映画『浅田家!』(10月2日公開)の大ヒット御礼舞台挨拶が15日に行われ、二宮和也、中野量太監督が登場した。

  • 左から中野量太監督、二宮和也

    左から中野量太監督、二宮和也

同作は写真家・浅田政志とその家族を映画化した映画。4人家族の次男として生まれた政志(二宮和也)が、家族それぞれが“なりたかった自分”をテーマにコスプレで家族写真を収めた写真集「浅田家」が、第34回木村伊兵衛写真賞を受賞しプロとして活動を始めた最中、東日本大震災が起こる。政志は津波で泥だらけになってしまったアルバムや写真を洗浄、元の持ち主に返すボランティア活動をする人々を約2年間にわたって撮影していく。

会場に集まった約160名の観客から盛大な拍手で迎えられた二宮と中野監督は、笑顔で登壇し、冒頭の挨拶では「初登場1位だと聞いたときはすごく嬉しかったです。僕たちが作り上げたものを観てもらえればそれでいいと思っていましたが、やはり嬉しいですね」と大ヒットへの感謝の思いを明かす。壇上に用意された、すでに映画を見た観客からのコメントを抜粋した特大パネルボードを見た二宮は「家族を誘って観に行ってもらえることが嬉しい」と話し、一つ一つのコメントを丁寧に読みながら、「これでも1部なんてありがたいですね……」と、しみじみと感じている様子だった。

さらに、第36回ワルシャワ国際映画祭「国際コンペティション部門」に出品されている本作のプレミア上映が14日に開催されたことが発表されると、会場からは大きな拍手が。 二宮は「国際映画祭に出品されるのはご褒美だと思っているので、まずは日本でたくさんの人が劇場に足を運んでくれることが僕にとっては嬉しいです」と語った。

続いて、本作のテーマでもある“写真”に絡めて「人生の転機となった写真」について聞かれた二宮は「僕は間違いなく事務所に送った写真ですね」と笑顔で答える。また、中野監督は「写真じゃなくて手紙でもいいですか?」と断った上で「二宮さんにもらった手紙がこの作品の転機となりました。僕が『湯を沸かすほどの熱い愛』という作品で、日本アカデミー賞の授賞式に出席した際に、プレゼンテーターが二宮さんで、その際に作品名を『湯を沸かすほどの熱い夏』と言い間違えてしまったんです。後日、二宮さんから『間違ってしまって申し訳ございません。僕にできることでしたら何でもします』という旨のお手紙をいただいて……」とまさかの回答。

中野監督はさらに「僕は昔から二宮さんが好きでした! 本作の出演を二宮さんにお願いしたところ、本当に役を受けてくれたんです」と告白し、二宮は「僕はもし中野監督から出演のお話をいただいたら、どんなに忙しくても絶対に断らないと決めていたので、台本も読まずに二つ返事でした」と真剣な眼差しで振り返っていた。

最後に二宮は「僕らが伝えたいことは、今は簡単に写真が撮れるけど形に残そう、とかいうことではなくて、大切な人はいつかいなくなるし、時間も過ぎていく…、それを踏まえて形に残そうとした家族がいたんだと。『いい家族だな、自分もやってみたいな』と思うだけでも、自分も家族を大事にしていることにつながると思うので、自分の環境も変わると思います」と改めて作品の魅力をアピールし、笑顔で舞台挨拶を終えた。