歌手の中島美嘉が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。今回読んだのは、9月27日・10月4日に前・後編で2週にわたって放送される『あの日 妹を殺されて』だ。

  • 『ザ・ノンフィクション』のナレーション収録を行った中島美嘉

    『ザ・ノンフィクション』のナレーション収録を行った中島美嘉

■「新しい発見をしました(笑)」

今回の主人公は、最愛の妹・福子さんがアメリカ人の夫に殺された犯罪被害者の遺族でありながら、刑務所や少年院から出てきた元犯罪者の身元を引き受け、仕事と住居を提供して“親代わり”になっている草刈健太郎さん。中には再犯に走ってしまう者もいるが、「加害者を減らせば、妹のような被害者も少なくなる。この取り組みは妹に『やれ』と言われている気がする」という思いを胸に、活動を続けている。

本格的なナレーションは初挑戦で、約8時間にわたる長丁場の収録を終え、「今日はおうちに帰っても、きっと(頭から)抜けないでしょうね(笑)」と、持てる力を出し切った中島。

『ザ・ノンフィクション』に対して、「ちゃんと(人物の内面を)掘り下げて見せてくれる番組なので、なるべく邪魔はしたくないんですけど、この物語をどう伝えるかというのは自分の声にかかってくるので、少し色を添えられることができればと思いながら読んでいました」と心がけたことを語る。

普段の楽曲のレコーディングで1曲にかけるのは2~3時間というだけに、ここまで長時間ブースの中で収録を続けるのは、初めての経験。途中、読みにくい箇所でハマってしまい、そのたびに何度も立て直してゴールを迎えたが、「(収録を終えたばかりの)今は達成感がありますけど、実際に放送を見たときに『もっとやれたのに』ときっと思うんだろうな…っていう恐さもあります」と向上心をのぞかせた。

そんな中でも、「自分は頭の回転が遅い方で、ボーッとしてるタイプなのですが(笑)、(画面上に出てくるタイムコードの)数字を見ながら、次に読む原稿を頭で解釈できる脳があったんだという新しい発見をしました(笑)」と、思わぬ潜在能力に気付かされたそうだ。

■サンサーラを聴き入って「しまった!」

ナレーションと本業の歌唱には「細かい表現方法や声の出し方は、きっとつながるような気がします」と共通点があるそう。「ちょっとしたニュアンスで、口角を上げると少し微笑ましい声になるということは、歌でもやっているんです。だから今回も、みんなが楽しそうにしているシーンは、同じ声のトーンでも少し口角を上げるのがいいのかなとやってみたりしました」と、歌手ならではのテクニックを応用している。

ただ、前編のエンディングで、竹原ピストルが歌うテーマソング「サンサーラ」が流れてくると、思わず聴き入ってしまい、「(ナレーションが)棒読みになっちゃったんです。しまった!と思いました(笑)」というハプニングも。

「♪生きてる 生きている~」という印象的な歌詞は「言葉がとても強いので、私ももっとナレーションで気持ちを伝えていいのかもと思いました」と感化されたことを明かしており、その語り口は後編で反映されているようだ。

●中島美嘉
1983年生まれ、鹿児島県出身。01年、ドラマ『傷だらけのラブソング』にヒロインとして抜てきされ、その主題歌「STARS」で歌手デビュー。その後、「雪の華」の大ヒットや、映画『NANA』では主演を務めるなど、歌手・女優・ファッションリーダーとして、アジア各国でも注目される。10月7日にはニューアルバム『JOKER』をリリース予定。今年デビュー20周年を迎える。