ビジネス文書やお礼の手紙など、やや改まった文書を出す場合に、季節(時候)の挨拶を入れるのは大人のマナーのひとつです。

文書は通常、「前文」「主文」「末文」にて構成されており、季節の挨拶は前文および末文にて用いられます。ただし同じ5月でも上旬なのか下旬なのかによって、使える季節の挨拶が異なることもあり、よく考えて使うことが大切です。相手がどんな人なのかによっても選ぶべき言葉が異なります。

本記事では、5月に使える季節の挨拶をピックアップ。文書の冒頭で使える時候の挨拶や例文、結びで使える挨拶をご紹介します。

5月に使うのにふさわしい季語にはどのような言葉があるのか、見ていきましょう。

  • 5月の時候の挨拶と例文(漢語調)

    5月の時候の挨拶と例文(漢語調)

5月の時候の挨拶と例文(漢語調)

ビジネスで手紙や改まったメールを送る場合、「拝啓」などの頭語と時候の挨拶から始まります。ここでは、5月に時候の挨拶で使われる言葉と例文をご紹介します。

若葉の候(4月下旬から5月中旬)

「若葉の候(わかばのこう)」とは、若葉が芽吹く時期に使われる時候の挨拶です。そのため、夏らしくなっていく下旬にはあまり使われません。

例文
若葉の候、貴社ますますご発展のことと拝察いたしております。

花が散って若葉が芽吹いてくる春の終わりに使われる言葉として、覚えておくとよいでしょう。

万緑の候(5月上旬から6月上旬)

「万緑の候(ばんりょくのこう)」とは、見渡す限り緑である時期に使う言葉。青々とした緑が印象的な春の終わりから初夏にかけて使われます。

例文
鮮やかな万緑の候、皆様におかれましては一段とご清栄のご様子、心よりお喜び申し上げます。

青々とした緑いっぱいの季節に使うのにふさわしい言葉なので、桜が散った頃から使うとよいでしょう。

向暑の候(5月下旬から6月全般)

5月も終わりになってくると、日差しがどんどん強くなり暑くなってきます。そんな時期に使えるのが、日増しに暑くなる時期を表す「向暑の候(こうしょのこう)」です。

例文
向暑の候、貴社の皆様におかれましてはなお一層ご健勝のことと存じ上げます。

暑くなってくると体に堪えてしまうので、身体を崩さないようにと相手の健康を気遣う言い回しと組み合わせるとよいでしょう。

葉桜の候(5月全般)

葉桜とは、花が散って若葉になった頃の桜を表す言葉です。「葉桜の候」は、桜が散って葉だけになってしまった5月全般に使えます。

例文
葉桜の候、皆様におかれましてはますますご清祥のこととお喜び申し上げます。

5月になれば使える季語として、押さえておくと便利です。

新緑の候(5月全般)

新緑とは、木々の若葉のつややかな緑を表す言葉です。初夏の頃を表す季語として、5月全般に使えます。

例文
新緑の候、皆様にはいよいよご清祥のことと存じます。

「葉桜の候」とほぼ同じ時期に使える言葉として、覚えておきましょう。

薫風の候(5月全般)

「薫風の候(くんぷうのこう)」とは、若葉の香り漂う、さわやかな南風が吹く季節に使える言葉です。「新緑の候」と同じく5月全般に使えます。

例文
薫風の候、貴殿ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

5月に「緑」以外の言い回しを使いたい時に適した言葉です。

  • 5月の時候の挨拶と例文(口語調)

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5月の時候の挨拶と例文(口語調)

