ビジネス文書やお礼の手紙など、やや改まった文書を出す場合に、季節(時候)の挨拶を入れるのは大人のマナーのひとつです。

文書は通常、「前文」「主文」「末文」にて構成されており、時候の挨拶は前文および末文にて用いられます。ただし同じ5月でも上旬なのか下旬なのかによって、使える時候の挨拶が異なるケースもあり、よく考えて使うことが大切です。また、挨拶を送る相手がどんな人なのかによっても、選ぶべき言葉が異なります。

本記事では、5月に使える時候の挨拶をピックアップ。文書の冒頭で使える時候の挨拶や例文、結びで使える挨拶をご紹介します。5月に使うのにふさわしい季語にはどのような言葉があるのか、見ていきましょう。

  • 5月の時候の挨拶と例文(漢語調)

    5月の時候の挨拶をビジネス&カジュアルシーンごとに見ていきます

時候(季節)の挨拶文の書き方

時候(季節)の挨拶は通常、「拝啓」など文章の最初の書き出しである「頭語」の後に書きます。頭語を使う場合、文末には「敬具」などの「結語」で文章を結ぶことが原則です。

ただし「拝啓」「敬具」と書くことで、文書が堅苦しく感じられることもあるので、親しい間柄の人へ向けたメールや手紙では、頭語・結語を省略して時候の挨拶から書き出すケースもあります。

ビジネス用の時候(季節)の挨拶文の書き方

ビジネスシーンにおける時候の挨拶文の文章の流れは下記の通りです。

  1. 拝啓
  2. 時候・季節の挨拶
  3. 主文
  4. 結びの言葉
  5. 敬具

カジュアル用の時候(季節)の挨拶文の書き方

親しい友人や知人らに挨拶文を送る際は、「拝啓」から書き始めると文章が硬くなりかしこまった印象を与えてしまいます。もっとカジュアルに見えるよう、下記のようにするとよいでしょう。

  1. 時候・季節の挨拶
  2. 主文
  3. 結びの言葉

5月の季語

季節・時候の挨拶を送る際、本文にその月を表す季語を入れましょう。季語というと堅苦しいイメージを抱くかもしれませんが、季語を使うとぐっと時候の挨拶の要素が色濃くなりますよ。

植物 バラ、サツキ、ハナミズキ
食べ物 筍、そらまめ、新茶
風物詩 鯉のぼり、端午、菖蒲湯

5月の時候(季節)の挨拶と例文(ビジネス)

ここからは、実際にビジネスメールなどで使える例文を交えながら、5月の時候の挨拶を紹介していきます。

漢語調の時候の挨拶は、上旬・中旬・下旬など、月のいつの時期かによっても使う言葉が異なります。5月のそれぞれの時期別に、使える時候の挨拶をご紹介しましょう。

5月全般、上旬・中旬・下旬

新緑の候

新緑とは、木々の若葉のつややかな緑を表す言葉です。初夏の頃を表す季語として、5月全般に使えます。

【例文】
新緑の候、皆様にはいよいよご清祥のことと存じます。

薫風の候

「薫風の候(くんぷうのこう)」とは、若葉の香り漂う、さわやかな南風が吹く季節に使える言葉です。5月に「緑」以外の言い回しを使いたい時に適した言葉です。

【例文】
薫風の候、貴殿ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

5月上旬(1日~10日)

惜春の候

「惜春」とは「過ぎ行く春を惜しむ気持ち」という意味です。あるいは「青春を惜しむ」という意味もあるようです。暦の上の春の終わりを告げる時候の挨拶と言えるでしょう。

【例文】
惜春の候、貴社におかれましてはいよいよご繁栄の由、心からお喜び申し上げます。

緑風の候

緑風とは、初夏の青葉の間を吹き抜ける風のことです。5月の爽やかな陽気と新緑の鮮やかさを伝える挨拶として用いることが可能です。

【例文】
緑風の候、貴社におかれましてはますますご発展の段、大慶に存じ上げます。

5月中旬(11日~20日)

立夏の候

立夏は暦の上での初夏の挨拶に使う言葉で「夏の始まり」という意味があります。5月上旬の惜春の候で春が過ぎ去り、中旬の立夏の候で夏が始まるという流れになっています。

【例文】
立夏の候、皆様におかれましては一段とご清栄のご様子、心よりお喜び申し上げます。

5月下旬(21日~31日)

万緑の候

「万緑の候(ばんりょくのこう)」とは、見渡す限り緑である時期に使う言葉。青々とした緑が印象的な春の終わりから初夏にかけて使われます。

【例文】
鮮やかな万緑の候、皆様におかれましては一段とご清栄のご様子、心よりお喜び申し上げます。

軽暑の候

5月も終わりになってくると、日差しがどんどん強くなり暑くなってきます。そんな時期に使えるのが、日増しに暑くなる時期を表す「軽暑の候」です。暑くなってくると体調を崩しやすくなるため、相手の健康を気遣う言い回しと組み合わせるとよいでしょう。

【例文】
軽暑の候、貴社の皆様におかれましてはなお一層ご健勝のことと存じ上げます。

5月にふさわしい結び(ビジネス)

