乗用車を運転中にバイクと衝突し現場から立ち去ったとして、ひき逃げの疑いで逮捕された俳優の伊藤健太郎が主演を務める映画『十二単衣を着た悪魔』(11月6日公開)が、予定通りの公開を発表した。

伊藤健太郎

伊藤健太郎

同作の配給であるキノフィルムズ 代表取締役社長・木下直哉は、「逮捕されてからの数日間、事実確認をしながら、関係各所と本作品公開についての協議を重ねて参りましたが、昨日10月 30日の夕刻に釈放されたことを受け、予定通り11月6日より全国の劇場にて公開させて頂く運びとなりましたことを、ここにご報告申し上げます」と発表。

さらに「様々なご意見があることと存じますが、釈放後に本作関係者への自筆の謝罪書面を弊方が受け取り、また、報道を受けてなお、公開を望む方々からの多くの声を頂戴したことなども踏まえ、関係各社様のご理解、ご協力を賜り、上記の通り決定をした次第です」と事情を説明。「監督をはじめとした大勢のスタッフ、キャストが長い時間をかけた創作のご尽力に報いたいという想いも、本決定を後押し致しました」と明かした。

また、映画というメディアについて「作品を観たいお客様が、自らの判断で選んで鑑賞するメディアであること、そのうえで、『個人の罪と作品は違う』という弊社の見解のもと、本編の再編集は行わずに、そのままの内容で上映をさせて頂きます」と説明した。

近年、映画と出演者の犯罪については各社で対応を示す。10月30日に公開した映画『とんかつDJアゲ太郎』には、伊藤と、9月に大麻取締法違反の容疑で逮捕された伊勢谷友介が出演しており、『十二単衣を着た悪魔』にも同2名が出演しているが、両作品とも予定通り公開。さらに伊勢谷容疑者が出演した映画『いのちの停車場』(2021年公開)については、東映・手塚治社長が「映画は、劇場での公開をスタートといたします。作品を鑑賞しようとする意図を持ったお客様に映画館においでいただいて、有料で鑑賞していただくというクローズドなもので、テレビ放送やCMとは質の異なるもの」と今回のキノフィルムズと同様の発表を行い、「作品と個人とは別のものである」と明言するなどの見解が広まっている。