飾らないキャラクターと高いトーク力で男女問わず支持されている小池栄子。数々のドラマや映画、舞台に出演し、女優として大活躍だ。
最近では、映画『グッドバイ~嘘からはじまる人生喜劇~』のパワフルなヒロイン役や、日本テレビ系ドラマ『美食探偵 明智五郎』で演じた殺人鬼へと変貌する主婦役が注目を集めたが、ディズニー実写版『ムーラン』では魔女・シェンニャンの吹き替えに挑戦。強い女性の役が多い印象だが、自身も強い女性役に面白さを感じており、役から影響を受けることも多いそう。
『ムーラン』では、演じたシェンニャンや主人公のムーランを見て、「自分の考えが老けた」と気づくことができたと告白。「年齢とともにできるものだけ選びがちだけど、これからも険しい道を進んでいこうと改めて感じた」と、自分の人生を見つめ直すことができたという。
家族を守るため、愛する父の身代わりに男性と偽って兵士となり、厳しい訓練と努力の中、“本当の自分”と“偽りの自分”の間で葛藤する少女・ムーランの姿を描く本作。小池が演じた魔女・シェンニャンは、魔力を持つがゆえに人々から疎んじられ、孤独を感じ、自分の居場所を求めて敵に加担する実写版オリジナルキャラクターだ。
シェンニャン役で苦労したのは、“人間っぽさ”をなくすことだったいう。「『人間っぽいな』ってよく指摘されたんです。どうやったらその人間っぽさをなくせるのか考え、私と監督の間で行き着いたのは、感情があまり見えないように、抑揚なくしゃべるということ。そうすると、つかみどころがない感じに聞こえ、人間っぽさがなくせると考えました」
ムーランに対して自分の過去を語るシーンがあるが、そこでも「あんまり感情が出ないように」と言われたそうで、「どうしても芝居していると、どんどん芝居したくなってきて、感情を入れたくなるので、そこをセーブするのが難しかったです」と振り返った。
人間と魔女という大きな違いはあるが、自身とシェンニャンの共通点も感じたという。「自分の生き方を自分で選択して切り開いていく覚悟とたくましさは自分も持っている」と言い、「結婚しても自分の人生だから自分で決めていきたい。もちろん家族は大事ですけど、人生の選択を誰かのせいにするような生き方はしたくない。全部自分で尻ぬぐいできる生き方をしていきたいと思っています」と語った。
シェンニャンは魔力を持つゆえに人々に受け入れてもらえず苦しんできたが、なかなか受け入れられず悩んだ経験はあるのか尋ねると、「自分が表現したいことをすべて受け入れてもらえるわけではなく、見てくださる方が求めているものとのギャップを感じます」と告白。「意識しなければいいとわかっていながらも、やっぱり人の評価は気になるので、常にそことの戦い。新しいことを追い求めていく限り、それはなくならないと思います」と話した。
自分と他人の評価の違いは日常的に感じるそうで、「自分があまりいいと思ってなかったものを、周りの人たちがすごく評価してくれたり、私自身は『もうこりごり』と思っているのに、『あの続編が見たい』と言われたり。バラエティでも、自分としてはよかったと思ったのに、家族が引いていたり(笑)」と説明。「自分が本当に言いたいことと、小池栄子というタレントからもらいたいものは違うんだなと思います」と語った。
意外にも「ぶっちゃけすぎないでほしい」という意見もあるようで、人によって求めているものが違うと感じているという小池。「特に番宣で出演するときは、なんとなくみなさんの頭の中にはお芝居の役として私が動いているのに、宣伝で出たバラエティでぶっちゃけられると冷めるわ、みたいな。そのバランスが難しい」と葛藤を明かし、「その瞬間は思わないんですけど、時間差で押し寄せてくるんです。そっか、マイナスだったかって。そういう反省の繰り返しです」と話した。
それでも、「自分の言葉で出る番組は、なるべくみなさんに嘘はつきたくないというスタンスをずっと貫き通している。1枚フィルターをかけてしまうと自分が気持ち悪くなってしまうから、そこは継続していきたい」と、これからも“嘘をつかない”スタンスを貫いていく。