手紙の末文に用いる結びの挨拶にも、季節に合う言い回しを用いるのが一般的です。ここでは、5月に用いる結びの挨拶例をご紹介します。

初夏関連の結び

5月は春から夏へ季節が変わるタイミング。緑の多い時期であることを考慮して結びの挨拶にすると風流です。

  • 風薫る新緑の時節、ますますのご発展をお祈り申し上げます。
  • 新緑の季節、皆様のご多幸をお祈り申し上げます。

暑さ関連の結び

5月も終わりに近づくと、だんだん暑くなってきます。暑さを意識した言い回しを用いるのもおすすめです。「暑くなっていきますが元気で過ごしてください」という意味合いの言葉を用いると、相手を気遣う気持ちも伝えられます。

  • 向暑の折、皆様のご健勝をお祈り申し上げます。

相手の健康を気遣う結び

5月は急に暖かくなったり雨が続いたりと、天候が変わりやすい季節でもあります。体調を崩す人も多いので、相手の体調を気遣う言葉を用いるのもおすすめです。特に年上の相手に手紙やメールを送る際に用いるのにおすすめの言い回しです。

  • 晩春の季節、社員の皆々様には一層のご健勝を心よりお祈り申し上げます。
  • 爽やかな初夏のみぎり、皆様方のご無事息災を心よりお祈りいたします。
  • ビジネスに使える5月の時候の挨拶と例文を紹介しました

5月の時候(季節)の挨拶と例文(カジュアル)

親しい相手に手紙を送る場合、時候の挨拶は少しカジュアルな言い回しを用います。ここでは、5月に手紙などで使える口語調の時候の挨拶をご紹介します。

5月全般

  • 八十八夜も過ぎて本格的に暖かくなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。

八十八夜とは、立春から88日目の5月2日のことを指し、5月3日以降に使える言い回しとなります。

  • 新緑の色増す季節となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

「新緑の色増す季節」とは、木々の若葉がつややかな緑色の時期に使える言い回しです。5月中に使える言い回しとして、押さえておきましょう。

5月上旬

  • 端午の節句を迎え、●●君の朗らかで健やかな成長をお祝いいたします。

端午の節句とは、5月5日のことです。男の子が健康に成長できるようお祝いをする日本古来の風習があることから、5月上旬の挨拶に用いられる言葉です。

  • 五月晴れの空を泳ぐ鯉のぼりに、心も晴れ晴れとしてまいりますが、皆様はお健やかにお過ごしでしょうか。

鯉のぼりは5月に使える季語の一つです。端午の節句である5月5日頃になると男の子がいる家では鯉のぼりを飾るため、5月上旬の挨拶としてふさわしいでしょう。

5月中旬

  • 風薫る5月となりましたが、皆様お元気でお過ごしでしょうか。

「風薫る五月」とは、「薫風の候」と同じように、若葉の香りが漂う、さわやかな南風が吹く頃に使える言い回しです。風流な言い回しをしたいときにおすすめです。

5月下旬

  • 初夏の風もすがすがしい季節になりました。お元気でお過ごしですか。

「初夏の風もすがすがしい」とは、夏の始まりである立夏を過ぎた頃の清涼感ある風を表します。暑さが本格化してくる5月下旬ごろに使うと、いっそう季節を感じやすい挨拶と言えるでしょう。

5月にふさわしい結び(カジュアル)

口語調の文書に合う、5月にふさわしい結びの言葉をご紹介しましょう。

春に関する結び

  • すがすがしい薫風の季節、ぜひお立ち寄りください。

暑さ関連の結び

  • 暑い季節になっていきますが、くれぐれもご自愛ください。

相手の健康を気遣う結び

  • 梅雨入りも間近となりましたが、どうかお体にはお気を付けください。
  • カジュアルに使える5月の時候の挨拶と例文を紹介しました

5月に送る、コロナ禍における手紙・メールの文例

2020年頃から世界中で蔓延している新型コロナウイルス。コロナ禍についてわざわざ言及する必要はありませんが、文頭や結びの言葉で軽く触れる程度ならばよいかもしれません。

薫風の候、貴社におかれましてはコロナ禍におかれましてもますますご活躍のことと、お慶び申し上げます。
さて、~~。(主文)
何かと不便の多い日が続きますが、皆さまのご健康と、益々のご繁栄を心よりお祈り申し上げます。

5月にふさわしい時候(季節)の挨拶を用いましょう

ビジネス文書や手紙を書くのに慣れていないと、どのような言葉を用いればよいのかわからず、戸惑ってしまう人も多いでしょう。手紙や文章の構成は決まっているので、まずは文書の構成を覚えることがポイントです。その上で、季節ごとに使う言い回しをいくつか押さえておくと、書きやすくなり便利です。

この記事でご紹介してきた、5月に使える時候の挨拶を参考にしながら、手紙を書くとよいでしょう。使う時期や相手に適した表現を選ぶことで、スムーズに文書をつくれます。

手紙を書く5月の風景や端午の節句などの風習などを思い浮かべながら、5月に用いるのにふさわしい季語を選びましょう。自然と5月にふさわしい言葉を選び、風情のある文書を書けるようになります。