睡眠の質を握る「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」

睡眠の質を上げるための次なるステップとして、眠りのメカニズムを理解しておきましょう。

人は「深い眠り」をとることで脳と体の疲れを解消しています。この深い眠りがとれないと、十分な時間眠ったはずなのに寝た感じがしなかったり、朝から疲れていると感じたりします。

この眠りの深さには「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」と呼ばれる2つの睡眠状態が関係します。レム睡眠とは、身体は深く眠っており、脳が起きているような状態の浅い眠りを指します。このタイミングに目覚めると気分がすっきりします。

レム睡眠の語源は英語の「Rapid Eye Movement(急速眼球運動)」の頭文字であるREMで、レム睡眠中には特徴的な眼球活動が行われています。レム睡眠では眠りが浅く、多くの人が夢を見るのもこのタイミングです。

一方のノンレム睡眠とは、身体を支える筋肉は働いているものの、脳が眠っている状態を指します。居眠りの大半はノンレム睡眠と考えられており、すきま時間にほんの少し眠るだけでも脳の休息になります。熟睡できてないという人は、睡眠時間が長くてもノンレム睡眠への移行がうまくできずにレム睡眠が長くなってしまっていることが考えられます。

通常、レム睡眠とノンレム睡眠は90~120分ずつ交代で起こるとされています。まず寝始めに眠りの深いノンレム睡眠の状態になり、時間が経つにつれて眠りの浅いレム睡眠が長くなっていき、朝すっきりと起きられるようになっています。

■深い眠りのノンレム睡眠

ノンレム睡眠とレム睡眠についてもう少し詳しくみていきましょう。

ノンレム睡眠は眠りの深い状態で、睡眠の深さによって次の4段階に分けられます。

  • 段階1.ごく浅い眠り
  • 段階2.浅い眠り
  • 段階3.深い眠り
  • 段階4.最も深い眠り

段階4の「最も深い眠り」に移行すると脳は休息状態になります。一方で体は活発に動き、全身の筋活動によって寝返りをうつなどして疲れている部位を回復させてくれます。脳は休みつつ全身は活動することで、脳と体の両方がリフレッシュされます。

また、ノンレム睡眠は段階1から4へと順に移行するのではなく、通常は睡眠の最初の90~120分で心身の回復に欠かせない「段階4」のノンレム睡眠になります。しかし、生活習慣の乱れや過剰なストレス、悪い睡眠環境などによって睡眠の質が低いと、最初の90~120分間で深いノンレム睡眠を得ることができません。

■浅い眠りのレム睡眠

レム睡眠は「浅い眠り」で、脳が活動している状態です。このときに、まぶたの下では眼球が活発に動き、夢を見たりしています。ただし、浅い眠りといっても脳が外部刺激をシャットアウトするようになっているため、物音がしても目覚めにくくなっています。

体の様子もノンレム睡眠のときとは異なり、筋肉が緩みほとんど動かない状態になります。また、レム睡眠では脳が活動して思考の整理や記憶の定着を行っているとされています。脳の発達や精神的な安定に必要な睡眠状態なのです。

■ノンレム睡眠とレム睡眠の周期リズムを整える

このように、睡眠中に繰り返されるノンレム睡眠とレム睡眠はどちらも脳や体にとって大切です。一晩でノンレム睡眠とレム睡眠を4~5回繰り返し、両方をバランスよくとることで質の高い睡眠につながるのです。この90~120分の周期は体内の周期リズムの一つです。この周期リズムが不安定になると睡眠の質が悪くなり心身に悪影響が及ぶことがあります。

特にレム睡眠は生活リズムが乱れると異常が生じやすいと言われています。レム睡眠が乱れると、いつもより早く目が覚めてしまう「早朝覚醒」や「寝起きの悪さ」「熟眠障害(ぐっすり眠れない)」などにつながり、睡眠の質が低下してしまいます。就寝時刻と起床時刻をなるべく毎日そろえて睡眠リズムを一定に保ち、ノンレム睡眠とレム睡眠の睡眠リズムを整えるように意識しましょう。