野村総合研究所はこのほど、「コロナによる休業者の実態と今後の意向に関する調査」の結果を発表した。同調査は10月20日~21日、新型コロナウイルス感染拡大に関連した雇用先の雇用調整により現在休業中の労働者2,163人を対象に、インターネットで実施した。

  • 休業や仕事に関する今後の意向(休業中の正社員(男女別))

休業中の正社員に、休業や仕事に関する今後の意向を尋ねたところ、5割超(男性で54.7%、女性で57.1%)が「休業手当を受け取れるならば、現在のように休業を続けられる方がよい」と回答した。一方、「実際に仕事をして賃金を受け取れる方がよい」という回答も半数近く(男性45.3%、女性42.9%)を占めている。

実際に休業手当を受け取っている休業中の正社員でも、約4割(男性42.2%、女性39.1%)が「実際に仕事をして賃金を受け取れる方がよい」と回答している。

今後の仕事内容についての意向について尋ねると、「新しい仕事を探したいと思っている」と回答した人は約5割(男性で52.8%、女性で49.2%)だった。男性の20.1%、女性の13.8%が「実際に新しい仕事を探している」と回答している。

  • 今後の仕事内容についての意向(休業中の正社員(男女別)(

転職希望者のうち、約8割(男性81.6%、女性80.9%)が「(新しい仕事は)現在と異なる職種でもよい」と回答した。「現在と異なる職種がよい」と明確に職種変更を希望している人も、男性26.4%、女性24.3%とそれぞれ4人に1人という割合だった。

転職希望者のうち、新しい仕事を探す際に、「コロナ下においても働く人を求めているような業界(小売り、物流、医療、介護・保育など)で働くことを検討してもよいと思う」と回答した人の割合は、約6割(男性61.0%、女性60.5%)だった。

  • 働く人を求めている業界への転職検討意向(休業中の正社員(男女別))

休業中の正社員に「現在の仕事での雇用調整の解除(通常就業の再開)が難しい場合、仕事があって働く人を求めている企業に「在籍出向」してもよいと思うか」と尋ねたところ、男性17.3%、女性14.9%が「積極的にしたい」と回答した。「積極的にではないが、してもよい」を合わせると約5割(男性53.1%、女性50.8%)が「在籍出向」に前向きであることがわかった。

「在籍出向」に前向きな人のうち、「コロナ下においても働く人を求めているような業界の企業への「在籍出向」を検討してもよい」と思うと回答した人は、8割近く(男性78.7%、女性79.0%)を占めた。

休業手当の受け取り有無について尋ねたところ、正社員女性は62.8%が受け取っているのに対し、パート・アルバイト女性で受け取っているのは30.9%と低かった。従来働いていた一日の労働時間のうち、一部を休業する短時間休業の場合のみならず、一日単位で休業している場合でも、6割強(63.7%)はその分の休業手当を受け取っていないと回答している。

  • 休業手当の受け取り有無(休業中かつ実労働時間1割以上減の女性(雇用形態別))

休業手当の受け取り有無を世帯年収別に見たところ、世帯年収が低い人ほど休業手当を受け取っていない割合が高いことも明らかとなった。世帯年収600万円以上は34.8%が受け取っていると回答したが、年収が低くなるにつれ受け取る割合は下がり、世帯年収200万円未満だと22.1%にまで下がっている。