親しい相手に手紙を送る場合、季節の挨拶は少しカジュアルな言い回しを用います。ここでは、5月に手紙などで使える口語調の時候の挨拶をご紹介します。

八十八夜も過ぎて

八十八夜とは、立春から88日目の、5月2日のことです。つまり5月3日以降に使える言い回しとなります。

例文
八十八夜も過ぎて本格的に暖かくなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。

5月にはほぼ使える言い回しとして、押さえておくとよいでしょう。

風薫る五月

「風薫る五月」とは、「薫風の候」と同じように、若葉の香りが漂う、さわやかな南風が吹く頃に使える言い回しです。

例文
風薫る5月となりましたが、皆様お元気でお過ごしでしょうか。

風流な言い回しをしたい時におすすめです。

鯉のぼりがひるがえる季節

「鯉のぼりがひるがえる季節」とは、5月初旬に使える季節の挨拶です。端午の節句である5月5日頃になると男の子がいる家では鯉のぼりを飾ります。

例文
鯉のぼりがひるがえる季節となりましたが、皆様一層ご活躍のこととお喜び申し上げます。

日本ならではの風習から、季節を感じる言葉として用いられています。

端午の節句を迎え

端午の節句とは、5月5日のことです。男の子が健康に成長できるようお祝いをする日本古来の風習があることから、5月5日に用いられる言葉です。

例文
端午の節句を迎え、○○くんもお健やかにお育ちのこととお喜び申し上げます。

とくに初節句のお祝いの手紙で使われることが多い言い回しとして、覚えておきましょう。

新緑の色増す季節

「新緑の色増す季節」とは、木々の若葉がつややかな緑色の時期に使える言い回し。「新緑の候」と同様5月全般に使える時候の挨拶です。

例文
新緑の色増す季節となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

5月中に使える言い回しとして、押さえておきましょう。

初夏の風もすがすがしい

「初夏の風もすがすがしい」とは、夏の始まりである立夏を過ぎた頃の清涼感ある風を表します。立夏とは暦上では5月6日頃のことです。

例文
初夏の風もすがすがしい季節になりました。お元気でお過ごしですか。

ゴールデンウイークを過ぎた頃から使える言い回しとして、覚えておくとよいでしょう。

  • 5月に用いる結びの挨拶

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5月に用いる結びの挨拶

手紙の末文に用いる結びの挨拶にも、季節に合う言い回しを用いるのが一般的です。ここでは、5月に用いる結びの挨拶例をご紹介します。

初夏関連の結びの挨拶

5月は春から夏へ季節が変わるタイミング。緑の多い時期であることを考慮して結びの挨拶にすると風流です。

例文
風薫る新緑の時節、ますますのご発展をお祈り申し上げます。
すがすがしい薫風の季節、ぜひお立ち寄りください。

緑や風などを絡めた言い回しを用いてみましょう。

暑さ関連の結びの挨拶

5月も終わりに近づくと、だんだん暑くなってきます。暑さを意識した言い回しを用いるのもおすすめです。

例文
向暑の折、皆様のご健勝をお祈り申し上げます。
暑い季節になっていきますが、くれぐれもご自愛ください。

「暑くなっていきますが元気で過ごしてください。」という意味合いの言葉を用いると、相手を気遣う気持ちも伝えられます。

あわせて読みたい : 「ご自愛ください」の正しい使い方、誤った使い方

相手の健康を気遣う結びの挨拶

5月は急に暖かくなったり雨が続いたりと、天候が変わりやすい季節でもあります。体調を崩す人も多いので、相手の体調を気遣う言葉を用いるのもおすすめです。

例文
季節の変わり目ですので、どうかご自愛ください。
梅雨入りも間近となりましたが、どうかお体にはお気を付けください。

とくに年上の相手に手紙やメールを送る場合、用いるのにおすすめの言い回しです。

5月にふさわしい季節の挨拶を用いましょう

ビジネス文書や手紙を書くのに慣れていないと、どのような言葉を用いればよいのかわからず、戸惑ってしまう人も多いでしょう。手紙や文章の構成は決まっているので、まずは文書の構成を覚えることがポイントです。その上で、季節ごとに使う言い回しをいくつか押さえておくと、書きやすくなり便利です。

この記事でご紹介してきた、5月に使える季節の挨拶を参考にしながら、手紙を書くとよいでしょう。使う時期や相手に適した表現を選ぶことで、スムーズに文書をつくれます。

手紙を書く5月の風景や端午の節句などの風習などを思い浮かべながら、5月に用いるのにふさわしい季語を選びましょう。自然と5月にふさわしい言葉を選び、風情のある文書を書けるようになります。