていく様子に危機感があります。今回、Uターンで地元での仕事を探していましたが、年々加速していく高齢化問題の対策に貢献したいと考え、公務員を目指すことを決意しました。
前職では、ITシステムの開発に携わり、IT技術を利用した行政サービスの向上にも対応できる知識が身についています。採用されましたら、民間企業で培った経験や知識を生かして、市民の皆様が安心して暮らせる街づくりに貢献する所存です。

地元以外の自治体の地方公務員を目指す場合

地元以外で公務員を目指す場合は、「なぜ公務員なのか、なぜその業務なのか」を個人の体験に根ざした動機と結びつけて説明できないか検討しましょう。

・例文
中学時代、仕事の体験学習として保育園に行き、小さな子どもたちと接する仕事に憧れて保育士の資格を取得しました。保育園で子どもたちと一緒に過ごす仕事はとても充実していましたが、残念ながら腰を痛めてしまい、保育士の仕事を断念しました。
それでも子どもたちが好きで、何か役に立てる仕事はないか検討したところ、〇市が子育て支援事業に力を入れていることを知り、ぜひ仕事に関わりたいと考えて志望いたしました。
保育士時代に培った経験や対応力を活かし、〇市の行政サービスを市民の皆様に気持ちよく利用していただけるよう力を尽くす所存です。

  • 公務員の志望動機が書けない人向けの例文集

    志望動機をしっかりと練って履歴書に書こう

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公務員の志望動機がない、と困っている場合は、業務内容や国民・地域住民へどのように貢献したいのか、という視点から志望動機を検討してください。

自分でしか語れない経験や前職での体験を志望動機とリンクさせることで、自分の言葉で志望動機を語ることができます。志望動機の例文はテンプレートとして活用し、オリジナルの志望動機を作成しましょう。